受験作文に関するノウハウなら言葉の森
 言葉の森には、受験作文の豊富なノウハウがあります。苦手な子にも、得意な子にも、その子に合わせた教え方ができるのが担任制電話指導の特徴です。ここではその受験作文のノウハウの一端を紹介します。


■受験に勝つために、そして、受験後にも

 例年、「受験生は、夏休み前までに過去問を」と、もう何十年も言い続けているのに、あいかわらず秋から過去問に取り組むという人がかなりいます。
 受験勉強は、情報戦です。旧日本軍と同じように、情報戦で戦略的に既に大きく後れをとっているのに、個々の戦闘でだけがんばるという勉強の仕方をする人が多いのです。
 夏休み中に、自分流の勉強をした人と、ただ漫然と塾や予備校の夏期講習に通った人とでは、大きな差が出ます。夏休み中に自分流の勉強をするために、夏休み前の過去問分析が欠かせないのです。
 夏休み前までの模試はあてになりませんが、夏休み後に行われる模試は、ほぼ正確に実力を反映します。
 受験を左右するのは、偏差値ではなく総合点です。まだ過去問に取り組んでいない人は、過去問を、答えを書き込みながらでもいいので、全教科解いてみて、どの教科でどのぐらい得点するかという作戦を考えていきましょう。
 塾や予備校でも、過去問は仕上げにやると言っているところが多いようですが、それは、生徒が早い時期に過去問に取り組むと対応しきれなくなるという教える側の都合によるものです。
 受験に全責任を負っているのは、本人と保護者だけです。他人に頼らずに自分の判断で勉強に取り組んでいきましょう。

 国語の成績を上げるコツは、ある意味で簡単です。一つは問題文を読む練習をすることです。もう一つは、選択問題の解き方のコツを学ぶことです。選択問題の解き方は、1、2時間もあればすぐに理解できます。

 さて、人生で大事なのは、受験に勝つことでありません。受験が終わったあと、どういう勉強をして、どういう人間になるかということです。
 受験に合格することを目的にしてしまうと、合格したあとに勉強が途絶えてしまいます。
 合格することが目的なのではなく、合格後、又はたとえ第一志望に合格しなかったとしてもその後、社会に出て立派な社会人になり、世の中に貢献していくことが本当の目的なのだと今から話しておくといいと思います。

■中学入試、高校入試の受験志望理由書の書き方

 志望理由書の書き方ということで、書店にはいろいろな本が出ています(言葉の森の記事にもあります)。書く内容は、それらを参考にしていただくことにして、ここでは、それらの本にはあまり書いていないことを説明したいと思います。

 第一は、子供任せにしないことです。志望理由書は本人が書くという建前になっていますが、小6や中3の子供に任せて、いいものが書けるはずはありません。と書くと言いすぎですが、ここはやはり親が全面的に協力して内容を煮詰めていくことです。
 第二は、明るい内容、面接で話題にしてほしい内容に絞ることです。明るさというのは、志望理由書以外に、作文の試験の場合も重要です。文章がうまければよいというのではなく、自分の好ましい人柄がにじみ出るように書いていくことが大事です。
 第三は、勉強の話を中心にしていくことです。学校は勉強をするところです。それなのに、部活や友達や趣味の希望をたっぷり書いてしまう人がいます。学校で青春を楽しみたいという気持ちはわかりますが、勉強をしにいくのだという原点を大事にしておかなければなりません。その学校に入ったら、どんな勉強を何のためにどういうふうにやっていきたいかということを書いていくことです。
 第四は、パソコンで下書きを書くということです。よく直接鉛筆で書いて、手書きの原稿を推敲している人がいますが、それでは十分な推敲はできません。まず最初に、自分が普通に書くぐらいの字の大きさで、読み手にとって見にくくない程度の文字で2、3行手書きで書いてみます。そして、1行の平均的な字数を数えます。そのあと、その字数と行数に合わせてパソコンで下書きを書いていきます。パソコン上で推敲を十分に行ってから、最後は手書きで清書をするようにします。
 第五は、書いたものは、必ず書いた本人以外の他人に見てもらうということです。本人がアピールしたいと思っていることと、相手に実際にアピールすることとは違います。どういう内容がアピールするかというと、ひとつは挑戦したことがわかる話、もうひとつは継続したことがわかる話で、これらに客観的な裏づけのあるデータを入れて書きます。客観的なデータとは数字や固有名詞のことで、例えば、「○年間、○○の委員長を務め、○○という工夫をして、○○パーセントの成果を上げた」というような書き方です。

 志望理由という言葉から、自分の希望を中心に書いてしまいがちですが、未来の話はだれも同じようなものになりがちです。自分らしい過去の実績を盛り込みながら書いていくことが大事です。

■受験コースの作文でスピードアップを図るには

 小学校6年生の中高一貫校などの入試作文で、30分800字などの試験課題が課せられる場合があります。高校生の大学入試小論文では90分1000字などが普通ですから、30分800字というのは異常な速さです。このような時間と字数でまともに書ける子はほとんどいません。その結果、大きな差がつくので点数をつけやすくなるということです。
 しかし、これまで言葉の森から入試に臨んだ子供たちは、ほとんどが30分で800字ぐらいの作文を書いてきました。
 入試では、気合いが入るので練習のときよりも速く書けるからです。
 もちろん、練習のときに速く書く方法もあります。
 しかし、速く書く練習をするのは、試験の前の1~2ヶ月にしておく方がいいと思います。それまでは、時間を計りながら書きますが、速さよりも内容を優先していきます。なぜかというと、内容がよければ、その内容を試験の材料として生かせるからです。
 普段の練習は、実戦のための予行演習ではなく、材料作る準備のための練習と考えておいてください。普段の作文の練習でよい材料とよい表現を蓄積しておくと、それを試験で生かすことができます。
 試験で速く書くためには、普段の作品で時間を速くするよりも、充実した内容を書くことに力を入れておくことです。
 試験前の1、2ヶ月間で速く書く練習をするときのコツは次のようになります。
 まず第1は、問題を読んだあと、作文用紙の余白に3、4ヶ所の箇条書きでメモをしておくということです。
 第2は、作文を書いている間は、消しゴムで消さない、書いたところを読み返さない、書くことを考えない、という三つのことをできるだけ守ることです。
 第3に、書くことをあれこれ考えずに書くためには、作文を書いていて書くことに詰まったときに、最初のメモを見ます。メモを見てすぐに書き続けるというやり方をしていけば、途中で考える時間を減らすことができます。
 第4に、作文の4分の3ぐらいまでの長さはほぼノンストップで書いていきます。途中で話が多少脱線したりずれたりしていても構いません。最後の4分のがまとまっていれば、全体がまとまってくるからです。
 第5に、作文の結びの4分の1ぐらいに来たときに、初めて全体を読み返してまとめる体制に入ります。まとめる場面では、書き出しの意見とできるだけ対応するように考えていきます。
 このような形で、ノンストップで速く書く練習は、1、2ヶ月でできます。
 毎週1回作文を書いている人は、同じテーマで同じ内容の文章を書く練習をする形で、毎日作文を書いていきます。1ヶ月毎日30分で800字を書く練習をしていると、速く書く感覚がつかめます。

■受験作文での複数文章課題

 受験に作文を課す学校が増えています。受験作文は、最初の年は単純な題名課題で始まることが多いようです。例えば、「これまでの学校生活での思い出」とか「私がこれまでにがんばったこと」などの題名です。
 こういう題名でも、受験生の作文力には差が出ますが、すぐに受験生が課題に対して準備をしてくるようになります。すると、ほとんどの受験生の実力が向上するので、採点する側は点数をつけるのが大変になります。
 そこで、次第に難しい課題になります。題名課題よりも難しいのは感想文課題です。文章を読ませてそれに対して感想を書かせる形は読解力も要求されるので、題名課題のときよりも書くのが難しくなります。しかし、それでも要領のいい生徒は、課題文のキーワードを引用しつつ自分なりに準備してきた材料で書いていくことができます。
 本当は、作文の課題を一つだけではなく複数出すようにすれば、実力の差はもっとはっきり出てきます。しかし、そのやり方では採点の負担が大きくなりすぎます。昔、東大の後期試験で小論文課題を出していたことがありました。最初は単純な課題でしたが、だんだん文章を読ませる複雑な形になり、複数の小論文を書かせる形になりました。しかり、やはり採点者の負担が大きすぎたのでしょう。この小論文試験は廃止になりました。
 感想文の課題をもっと難しい形にしたものが、複数の文章を読ませて感想を書かせる感想文です。Aの文章とBの文章を読ませて、その両者に共通する点と相違する点を自分なりに整理してかくのですから、内容を理解していないと書けません。また、ただ一つの文章を読ませる感想文課題では、キーワードを入れれば何とか書けますが、複数の文章課題ではキーワードだけではなく複数の文章の内容を組み合わせないと書けません。この複数の文章による感想文課題が、受験作文の主流になっています。
 では、複数の感想文課題に対する書き方はどのようにしたらいいのでしょうか。以下の説明は、ちょっとレベルの高い書き方です。
┏━C━┓
┃A・B┃
┗━━━┛ AとBの二つの文章があったとします。二つの文章が共通している話題をCと考えます。
 Cという分野に関して自分の考えcを決めます。
 Aの文章のキーワード(又はキー概念)をaとします。
 Bの文章のキーワードををbとします。
 作文は、自分の考えであるcを通常の題名課題を書くのと同じ要領で、「説明→展開1→展開2→まとめ」と書いていきます。その展開1と展開2の部分にaとbを盛り込みます。
 つまり、作文の中心になるのは自分の考えcであり、そのcを補強するものとしてaとbを使うという考え方です。
 こういう書き方はレベルが高いので、採点する側にそのように書いたということがわかるようにする必要があります。そのために、AとBの文章のキーワードを意識的に使っていくのです。

■受験作文の家庭での練習

 言葉の森で入試作文の練習をしている人は、家庭でも勉強の続きをしていきましょう。
 それは、教室で書いた作文と同じテーマで、自分の書いた作文を思い出しながら短時間で書き上げる練習です。
 毎日1回、そのように自分が書いたものを思い出して作文を書いていると、作文を書く感覚に慣れてきます。新しいテーマでなく、既に書いたことのある作文を思い出して書くのですから、勉強の負担はあまり大きくありません。
 同じテーマの作文を書くときは、できるだけ消しゴムを使わずに短時間で書いていきます。初めて書くテーマのときは、実例や意見をいろいろ考えるので時間がかかってもかまいませんが、仕上げの練習として同じテーマで書くときは、短時間で書き上げることが大切です。
 入試に合格する作文の条件は、(1)時間内に書くスピード、(2)字数いっぱいまで書いてあるボリューム、(3)光る表現(と主題)、(4)味のある実例、の4つです。
 このうち、スピードとボリュームは、家庭で力をつけていくことができます。スピードは、途中で読み返したり考えたりせずに、最後まで一挙に書き上げる練習で身につきます。これを、同じテーマで書く練習をするときに心がけていくとよいでしょう。
 ボリュームは、何が何でも目標の字数まで埋めるという練習でつけていくことができます。これも、同じテーマで書く練習をするときに心がけていきます。
 芸がないようですが、スピードとボリュームは、テクニックではなく、本人のがんばろうとする意識と慣れで力がついていくものです。
 光る表現は、作文を書く中で偶然生み出される面があります。一生懸命に書いていると、自然にいい表現が出てくることがありますから、それをたくさんストックしておきます。
 光る表現を意識的に書くには、小学生の場合は一般化の主題で「○○は(人間にとって)……である」というスタイルで考えてみます。中学生や高校生は、「○○はAではなくBである」というスタイルで、自分なりの名言を作っていくことができます。この自作名言は、小学生の場合ももちろん使えます。
 味のある実例は、作文に書く実例ををお父さんやお母さんがアドバイスをしてあげることでついていきます。子供が自分で思い出せないようなことでも、親が「この話なら、昔こういうことがあったじゃない」と示唆してあげることができます。また、お父さんやお母さんに聞いた話ということで、両親の実例を書いていくこともできます。親に聞いた話というのは、意外といい実例になるものです。
 作文試験がだんだん広がっていくと、受験生がみんな作文試験の対策を立てくるので、試験の問題もそれに対応して異常に難しい問題になっていきます。なぜこういう難しい試験をするかというと、書くことに自信のある子は、到底書けないような課題が出ても何とか書いてしまうので、そこで差がつくのです。そういう自信をつけるには、書く回数を増やすことです。言葉の森の指導は週に1回ですから、その間の6日間は、これまでに書いたものと同じテーマで同じように書く練習をしていってください。

■受験直前の作文小論文

 受験直前の取り組みの説明です。
 まず、作文小論文の試験では、どういう課題が出るかわかりません。ここがいちばん不安なところです。この不安をなくすには、次のように考えることが大切です。「運がよければ、いい課題が出るだろう(笑)」。
 書きやすい課題が出れば自分の普段の心がけがよかったからだと考えます。しかし、書きにくい課題が出たときは、「こんなに書きにくいのだから、ほかの人もみんな苦労しているだろう。だから自分は自分のベストを尽くせばいいのだ。ラッキー」と思えばいいのです。
 さて、直前までの勉強の中心は、これまでに書いた自分の文章です。
 どんな参考書よりも自分の書いた文章がいちばんの財産です。書いたものを何度も読み直し、自分なりによく書けているところに赤ペンで線を引いていきます。それを試験の直前まで続けていってください。よく書けているところとは、切れ味のいい表現、感動のあるエピソード、味のある会話などのあるところです。
 試験の当日には、自分の書いた文章のファイルと1冊の本を持って出かけます。本は、空いている時間などに読みましょう。小説よりもノンフィクションの方がいいでしょうが、自分の好きなものでかまいません。これは、面接のときも同じです。何気なく手に持っていった本が、作文試験や面接のときに意外と使えることがあります。
 試験の会場でも、時間があれば、これまで自分が書いた文章のいいところだけを読んでおきましょう。
 試験が始まったら、課題を見て、これまでに書いた文章の使えそうなところを簡単にメモします。作文に、その使えそうなところが三つも入れば大成功です。もちろん、使えそうなところが何もなくても大丈夫です。これまでに書いたものが頭に入っているので、書いている間に自然に続きが出てきます。
 書いたあとは、もちろん読み返し。1、2文字の訂正なら消しゴムで、それ以上の長い訂正は消しゴムを使うと汚くなるのでなるべく訂正をしないように工夫していきましょう。
 原則として消しゴムは使わないつもりで書いていきます。これは普段の練習のときも同じです。
 試験までにまだ時間があり、もう少し書く練習をしたいという場合は、自分がこれまでに書いたものと同じテーマで同じ内容を時間内に書く練習をしていってください。新しい課題に取り組む必要はありません。書く時間が取れないときは、頭の中で構成を考えるだけでも練習になります。
 それでは、試験まで、これまでに書いたものを何度も読み返してがんばってください。

■進んで取り組む受験と、引きずられて取り組む受験

 受験勉強には、プラスの面とマイナスの面とがあります。中学3年生以上で、子供が自分の意思で自覚して取り組むときの受験勉強は、その子自身を大きく成長させます。自覚して取り組んだときの勉強の密度はかなり高いので、それまでの数年間の遅れなどすぐに取り戻せるということがよくあります。
 だから、子供たちの勉強で大事なことは、早めに受験勉強に取り組ませることではなく、普段から自覚的、自主的に物事に取り組むようにしておく習慣作りと、その学年に応じた基礎学力作りです。
 受験勉強のマイナス面は、引きずられて受験に取り組む場合に出てきます。本人にまだ自覚が十分でないときに、受験という競争状態に入ると、意欲を持たせるために、賞罰や競争の勝ち負けという刺激に頼る場面が出てきます。これもほどほどであれば問題はないのですが、あまり頻繁に刺激で意欲を持たせようとすると、刺激がなければ勉強しないという子になってしまうのです。
 こういう受験勉強の弊害は一般にはあまり明らかになりませんが、それでも次第にそういう心配をするお父さんやお母さんが増えてきたように思います。
 いちばんいいのは、普段から確実な基礎学力を育てておき、子供が自分の意思で受験勉強に取り組むようになったときの土台を確実に作っておくことです。そして、この普段からの確実な基礎学力をつけるのは、やはり家庭学習がいちばんふさわしいのです。
 


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