授業の渚 nnga-05-3


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 ガジュマロの5.3週は、ロボットとアニミズムと人間性と想像力の話だよ。と全部まとめて言ってもよくわからないけどね。
【1】
 例えば、友達がカッターナイフで指を切っちゃったとする。それを見て、君は「痛そう」と思うでしょ。間違っても「気持ちよさそう」なんて思わないよね。そう思う人はかなり危ないから。
 ところが、その人の痛みを君は実際に感じているわけではない。それは、別の例でも同じ。例えば、君がおなかがすいているのに、友達が代わりにたくさん食べておなかいっぱいになってくれたからそれでいいだろう、というわけにはいかない。
 ここに働いているのは、想像力だ。他人の痛みや他人の喜びに対する想像力が現代の社会では欠けてきているのではないか、などと社会問題を考えてみよう。
【2】
 第二段落は、その原因一番。これは、やはりリアルな経験が不足しているからかなあ。逆に言うと、バーチャルな経験で間に合わせることが多くなりすぎているということかな。
 例えば、テレビゲームで敵を倒すでしょ。そのときに、「やった。ざまあみろ」なんて言う人がいるでしょ。中には、「ぶっころしてやる」なんてひどいことを言う人もいるね。間違っても、「あ、倒しちゃった。痛そう。ごめんね」なんて言う人はいない。でも、バーチャルな世界でなら、そんな攻撃は何ということもないんだ。爆風で百メートルぐらい吹き飛ばされているのに、そのあと「くっそう」などと立ち上がって、「よくやるなあ。ふふふ」なんて笑っていられるんだからね。
【3】
 第三段落は、原因の二番。日本の伝統であるアニミズムの文化が、近代の合理主義的な考えによって後退させられてきたためかなあ。例えば、みんなも小さいころは、雲を見て、「あ、ゾウさんだ」とか「クジラさんだ」とか言っていたでしょう。それから、小さいときには、草むらの陰にトトロを見つけたことがあるでしょう。え、今も近くの公園によくいるって。それはただの昼寝をしているおじさんだよ。
 小さい子供が、アニミズムの世界で生きているところに、大人が、「そんなこと言っていないで、算数の九九でも覚えなさい」なんて言うから、だんだん想像力がなくなってしまうんだね。
【4】
 最後の段落は、反対理解とまとめ。
 確かに自分と他人が違うという現実を冷静に見つめることも大切だが、しかし、人間は、相手に心を感じることによって、自分もまた人間になっていく、ということだね。
 だから、君たちも今度から、自分の身の回りにあるものすべてに、心があると感じるといいよ。そのためには、物に対して人間のように声をかけるといい。例えば、「えんぴつ君、今日もがんばっていい答えを書いてね」とか、「パンツさん、今日もうす暗いちょっと湿ったところで悪いけどがんばってね」とか、そういうふうに言っていくんだよ。