ぼくは、初めて食べたり飲んだりするものは、広島でお母さんが食べたカキのように、成長するにつれて、だんだんとおいしく食べることができるようになるということがわかりました。 （85字）

　

　飲んじゃったビール
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　坂井　颯真
「うえーっ、にっがー。」
ぼくがまだ小さかったときです。ぼくは、お父さんの飲みかけのビールを、お茶と間違えて飲んでしまったことがありました。ぼくは、お茶だと思っていたのに、いきなりとても苦いビールを飲んでしまって、笑いながら泣いてしまいました。ただし、ぼくはこのとき、きちょうな一口のビールを飲んで、ビールはとても苦いことがわかりました。
　「どーしよう、大丈夫かなぁ。」ぼくは、子どもがビールを飲んでしまうと、頭がおかしくなってしまうと聞いて、とても心配になりました。そして、まるでこの世の終わりが来たかのように怖くなりました。ぼくは、頭がいたくなったり、気持ちが悪くなってしまうのではないかと思っていたけれど、結果は大丈夫で、ほっとしました。もちろん初めて飲んでしまったビールだけれど、なんでお父さんやお母さんはおいしそうに飲んでいるのかなと、とても不思議に思いました。
　ぼくは、お母さんに、「初めて食べてびっくりしたものは何？」と聞いてみました。すると、お母さんはなつかしそうに、広島に行ったときに食べたカキの話をしてくれました。お母さんは、
「カキは、子どものころから、大の苦手だったけれど、広島で生ガキを食べたら、とてもおいしくて、今では大の好物へと変わってしまったのよ。」
と教えてくれました。ぼくには、お母さんはカキが大好きなイメージしかなかったので、昔嫌いだったと聞いて、とてもびっくりしました。
「カキが大好きすぎて、一度に３０個も食べたこともあるよ。」
と、お母さんは、今にもカキが食べたそうな顔をしながら言いました。ぼくは、そんなにたくさん食べるほどカキが好きになってよかったなと思いました。
　ぼくは、初めて食べたり飲んだりするものは、広島でお母さんが食べたカキのように、成長するにつれて、だんだんとおいしく食べることができるようになるということがわかりました。ぼくも、大人に成長したら、あんなに苦かったビールでも、お父さんやお母さんのようにおいしく飲めるのかなと思いました。