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作文の勉強における触れ合いと、地域と家庭の教育の可能性  2010年3月15日  No.824
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 言葉の森で勉強をしていた子が、大きくなってから教室に相談に来ることがあります。担当の先生のところにも、やめたあとに近況を時々連絡をしている子がいます。

 作文の勉強は、心の交流という面があるので、先生と生徒の間に信頼関係を作りやすいようです。未来の教育のあり方も、ここから考えることができます。

 子供は、勉強をするとき、勉強を通して大人の生き方を学びます。その大人は、必ずしも先生である必要はありません。昔だったら丁稚奉公先の主人、現代なら勤め先の上司や先輩がその役割を果たすこともあります。また、子供たちの周囲に、大人はたくさんいます。しかし、先生という役割は、子供と最も容易に接することができる立場です。

 この場合、先生が必ずしも立派な人格者である必要はありません。それは、親が必ずしもそうでないのと同様です。しかし、先生や親は、子供にとって立派であろうという意識があります。それが大事なのです。子供が何かに困っていたら、力になりたいという意識を自然に持つことのできる大人、これが親であり先生であるのです。

 しかし、今の学校や塾の体制の中では、先生は生徒にとっての先生である前に、勤務先にとっての勤務者です。何年かたって転勤になったり転職したりすれば連絡もとれなくなり、信頼関係はなかなか築けません。

 また、学校や塾の先生は、勉強を能率よく教えるという技術面を主に提供することが求められています。生徒との人格的な触れ合いは、親からも生徒からももともと求められていません。だから、生徒の方も、「あの先生の授業はおもしろい」「つまらない」というところで接するだけで、困ったことがあったら相談したいという気持ちは出てきません。

 そこで出てくるのが、地域に根ざした教育です。先生が、学校や塾というゲゼルシャフト(利益共同体)ではなく、地域というゲマインシャフト(地縁共同体)に属していれば、生徒との関係はもっと永続的になります。小学校低学年のころからその先生に教わった子は、中学生になっても、高校生になっても、大人になっても、いつでも生徒と先生という関係で話ができるようになります。

 この場合、先生が生徒よりも能力的に上であり続ける必要はありません。それは、親が子供に対してそうであるのと同様です。しかし、成長した子供に対して、親や先生という立場で話すことができる人がいるということが大事です。ある年齢を超えると面と向かって注意してくれる人は社会にはいなくなります。しかし、親や先生ならそれができます。少なくとも、そういう役割を持てる人がいるということが重要なのです。

 未来の教育は、グローバリズムの対極にあるローカリズムの教育になるでしょう。グローバリズムの教育の典型は、放送授業のようなものです。人気のある講師の授業が、テレビで自宅にいながらにして見られるというのは能率的ですが、それはテレビを使った教育ではなく、ただのテレビです。勉強の技術的な能率だけを考えたもので、先生と生徒の接触というものはありません。

 ローカリズムの教育とは、昔の寺子屋教育のようなものです。また、インディアンの社会で言えば、長老が子供たちに行う教育のようなものです。

 今後、小中学生の教育は、学校や塾が行うものではなく、地域が行うものになっていくでしょう。教材は、グローバルなものを生かしつつ、先生という人間はあくまでもローカルなものにとどまるということが、子供たちの成長にとっていちばんよいことだからです。

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