授業の渚 ya-05-1


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 ヤマブキの課題の説明だよ。
 今日は島国言語の特徴の話。
 第一段落に、この長文全体の要約を書いて、第二段落に、島国言語のよい面を書く。そして、第三段落に、島国言語の悪い面を書き、最後の第四段落で総合化してまとめていく。
 では、スライドを見てみよう。
(1)
 まず島国言語の特徴の一つは、相手によって微妙に第一人称が変わることだ。偉い人の前では、「わたくしは」などと言うけど、お母さんの前では「ぼく」と言うでしょ。それから、弟の前では「おれ」と言うし、犬の前では「てまえども」と言うでしょ。言わないね。
 もちろん、第二人称も、相手によって微妙に変化する。今思いつくだけでも、「君、あなた、おまえ、きさま、てめえ」「てめえ」なんて言っちゃだめだよね。
 さて、第三人称も、相手によって微妙に変化する。例えば、「彼女、カノジョ」この違いわかるでしょ。では、これはどうかな。「彼、カレ、かれー」最後のは、ハバネロを食べたときの言葉だね。
 第一段落の要約は、150〜300字ぐらいでまとめてみよう。
(2)
 次に第二段落は、島国言語のよい面。「確かに、島国言語にはよい面がある。それは、言葉を使わなくても思いやりで相手の言いたいことを察することができるからだ」などと書いていく。
 「ツーと言えばカーと来る」という言葉を知っているよね。これは、二台の自動車が走っているということだよ。うそだよ。
 日本人どうしは、言葉に出さなくても通じ合うところがある。例えば、もじもじしていたら、トイレに行きたいんだなあ、とか。お客さんに早く帰ってほしいときは、「夕飯でも食べていきませんか」と言うなどね。
(3)
 さて、第三段落は、島国言語の悪い面。
 島国に住んでいると、日本人全体が家族のような感じになってしまう。だから、あっちを向いても同じ顔。こっちを向いても同じ顔。犬や鳥まで同じ顔になってしまう。ほら、みんな、「へのへのもへじ」でしょ。たまに、変わった顔があるかと思うと、それは「へめへめくつう」さんだったりして、大して変わらない。
 こういうところに住んでいると、言葉によって相手の理解を得るという発想がだんだんなくなってくる。すると、外国の人と話をするときも、言葉を使わないで、ただじっと見つめているだけ、などということになりかねない。それは、やっぱり気持ち悪いよね。
(4)
 さて、最後の総合化は、どうするか。
 日本語以外の言語、例えばドイツ語や英語にも、弱点はある。それは、話がくどいことだ。パオ君も、この前、シェークスピアという人の書いた本を読んでいて、回りくどいなあと思ったことがある。日本人は、説明しなくてもいいことはできるだけ言わない方がいいという考えがあるでしょう。昔、「男は黙ってサッポロビール」という宣伝があったけど、黙っている方がよさが伝わるという日本文化の中でしか通用しないコマーシャルだよね。
 すると、大事なことは、島国言語がよいか悪いかということではなくて、どういう言い方がその相手に届きやすいかを考えるということだね。つまり、大事なのは、伝え方という方法ではなく、何のために何を伝えるのかという目的だということになる。
 この総合化のあとに、名言を引用してまとめてみよう。
(5)
 では、最後に問題を出そう。日本は島国だけど、イギリスも島国だよね。でも、英語は島国言語とは言わない。これはなぜだろう。うーん、パオ君もわからないなあ。イギリスは、昔は島じゃなかったのかなあ。