創造と発表の新しい学力
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勉強は、すぐわからないところが面白い  2015年5月18日  No.2353
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 キャノンの社長だった賀来龍三郎さんは、高校生のとき、尊敬する数学の先生に、「数学は公式から自分で考えて解け」と教わったそうです。
 大学入試でも、その教えを忠実に守って公式から自分で考えて解こうとしたために、時間不足で不合格になりました。そのときは、その数学の先生を恨んだようです。
 しかし、その後、社会人になって、根本的に考えることの大切さを何度か経験するうちに、その先生の偉大さを改めて感じるようになったということでした。

 今の世の中は、どの分野も複雑化しているので、能率を上げるために、根本から考えるよりもまず操作できればよいという考え方が主流になりつつあります。
 家電製品などでも、故障すると、昔は電気屋さんが中を分解して故障を箇所を見つけたのですが、今は、ブラックボックス化したICチップをまるごと取り替えるような修理の仕方になっています。
 能率は大幅に向上したのですが、このまるごと交換という対応の仕方からは、工夫も発見も生まれません。

 算数数学の問題でわからない問題があったとき、まず大事なのは、自分で考えてみることです。しかし、それではあまりに時間がかかるというときは、解答を見てその解法を理解します。
 学校で勉強するような数学の問題は解けることが前提に作られているので、解法を見れば誰でもわかるようになっています。
 しかし、それでも理解できないとき、つい人に聞きたくなります。しかし、そこで人に聞いてわかりやすく教えてもらうと、それはICチップをまるごと交換するような勉強になってしまうのです。

 すぐわかったつもりになることは、かえって自分の力として定着しません。能率よく理解する度合いが強ければ強いほど、実力はつきにくくなるのです。
 世の中の価値ある仕事の多くは、無駄な遠回りを積み重ねて作られています。

 今の世の中の風潮は、能率を重視し、最小のコストで最大の効果を上げることに向かいがちです。
 しかし、本当の楽しみは、苦労して自分なりにつかむという経験の中にあるのです。
 自由な時間のある子供時代にこそ、そういう無駄な遠回りをする楽しさを味わうことが大切だと思います。

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