ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 森リン大賞の作品から(高校生の部 7月の第1位) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2690番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/20
森リン大賞の作品から(高校生の部 7月の第1位) as/2690.html
森川林 2016/09/26 19:24 


 7月の森リン大賞で90点を取り、高校生の部で第1位となった高1の生徒の作品です。
 意見の焦点が絞られていると同時に、その意見の裏付けとなる実例が具体的に書かれています。
 構成も、複数の方法という形でわかりやすく書けています。
 森リン点で90点以上を取るのはかなり難しいので、ときどき90点の作文が書ける実力があれば、大学入試の小論文はどこでも合格できる力があります。

   テレビアニメから考える深い思考の意義

             きろる

 テレビアニメ「それいけアンパンマン」や「ドラえもん」は、水戸黄門のようなワンパターンを繰り返している。問題を根っこから解決しようとする場面が存在しない。テレビアニメの短絡さが気になって仕方ない。この二つの誰もが知っているアニメ番組ですら人と人がじっくり向き合い、どうすれば問題が解決するのか、掘り下げて考える場面が出てこない。少なくなっていく子供たちの体験の場所を補うのではなく、短絡的なワンパターンを繰り返すことで、長寿番組になっている。僕たちは物事について短絡的にではなく深く考える機会を持つべきである。そのために考えられる方法は二つある。

 第一の方法としては、テレビアニメなどの既製品の中に答えを見出そうとするのではなく、自分で考えられるようにすることだ。僕自身も、学校での課題の発表や様々なスピーチなどが多く、それに伴って想定外のアクシデントもたくさん体験した。もちろん現実ではそのようなことが起こってもドラえもんが素敵な道具を持ってきてくれるわけではないし、アンパンマンのような正義のヒーローがやって来てその状況を打開してくれるわけではない。だからこそこちらも対策をしておかねばならないのである。例えば僕は中学生の頃、新入生に対する部活動紹介のプレゼンテーションで自分の所属する部活動を紹介するという体験をした。当時科学部の部長であった僕は、プレゼンテーションと同時に行う科学実験が失敗したときに備えて予め成功した時の動画を用意しておいた。また、学校での調べ学習の最後に行う発表では、制限時間内に終わりそうにない時に切る文章や逆に時間が余った時に足す文章を考えておくようにしている。そうすれば、多少の事故なら対応できるというものだ。

 第二の方法としては、様々な人が関わり合えるような環境を整え、その中で生き方の知恵を学ぶような場をつくることだ。人間は、自分一人で考えるだけでなく、他人の経験を参考にすることができる。例を挙げるならば、生き方の知恵ではないが学校のイベントなどが当てはまる。イベントは異なる世代が交わる機会が多くなり得るからである。特に体育祭や文化祭では毎年構成を一から考え直すのではなく、前年度までの内容を参考に企画することが多い。こういうイベントは、先輩方が創り上げてきたものを踏襲しつつも新たな仕組みをもって革新するものである。ちなみに僕の学校の文化祭のスローガンは、少し味気ない気もするがこれに準じて「踏襲と革新」となっている。

 確かに、手本があることで大胆な解決を図ったり落ち着いた対応をすることもできる。しかし、僕たちは様々な問題の持つ複雑な側面を自ら見つめ、それについて考えていかねばならない。想定外の事故に対応するために必要なのは初めから与えられていた手本ではなく自分で物事についてしっかりと考えられる力である。僕たちは物事について手本に与えられたような考え方で考えるのではなく、自ら深く考えるようにするべきだ。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子供たちの作文(59) 森リン(103) 

コメント欄

nane 2016年9月26日 19時44分 1 
 中学生以上の生徒が気合いを入れて書いた作文の中には、大人でも書けないような優れたものがよくあります。
 当の本人が、大学生や社会人になったあと、自分が中高生だったころの作文を読んで、「僕って、すごくいい作文を書いていたんですね」と感心するぐらいなのです(笑)。


森川林 2016年9月26日 19時44分 1 
 7月の森リン大賞の高校生の部で1位となった作品です。
 小学1年生のころは、どの子も、「きょうは こうえんで ともだちとあそびました。」などという、のどかな作文を書いていますが、そういう子供たちが、その後の読書と経験の中で成長し、やがて立派な論説文を書くようになるのです。


sizuku 2016年9月27日 20時59分 51 
やはり自分の考えだけで書き進めるのではなく、体験実例をどうやって入れてゆくかで個性が引き立つ光る文章になりますね。

コメントフォーム
森リン大賞の作品から(高校生の部 7月の第1位) 森川林 20160926 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
あいうえ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「あいうえ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子供たちの作文(59) 森リン(103) 
コメント1~10件
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7
タイマー勉強法 森川林
 勉強も、家事も、仕事も、やらなければならない細かいことがた 4/2
人間の役割 森川林
うちの子が1歳か2際のとき、 車で30分ほどの三浦海岸につ 4/2
舞岡のシラサギ 森川林
舞岡八幡宮に行ったら、帰りにシラサギがいた。 3/29
身体や物理的現 森川林
身体や物理的現実は、時間や空間に限定されているが、意識はそれ 3/29
メジロとか、ヒ 森川林
メジロとか、ヒヨドリとか、スズメとか、ヤマバトとかが、毎日わ 3/28
批判と創造 森川林
人を批判することはたやすい。 大事なことは、批判ではなく創 3/27

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習