こうして、いまや熱の機能としての現代の火は、一方では飼いならされた従順なしもべであると同時に、他方ではいつどこで暴走するかもしれない不気味なダレモクレスの剣と化してしまっているのだ。 （91字）

　

　いきもののように焔をあげ、やがて燃え尽きて灰になっていくかつての火の姿には、霊的な生命を予感させる存在感があった。それに代わって家庭の中には、電気釜や電子レンジが現れ、石油ストーブやセントラルヒーティングが復旧し、かつてのランプの焔の周りに広がっていた闇のしじまは消え失せてしまった。皮肉なことに、かつての独裁者的な火の神は、今ではすっかりおとなしくなり、たくましく焔をあげて燃える原初の火に触れる機会は少なくなった。こうして、いまや熱の機能としての現代の火は、一方では飼いならされた従順なしもべであると同時に、他方ではいつどこで暴走するかもしれない不気味なダレモクレスの剣と化してしまっているのだ。
　現代の人々には火などといった楽を追及して生きていくことが主流となっている。僕はその逆の楽をしすぎない生き方でいきていこうと思う。何故ならどんどん楽なものが生まれているのにも関わらず自分たちはどれに対して知識不足であるからるからだ。たとえばスマホやタブレットなど普段は確かに何不自由なく使うことができているが、もしもハッキングされてしまった時の対処法をしっているだろうか。少なくとも僕にはどうすることもできない。昔僕はストーブに足を近づけすぎて大やけどをしてしまったことがあった。それは何故なのか、その理由は明白で自分には火に対する知識が不足していたからだ。もしもその時火に対する恐ろしいという名の知識が自身に備わっていれば、こんなにも日常で普段使いしているものから自身に危険が及ぶこともなかったのだ。
　だが確かに知識が足りている人ならばそれらを使いこなせることができるのではないかと思うだろう。しかしそれは安易な考えであると僕は思う。何故なら知識があったところでどんどん新しくなんて行く物たちに追いつくことは到底難しいからだ。簡単に言えば知識があってもゆくゆくはその知識は古い知識へと変わってしまうという事だ。たとえば具体的に上げるならばポケモンがその一つだと思う。ポケモンは昔からずっと続編が出されているロングセラーだが、続編が出されるたびにその時のポケモンは新しいポケモンへと上書きされてしまう。そうしていくうちに過去の作品は忘れられていくのだ。しかし、今でもその昔の作品を遊んでいる人がいるその人は新しい作品に振り回さされずに済んでいる。つまりは新しい知識を持とうと、新しいものを追いかけずに今あるものに対しての知識を深め、使
いこなせば何にも劣らない便利な物となるという事だ。
　だから僕は楽をしすぎず、今ある便利な物に対しての知識を深めることでうまく使いこなし、新しいものばかりを追い求めないように生きていこうと思う。そうすればきっと先の事ばかりでなくいまのことがみえてくるとおもった。