百人一首集 4  二〇一三年二月十四日 改訂
百人一首ひゃくにんいっしゅ勉強べんきょう仕方しかた  作文教室 言葉の森

 一にちに三しゅを、三十かいぐらい音読おんどくし、三しゅ続けつづ 暗唱あんしょうできるようにしましょう。かかる時間じかんは十ぷんぐらいです。

 続けつづ 暗唱あんしょうできるひとは、一週間しゅうかんで九しゅ、一か月 げつで二十七しゅ続けつづ 暗唱あんしょうできるようにしていきましょう。

 言葉ことば意味いみ知りし たいときは、古語こご辞典じてんやウェブ古語こご辞典じてん調べしら ましょう。

 ウェブ古語こご辞典じてん
 http://kobun.weblio.jp/


 百人一首ひゃくにんいっしゅしゅうは、家庭かてい学習がくしゅう国語こくごのページにあります。
 https://www.mori7.com/kg/koku/
 
おもひわびさてもいのちはあるものをうきにたへぬはなみだなりけり 思ひわびさても命はあるものを憂きにたへぬは涙なりけり 道因法師 千載集
おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり 思ひわび(オモヒワブ 動 バ上二 用)さて(サテ 副)も(モ 係助)命(イノチ 名)は(ハ 係助)ある(アリ 動 ラ変 体)ものを(モノヲ 接助)憂き(ウシ 形 ク 体)に(ニ 格助)たへ(タフ 動 ハ下二 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)は(ハ 係助)涙(ナミダ 名)なり(ナリ 助動 断定 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)
  よのなかよみちこそなけれおもひいるやまのおくにもしかぞなくなる 世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成 千載集
よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる 世の中(ヨノナカ 名)よ(ヨ 間助)①道(ミチ 名)こそ(コソ 係助)なけれ(ナシ 形 ク 已)②思ひ入る(オモヒイル 動 ラ四 体)山(ヤマ 名)の(ノ 格助)奥(オク 名)に(ニ 格助)も(モ 係助)鹿(シカ 名)ぞ(ゾ 係助)鳴く(ナク 動 カ四 終)なる(ナリ 助動 推定・伝聞 体)
  ながらへばまたこのごろやしのばれむうしとみしよぞいまはこひしき ながらへばまたこの頃やしのばれむ憂しと見し世ぞいまは恋しき 藤原清輔朝臣 新古今集
ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき ながらへ(ナガラフ 動 ハ下二 未)ば(バ 接助)また(マタ 副)この頃(コノゴロ 名)や(ヤ 係助)しのば(シノブ 動 バ四 未)れ(ル 助動 自発 未)む(ム 助動 推量 体)③憂し(ウシ 形 ク 終)と(ト 格助)見(ミル 動 マ上一 用)し(キ 助動 過去 体)世(ヨ 名)ぞ(ゾ 係助)いま(イマ 名)は(ハ 係助)恋しき(コヒシ 形 シク 体)
よもすがらものおもふころはあけやらでねやのひまさへつれなかりけり 夜もすがらもの思ふころは明けやらで閨のひまさへつれなかりけり 俊恵法師 千載集
よもすがら ものおもふころは あけやらで ねやのひまさへ つれなかりけり 夜もすがら(ヨモスガラ 副)もの思ふ(モノオモフ 動 ハ四 体)ころ(コロ 名)は(ハ 係助)明け(アク 動 カ下二 用)やら(ヤル 動 ラ四 未)で(デ 接助)閨(ネヤ 名)の(ノ 格助)ひま(ヒマ 名)さへ(サヘ 副助)つれなかり(ツレナシ 形 ク 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)
  なげけとてつきやはものをおもはするかこちがほなるわがなみだかな なげけとて月やはものを思はするかこちがほなるわが涙かな 西行法師 千載集
なげけとて つきやはものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな なげけ(ナゲク 動 カ四 命)と(ト 格助)て(テ 接助)月(ツキ 名)や(ヤ 係助)は(ハ 係助)もの(モノ 名)を(ヲ 格助)思は(オモフ 動 ハ四 未)する(ス 助動 使役 体)③かこちがほなる(カコチガホナリ 形動 ナリ 体)わ(ワ 代名)が(ガ 格助)涙(ナミダ 名)かな(カナ 終助)
  むらさめのつゆもまだひぬまきのはにきりたちのぼるあきのゆふぐれ 村雨の露もまだひぬまきの葉に霧立ちのぼる秋の夕暮 寂蓮法師 新古今集
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ 村雨(ムラサメ 名)の(ノ 格助)露(ツユ 名)も(モ 係助)まだ(マダ 副)ひ(ヒル 動 ハ上一 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)まき(マキ 名)の(ノ 格助)葉(ハ 名)に(ニ 格助)霧(キリ 名)立ちのぼる(タチノボル 動 ラ四 体)秋(アキ 名)の(ノ 格助)夕暮(ユフグレ 名)
なにはえのあしのかりねのひとよゆゑみをつくしてやこひわたるべき 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき 皇嘉門院別当 千載集
なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや こひわたるべき 難波江(ナニハエ 名)の(ノ 格助)蘆(アシ 名)の(ノ 格助)かりね(カリネ 名)の(ノ 格助)ひとよ(ヒトヨ 名)ゆゑ(ユヱ 名)み(ミ 名)を(ヲ 格助)つくし(ツクス 動 サ四 用)て(テ 接助)や(ヤ 係助)恋ひ(コフ 動 ハ上二 用)わたる(ワタル 動 ラ四 終)べき(ベシ 助動 推量 体)
  たまのをよたえなばたえねながらへばしのぶることのよわりもぞする 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする 式子内親王 新古今集
たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする 玉の緒(タマノヲ 名)よ(ヨ 間助)①絶え(タユ 動 ヤ下二 未)な(ヌ 助動 強意 未)ば(バ 接助)絶え(タユ 動 ヤ下二 用)ね(ヌ 助動 完了・強意 命)②ながらへ(ナガラフ 動 ハ下二 未)ば(バ 接助)忍ぶる(シノブ 動 バ上二 体)こと(コト 名)の(ノ 格助)弱り(ヨワル 動 ラ四 用)も(モ 係助)ぞ(ゾ 係助)する(ス 動 サ変 体)
  みせばやなをじまのあまのそでだにもぬれにぞぬれしいろはかはらず 見せばやな雄島のあまの袖だにも濡れにぞ濡れし色はかはらず 殷富門院大輔 千載集
みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず 見せ(ミス 動 サ下二 未)ばや(バヤ 終助)な(ナ 終助)①雄島(ヲジマ 名)の(ノ 格助)あま(アマ 名)の(ノ 格助)袖(ソデ 名)だに(ダニ 副助)も(モ 係助)濡れ(ヌル 動 ラ下二 用)に(ニ 格助)ぞ(ゾ 係助)濡れ(ヌル 動 ラ下二 用)し(キ 助動 過去 体)④色(イロ 名)は(ハ 係助)かはら(カハル 動 ラ四 未)ず(ズ 助動 打消 終)









―1―
 
きりぎりすなくやしもよのさむしろにころもかたしきひとりかもねむ きりぎりす鳴くや霜夜のさ莚に衣片敷きひとりかも寝む 後京極摂政前太政大臣 新古今集
きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ きりぎりす(キリギリス 名)鳴く(ナク 動 カ四 体)や(ヤ 間助)霜夜(シモヨ 名)の(ノ 格助)さ(サ 接頭)莚(ムシロ 名)に(ニ 格助)衣(コロモ 名)片敷き(カタシク 動 カ四 用)ひとり(ヒトリ 名)か(カ 係助)も(モ 係助)寝(ヌ 動 ナ下二 未)む(ム 助動 推量 体)
  わがそではしほひにみえぬおきのいしのひとこそしらねかわくまもなし わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐 千載集
わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし わ(ワ 代名)が(ガ 格助)袖(ソデ 名)は(ハ 係助)潮干(シホヒ 名)に(ニ 格助)見え(ミユ 動 ヤ下二 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)沖(オキ 名)の(ノ 格助)石(イシ 名)の(ノ 格助)人(ヒト 名)こそ(コソ 係助)知ら(シル 動 ラ四 未)ね(ズ 助動 打消 已)乾く(カワク 動 カ四 体)ま(マ 名)も(モ 係助)なし(ナシ 形 ク 終)
  よのなかはつねにもがもななぎさこぐあまのをぶねのつなでかなしも 世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも 鎌倉右大臣 新勅撰集
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのをぶねの つなでかなしも 世の中(ヨノナカ 名)は(ハ 係助)常(ツネ 名)に(ナリ 助動 断定 用)もがも(モガモ 終助)な(ナ 終助)②渚(ナギサ 名)こぐ(コグ 動 ガ四 体)あま(アマ 名)の(ノ 格助)小舟(ヲブネ 名)の(ノ 格助)綱手(ツナデ 名)かなし(カナシ 形 シク 終)も(モ 終助)
みよしののやまのあきかぜさよふけてふるさとさむくころもうつなり み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経 新古今集
みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり み(ミ 接頭)吉野(ヨシノ 名)の(ノ 格助)山(ヤマ 名)の(ノ 格助)秋風(アキカゼ 名)さ(サ 接頭)夜(ヨ 名)ふけ(フク 動 カ下二 用)て(テ 接助)ふるさと(フルサト 名)寒く(サムシ 形 ク 用)衣(コロモ 名)うつ(ウツ 動 タ四 終)なり(ナリ 助動 推定 終)
  おほけなくうきよのたみにおほふかなわがたつそまにすみぞめのそで おほけなく憂き世の民におほふかなわが立つ杣にすみぞめの袖 前大僧正慈円 千載集
おほけなく うきよのたみに おほふかな わがたつそまに すみぞめのそで おほけなく(オホケナシ 形 ク 用)憂き世(ウキヨ 名)の(ノ 格助)民(タミ 名)に(ニ 格助)おほふ(オホフ 動 ハ四 体)かな(カナ 終助)③わ(ワ 代名)が(ガ 格助)立つ(タツ 動 タ四 体)杣(ソマ 名)に(ニ 格助)すみぞめ(スミゾメ 名)の(ノ 格助)袖(ソデ 名)
  はなさそふあらしのにはのゆきならでふりゆくものはわがみなりけり 花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり 入道前太政大臣 新勅撰集
はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり 花(ハナ 名)さそふ(サソフ 動 ハ四 体)嵐(アラシ 名)の(ノ 格助)庭(ニハ 名)の(ノ 格助)雪(ユキ 名)なら(ナリ 助動 断定 未)で(デ 接助)ふりゆく(フリユク 動 カ四 体)もの(モノ 名)は(ハ 係助)わ(ワ 代名)が(ガ 格助)身(ミ 名)なり(ナリ 助動 断定 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)
こぬひとをまつほのうらのゆふなぎにやくやもしほのみもこがれつつ 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ 権中納言定家 新勅撰集
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ 来(ク 動 カ変 未)ぬ(ズ 助動 打消 体)人(ヒト 名)を(ヲ 格助)まつほの浦(マツホノウラ 名)の(ノ 格助)夕なぎ(ユフナギ 名)に(ニ 格助)焼く(ヤク 動 カ四 体)や(ヤ 間助)藻塩(モシホ 名)の(ノ 格助)身(ミ 名)も(モ 係助)こがれ(コガル 動 ラ下二 用)つつ(ツツ 接助)
  かぜそよぐならのをがはのゆふぐれはみそぎぞなつのしるしなりける 風そよぐならの小川の夕暮はみそぎぞ夏のしるしなりける 従二位家隆 新勅撰集
かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれは みそぎぞなつの しるしなりける 風(カゼ 名)そよぐ(ソヨグ 動 ガ四 体)ならの小川(ナラノオガハ 名)の(ノ 格助)夕暮(ユフグレ 名)は(ハ 係助)みそぎ(ミソギ 名)ぞ(ゾ 係助)夏(ナツ 名)の(ノ 格助)しるし(シルシ 名)なり(ナリ 助動 断定 用)ける(ケリ 助動 詠嘆 体)
  ひともをしひともうらめしあぢきなくよをおもふゆゑにものおもふみは 人もをし人もうらめしあぢきなく世を思ふゆゑに物思ふ身は 後鳥羽院 続後撰集
ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは 人(ヒト 名)も(モ 係助)をし(ヲシ 形 シク 終)①人(ヒト 名)も(モ 係助)うらめし(ウラメシ 形 シク 終)②あぢきなく(アヂキナシ 形 ク 用)世(ヨ 名)を(ヲ 格助)思ふ(オモフ 動 ハ四 体)ゆゑ(ユヱ 名)に(ニ 格助)物思ふ(モノオモフ 動 ハ四 体)身(ミ 名)は(ハ 係助)









―2―
 
ももしきやふるきのきばのしのぶにもなほあまりあるむかしなりけり ももしきや古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり 順徳院 続後撰集
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほあまりある むかしなりけり ももしき(モモシキ 名)や(ヤ 間助)①古き(フルシ 形 ク 体)軒端(ノキバ 名)の(ノ 格助)しのぶ(シノブ 動 バ四 体)に(ニ 格助)も(モ 係助)なほ(ナホ 副)あまり(アマリ 名)ある(アリ 動 ラ変 体)昔(ムカシ 名)なり(ナリ 助動 断定 用)けり(ケリ 助動 詠嘆 終)
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 

―3―