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作文が好きで得意なのに、模試の点数が悪かったというケース  2018年9月21日  No.3411
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 作文を書くのが好きで得意なはずなのに、受験用の模試を受けたら、ひどく点数が悪かった、という話がときどきあります。

 しかし、これまで、そういう子がしっかり合格しているのです。
 それは、なぜかというと、大きく分けて二つ理由があります。

 第一は、作文小論文の模試の採点は、結構いいかげんだということです(笑)。
 ○×で点数が決まる試験と違って、記述や作文は、採点する人の主観がかなり入ります。
 そして、採点する人は、文章を書く力がない人も多く、そういう人がかなり曖昧な基準で採点しているのです。
 そういう採点で高得点を出すコツは、結びの5行の感想や意見の部分に力を入れていくことですが、子供はまだそこまでは考えません。
 だから、よく書けたはずなのに点数がが低いということが起きてくるのです。

 第二の理由は、子供が見当違いのところで表現の工夫をしてしまうことがあることです。
 特に、小学生の場合は、それまで書いていた作文が、生活作文的なものなので、会話やたとえのような出来事の表現に力を入れてしまうことがあります。
 書き出しの工夫や、動作情景の結びの工夫なども、もともとは出来事中心の作文で練習したものですから、主題の方が中心になる受験作文とは重点が違います。
 だから、表現を工夫して書くほど、かえって受験作文として点数が低くなるということも起きてくるのです。

 では、そういう子は、今後どういう勉強をしたらいいのでしょうか。
 答えは簡単です。
 受験作文用の練習をすればいいのです。

 それまでの作文の練習は、表現項目を工夫することが目的でしたが、受験作文は、合格する作文を書くことが目的です。
 作文力がある生徒は、目的の違いに応じてすぐに受験作文に合った作文を書くことができるようになります。

 これは、何度も書いたことですが、実力をつけることと勝負に勝つことは違います。
 受験作文の目的は、実力をつけることではなく、合格する作文を書くことです。
 目的を切り替えて勉強していけばいいのです。

 しかし、それでも、模試の作文で悪い点数を取ることがあります。
 そういうときは、「模試の作文の採点をしている人って、あなたの作文のよさがわからないんだね」と言っていればいいのです。

 さて、この模試の作文の点数とやや似た話で、学校では勉強がよくできているはずなのに、塾の模試を受けたらひどい点数だったということもよく聞きます。
 これは、受験の勉強のための訓練をしていないからです。

 受験の問題は、パズルと同じようなもので、解き方を教わったことがあれば解けるが、解き方を教わっていないと実力では時間内に解ける人はまずいないという性質があります。
 だから、点数は参考にしてもいいが、いちばん確実なのは、お母さんが見るその子の普段の言動から感じるのが本当の実力だと考えておくといいと思います。
 実力のある子は、受験のための勉強を始めればすぐにできるようになるからです。

 もうひとつの似た話で、小学校低中学年のお母さんが、周囲の子と比較して自分の子が遅れているのではないかと焦るということもよくあります。

 小学校低学年のころは何でも素直に吸収できる時期なので、英語をやれば英語ができるようになり、算数に力を入れれば何学年も先の算数もできるようになるということが普通にあります。

 しかし、それがそのままずっと続くかというとそういうことはまずありません。中学生になり、高校生になるころには、小学校低学年で先取りした学力は、意味のなかったものになっていることが多いのです。
 低学年のときに苦労して勉強したということは、その苦労と引き換えに、自由な遊びの時間や読書の時間を抑制したということですから、長い目で見ると、小さいうちの勉強面での苦労はしない方がいいとさえ言えるのです。

 小学1年生から4年生までの勉強では、基本的に難しいものは何もありません。
 だから、4年生までの勉強で高得点を取る努力をするというのは、あまり意味がありません。
 その時期は、苦手なものを作らないでおくということを基準に勉強していけばいいのです。
 そして、その分、本当の実力につながる読書と対話と作文に力を入れていくのです。

 お母さんが、子供の勉強について迷ったら、自分がその子と同じ年齢のときにどんなことをしていたか思い出してみるといいと思います。
 たぶん、大して勉強していないのに、普通に小学校を卒業し、中学、高校へと進み、高校生のときはちょっとがんばって勉強して、やがて今の大人になった自分がいて、小学校のときの勉強が何の役に立ったのかということはもうわからないぐらいと思います。
 そのかわり、小学生のときに楽しく遊んだ思い出や熱中して読んだ本が、今の自分を形成しているかけがえのないものだったと感じることが多いと思います。
 そういう自然な子育てをしていればいいのです。

 つまり、勉強に力を入れるのは、本人が自覚して勉強したいと思う年齢になってからで十分で、まだ勉強以外のことに関心がある時期は、勉強は苦手にならないぐらいでよく、そのかわり、本当の実力につながる読書、対話、作文に力を入れていくといいのです。

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 コメント欄

森川林 20180921  
 子育てに迷ったら、自分がその子と同じ年齢だったころ、どういうことに喜びを見出していたのかを思い出してみるといいと思います。
 すると、そのころの勉強が今の自分を形成しているのではなく、そのころの遊びや読書や友達が今の自分を形成していると感じると思います。
 そこを基準にして子供を育てていけば、大きく外れることはないのです。


nane 20180921  
 受験というのは勝負の世界ですから、勝負に勝つための勉強をしなければなりません。
 いずれ今のような受験という制度そのものがなくなると思いますが、とりあえず今のところはそういうものがあるので、受検をするときは、勝つための勉強だと割り切ってやっていく必要があります。
 しかし、そういうときでも、勝つことがすべてだとは思わないことです。
 いちばんの目的は、子供が幸せに暮らすことだからです。
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