授業の渚 nnza-05-3


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 ザクロの5.3週は、身体における歴史性と文化性、それから惰性とユートピアの話だよ。なんてまとめて言っても何が何だかよくわからないよね。
【1】
 第一段落は、状況実例と予測問題の主題。
 身体の問題は、現代の社会の問題にもつながっている、と社会的な話にしていくと書きやすい。
 身体の外見と同じように、我々の社会もインフラのような外観ばかりに目が向きがちだけど、実はその活用の仕方、つまり文化性こそ重要だ、というのが一つの柱だ。
 人間の身体は、外見では同じようなのに、一方は実は空を飛べる人、他方は実は火を吐ける人などと中身が全然違っていることが多い。社会でも同じだね。
 もう一つの柱は、身体が惰性に飽きるように、社会も惰性に飽きる。ユートピアを固定的に考えるのではなく、変化するものと考えることが必要だ、ということになるかな。
 まとめて言うと、理想の社会を論じることは大切だが、その論じ方が、外見的・固定的になっているのではないか、ということだね。
【2】
 第二段落は、その対策一番。長文の趣旨に合わせて書いていくと、外側の形だけを真似するのではなく、中身の文化を見ることだ、ということになるね。
 例えば、日本は、戦後、アメリカの真似をして、パンと牛乳を食べるようになった。でも、当のアメリカでは、お米と味噌汁などという日本の伝統の食事に対する評価が高まっているんだよ。
 又は、平らな屋根のモダンな家を雪国に作ったのはいいけど、雪の重みでつぶれてしまったとか、ほかにも、アメリカのグローバルスタンダードを真似して、会社に業績主義を持ち込んだのはいいが、日本のそれまでの助け合い文化とうまくなじまずにかえって業績が低下した例とか、いろいろありそうだね。
【3】
 第三段落は、対策の二番。
 人間は惰性に飽きるという要素も組み込んだ変化のシステムを考えていく必要があるということだね。
 日本の伊勢神宮は二十年ごとに遷宮と言って、新しい社を建て直すようになっている。ヨーロッパの文化が石造りで永久の建築を目指しているのとは対極的な発想だね。
 どんなにおいしいものでも毎日食べていれば飽きる。やはり、今日カレーを食べたら、明日はラーメン、明日ラーメンを食べたら、明後日はまたカレー、というように食生活に変化を持たせることが文化的な食べ方だね。ペットの犬などはかわいそうに、毎日ドッグフードを食べているけど、たまにはキャットフードを食べさせるなどして変化をもたせてあげるといいよ。
【4】
 第四段落は、反対理解とまとめ。
 確かに、歴史を単なるくりかえしのように見ては進歩がない。ユートピアを目指すことは必要だ。しかし、その理想の社会を、外見からだけから見たり、固定的なものとしてとらえたりすれば、そのユートピアはすぐに反ユートピアに転化する。ユートピアは、変化の中にあるというのが結論かもしれないね。
 ただし、日本には、こんな言葉もある。「商いのコツはあきないことだ」。気長に同じことを続けることも大事なんだよ。