授業の渚 wa-05-3


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 ワタスゲの5.3週は、流れる時間と積み重ねる時間の話だよ。
 流れる時間というのは、日常生活の普段の次から次へと移り変わっていく時間のことで、積み重ねる時間というのは、その流れを一瞬止めて自分自身に立ち返るというような時間のことだよ。
【1】
 第一段落は、状況実例と意見。
 魚釣りをして、一日かかって、メダカが三匹釣れたとするよ。さあ、それだけの時間があったら、その時間を使って仕事をしたお金で、魚屋さんでもっと大きいタイのような魚を買えるね。だから、釣りなんて意味がないのかというとそうじゃない。この釣りをしている時間というのは、この人にとって本来の自分を取り戻すための時間なんだろうね。
 みんなにも、そういう時間があるでしょう。能率面だけから考えたら無駄のように見える時間も、実は人間にとって大切な時間なんだ。だから、意見は、積み重ねる時間の大切さを見直すべき、というところかな。
 でも、人間は、無駄な時間ということに対するうしろめたい気持ちがあるから、この釣りをした人も、帰りに魚屋さんに寄ってタイか何かを買って帰るんだよ。そして、家族につっこまれたりしてね。「お父さん、川に行ったのに何でタイが釣れたの」なんて。そこでお父さんは、「ああ、これはカワダイと言ってな、ちょっとカワッタタイなんだ」なんてね。
【2】
 第二段落は、方法の一番。「そのためには、自分を振り返る空白の時間を大切にすることだ」などと書くといいかもね。
 みんな、フォアグラという変な食べ物を知っているかな。これは、ガチョウにむりやりえさを食べさせて、ガチョウがえさを消化しきれなくなって肝臓を肥大化させたところを食べるんだ。みんなも自分をふりかえって、自分がそんなガチョウになっているような気がするときがあるんじゃないかなあ。そういうときは、こう言うんだ。ガチョーン。ってそのギャグ古すぎるだろ。
【3】
 第三段落は、方法の二番。やはり、積み重ねる時間の大切さを認める「余裕のある社会を作る」ということかなあ。
 助長という言葉を知っているでしょう。これは、中国の故事で、木の苗を早く伸ばそうとして引っ張りすぎて枯らしてしまったという話だよ。
 また、ブロイラーの電気は、一晩中ついているらしい。これは、ニワトリが昼だと思って、年中えさを食べて早く成長するかららしい。
 最近、イルミネーションで、木にクリスマスツリーのライトをつけるのがはやっているでしょう。あれで、木は夜でも昼間だと思って光合成をしようとするから、結局弱って枯れてしまうことが多い。
 最近の先取り教育なども、ちょっと似ているところがあるよね。休まずに先に進むことに価値があるという考えが社会全体にあるんだろうね。
【4】
 第四段落は、反対理解とまとめ。
 確かに、能率のよさは大事だ。
 この絵のように、朝寝、朝酒、朝湯のあとにやがて昼になったので、昼寝、昼酒、昼湯に入り、やがて夕方になったので、晩酌をして、お風呂に入って、早々と寝るというような生活をしていたら、やはりやりすぎだよね。
 しかし、「寝る子は育つ」という言葉があるように、寝ている時間というのは、実はおきているときに身につけたいろいろな経験を自分の中にしっかり定着させておく意味があるんだ。
 では、お休みー。