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未来の社会と教育(その5)  2009年4月12日  No.451
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 選抜テストは、その学校又は社会が求めている人間を選抜するためのテストです。
 この場合の社会とは、広い意味での身分制社会、つまり現在の世の中を再生産する仕組みを作り出す社会です。この現在の社会の目指す学力から、テストの方向が逸脱していくことがあります。テスト—技術—努力の相互の発展が過剰になり、重箱の隅をつつくようなテストになる一方、その重箱の隅をつつけるような優れた技術や努力が生まれて、さらにテストの重箱化に輪をかけるというような発展の仕方も起こりうるのです。その典型的な例が、よく引き合いに出す中国の科挙という官吏登用試験です。大学入試の社会科の問題なども、現在かなりそのような傾向になっています。そういうテストに対応するために記憶術などをマスターするというのは、大きな視野から見るとずいぶんおかしなことですが、当事者はそういう形で対応せざるをえないというのが苦しいところです。
 このテスト—技術—努力の発展が、社会の真の求める人間像から逸脱しないようにするために、これまでの選抜テストとは異なる新しいテストを行う必要が出てくることがあります。これが現在行われているAO入試、面接重視、小論文重視などのテストです。これらのテストは、これまでの教科テストの行き過ぎを是正するために新しく試みられるようになったテストの形式です。しかし、これらの新しい選抜テストは必ずしも成功しているとは言えません。学力以外のものを評価するテストによって、学力不足の人が選抜されるという面を生み出しているのです。そして、学力不足は、学力偏重よりも実は困ることが多いのです。
 しかしAO入試などはある意味で血縁制度を元にした身分制社会を再生させる役割を果たす面があるので、これからも広がっていくと思われます。これはどういうことかというと、AO入試で評価されるのは、学力や人柄や可能性などの個人の資質に属するものだけでなく、その個人を取り巻く人間関係や家族関係や社会関係なども入ってくるからと思われるからです。だから、親の七光りで合格するというケースも当然あると思われます。もちろんこれが一面的に悪いというのではありません。社会にはそういうルートも必要だからです。例えば、家業を継ぐ予定の学生は、入学時の学力は低くても入学後に伸びると言われています。目的意識が高いので、勉強や仕事に身が入るからです。
 このようなことを考えると、AO入試を目指す人は、それなりの対策を立てることができると思います。しかし、推薦入試で合格してしまうと、一般入試のために1年間受験勉強するという貴重な体験ができないという問題があります。

 明日は、成績の向上プラス自己の向上の話です。
(つづく)

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