授業の渚 mi-08-2


↑スタート/ストップ音声オン/オフ↑
登場人物紹介

吉川 天才的サッカー選手
宗介 吉川と名コンビ 学業成績は、もう少し頑張れば進学校に手が届く
浅野 サッカー部コーチ


 吉川のチームは、昨年の都大会では惜しくも準優勝となり、今年こそは優勝をと団結を強めていた。しかし、夏休みを前にした暑い午後のこと、有力選手である宗介が突然退部を申し出た。

宗介「退部します。お世話になりました。」

浅野「冗談はよせ。」

宗介「本気です。辞めさせてください。」

浅野「仲間を裏切るのか。」

宗介「自分の生き方を自分で決めただけです。」

 こうして、宗介は勉学に専念すべくサッカー部を辞めていった。しかし、事態はそれだけでは済まなかった。宗介の後を追うように、三年生のレギュラーたちが次々に受験を理由に退部し、吉川だけが残された。

 一学期の終業式を終えて校門を出るところで宗介は吉川に呼び止められる。

吉川「おれはさあ、頭もよくねえし、板前にでもなっておふくろの店手伝うしかねえんだけど、サッカーやりてえんだ。都大会のベストイレブンになれたら、私立高校のサッカー部に特待生で入れるかと思ってな。あの小せえ店に入る前に、夢くらい見たっていいと思ってな。」

(志づゑ「小せえ店で悪かったね。」)

宗介「悪いな。」

吉川「いや、いいんだ。ただ、おれのグチも聞いてもらいたくてさ。気にすんな。おまえ、いいウィングだったよ。」

(ウインクする志づゑ。)
(吉川「それはウインクだろ。」)

 両手で涙を拭いながら走り去る吉川を見送ると、宗介は振り返ることもなく校門を後にした。

 第一段落は、まず長文の要約を書きます。寸劇を元に、話の流れを簡単にまとめてみましょう。要約の後は、「自分の信念を貫き通すことは良いことだ。」などという意見を書きます。

 第二段落は、その一つ目の理由です。「その第一の理由は、自分の信念を貫けば後悔しないからだ。」
 実例は、他人の意見に流されず自分の意志で決めたので後悔しなかったこと、または、他人の意見に影響され、信念を曲げてしまったので後悔したといった話を思い出して書いてみましょう。
 友達に早弁を誘われたけれど、悪いことだと思ったので誘いに乗らなかったというような話です。

 第三段落は、二つ目の理由です。「また第二の理由は、他人に合わせていると自分らしさがなくなってしまうからである。」
 実例は、歌の好きな友人に誘われて合唱部に入部したが、自分は音痴だったので、口を開けて歌っているふりをするばかりだった。絵を描くことが好きなので、美術部に入ればよかったと後悔したというような話が書けそうです。

 第四段落は、反対意見に対する理解を示した後、名言を引用し、書き出しの意見に戻ってまとめます。「確かに他者と協調することも大切だ。しかし、『自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと、ついには自分が生きたとおりに考えるようになってしまう。』という名言があるように、自分の意志を曲げず、信念を貫き通す方が後悔しない、自分らしい人生を送ることができると思う。」などとまとめてみましょう。