a 読解マラソン集 9番 生命を宿したカプセル i3
 たまごはニワトリから生まれ(う  )ます。そのニワトリはたまごから生まれ(う  )ます。さてどちらが先(さき)なのでしょう。
 たまごをうむ動物(どうぶつ)は、ニワトリばかりではありません。サケ、マス、カエル、カメ、ヘビ、トカゲ、ハト、キジ、ダチョウ、それに乳(ちち)で子ども(こ  )を育てる(そだ  )カモノハシも、たまごをうみます。サケとマスのたまごは見分け(みわ )がつかないほどよくにていますが、サケのたまごからはサケが、マスのたまごからはマスが、まちがいなくうまれマス。たまごは、その動物(どうぶつ)の生命(せいめい)を宿し(やど )たカプセルなのです。
 鳥(とり)がたまごをうみ、それをひなにかえすには、何(なん)日(にち)もかかります。その間(あいだ)、親鳥(おやどり)は、外敵(がいてき)からたまごをまもるために、いろいろな工夫(くふう)をします。
 高山(こうざん)にすむライチョウは、ハイマツの中(なか)に巣(す)をつくり、巣(す)を枯れ草(か くさ)でわからなくして敵(てき)の目(め)をあざむきます。川原(かわら)にすむコアジサシは、石ころ(いし  )と見分け(みわ )のつかないようなたまごを小石(こいし)の上(うえ)にうみます。コウノトリは、高い(たか )木(き)の上(うえ)に巣(す)をつくり、敵(てき)が近づく(ちか  )のをふせぎます。このように親鳥(おやどり)たちは、一生懸命(いっしょうけんめい)たまごを守っ(まも )ています。
 では、たまごから子ども(こ  )になるまでの変化(へんか)をいろいろな動物(どうぶつ)でくらべてみましょう。メダカは水中(すいちゅう)生活(せいかつ)をする魚(さかな)です。カエルは水(みず)と陸(りく)の両方(りょうほう)で生活(せいかつ)します。ニワトリは陸(りく)だけで生活(せいかつ)します。このように、メダカもカエルもニワトリも、生活(せいかつ)する場所(ばしょ)はちがうし、親(おや)になったときの大き(おお )さや形(かたち)もちがいますが、たまごの中(なか)で育つ(そだ )ようすをくらべてみると、よくにたところがあります。

 ニワトリが先(さき)か、タマゴが先(さき)か。
「ニワトリさん、お先に( さき )どうぞ。」
「いえいえ、タマゴさんこそお先に( さき )どうぞ。」
「では、いっしょにそろって。」
「わたしたち、ニタワマトゴリ。」

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(Κ)
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a 読解マラソン集 10番 おいしいいも虫はいかが? i3
 1買っ(か )てきた野菜(やさい)の葉(は)に、いも虫(むし)がたくさんついていたらどうしますか。普通(ふつう)は「わあ、いやだ」と急い(いそ )で取り除き(と のぞ )、野菜(やさい)をすっかりきれいにしてから調理(ちょうり)するでしょう。2しかし世界(せかい)には、いも虫(むし)を見(み)て「わあ、おいしそう」と感じる(かん  )人(ひと)たちもいるのです。
 アフリカの一部(いちぶ)では、ガの幼虫(ようちゅう)であるいも虫(むし)が食用(しょくよう)にされています。3それらの地域(ちいき)では、キャッサバやトウモロコシなどのでんぷん質(しつ)が食事(しょくじ)の中心(ちゅうしん)なので、どうしてもたんぱく質(    しつ)が不足(ふそく)しがちです。しかし、質(しつ)のよいたんぱく源(げん)は高価(こうか)で手(て)に入り(はい )にくいのが現状(げんじょう)です。4ですから、たんぱく質(    しつ)のかたまりであるいも虫(むし)は大変(たいへん)貴重(きちょう)な補助(ほじょ)食品(しょくひん)なのです。実際(じっさい)、一皿(さら)のいも虫(むし)は、大人(おとな)が一日(にち)に必要(ひつよう)とするたんぱく質(    しつ)・ビタミン・ミネラルの約(やく)四分の(ぶん )三を含む(ふく )と言わ(い )れています。
 5秋(あき)の雨(あめ)の季節(きせつ)が過ぎる(す  )と、いも虫(むし)の収穫(しゅうかく)が始まり(はじ  )ます。村(むら)の女性(じょせい)たちは、総出(そうで)でいも虫(むし)を集め(あつ )ます。いも虫(むし)は内臓(ないぞう)を抜き(ぬ )、ゆでてから天日干し(てんぴぼ)にします。6この乾燥(かんそう)いも虫(むし)を、おやつがわりにそのままポリポリと食べる(た  )のです。
 このいも虫(むし)は、ただおいしいだけではありません。ある意味(いみ)で、とても効率(こうりつ)のよい食品(しょくひん)でもあるのです。7いも虫(むし)は、人間(にんげん)には食べ(た )られない有毒(ゆうどく)の植物(しょくぶつ)でもかまわず食べ(た )てくれます。そしてどんどん肥え(こ )太り(ふと )、わずか六週間(しゅうかん)で体重(たいじゅう)を四千(せん)倍(ばい)に増やし(ふ  )ます。8その丸々(まるまる)としたおいしそうないも虫(むし)を、今度(こんど)は人間(にんげん)が食べる(た  )わけです。

「いも虫(むし)君(くん)、いいねえ。あったかそうな蓑(みの)を着(き)て。」
「それはミノムシ。」
9「確か(たし )、茶碗(ちゃわん)に入っ(はい )ているんだよね。」
「それはチャワンムシ。」
「ときどき足(あし)がかゆくなるけどね。」
「それは、ミズムシ。もう、いいもん。無視(むし)。」0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(Μ)
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a 読解マラソン集 11番 冗談から生まれたトライアスロン i3
 トライアスロンの競技(きょうぎ)の歴史(れきし)はまだ新しく(あたら  )、二十世紀(せいき)の後半(こうはん)に最初(さいしょ)の大会(たいかい)が開催(かいさい)されました。トライアスロンとは、ギリシャ語(ご)で「三」を意味(いみ)するトライと、「賞品(しょうひん)」を意味(いみ)するアスロンを合わせ(あ  )てできた言葉(ことば)です。その名(な)のとおり、水泳(すいえい)、ランニング、自転車(じてんしゃ)の三種目(しゅもく)を続け(つづ )て行ない(おこ  )、その総合(そうごう)タイムを競う(きそ )レースです。どれか一つだけでも体力(たいりょく)のいるハードな競技(きょうぎ)ですが、それをひとりで三つもこなすということで、鉄人(てつじん)レースともよばれています。
 この競技(きょうぎ)が生まれ(う  )たのは、ハワイのオアフ島(とう)でした。海兵(かいへい)隊員(たいいん)たちが、一日(にち)の仕事(しごと)を終え(お )て、ビールを飲み(の )ながらくつろいでいるとき、オアフ島(とう)で行なわ(おこ  )れている三つの競技(きょうぎ)のうち、どれがいちばん大変(たいへん)かという議論(ぎろん)になりました。三つの競技(きょうぎ)というのは、オアフ島(とう)一周(いっしゅう)の自転車(じてんしゃ)レース、ホノルルマラソン大会(たいかい)、ワイキキビーチでの遠泳(えんえい)大会(たいかい)のことです。だれもが、自分(じぶん)の出場(しゅつじょう)した競技(きょうぎ)こそが最も(もっと )苦しかっ(くる   )たと自慢(じまん)げに話す(はな )ので、いくら話し合っ(はな あ )ても答え(こた )は出(で)ませんでした。そのとき、ビールを飲ん(の )で酔っぱらっ(よ    )ていた海軍(かいぐん)司令(しれい)官(かん)のジョン・コリンズは、ある提案(ていあん)をしました。この三つの競技(きょうぎ)を合わせ(あ  )て一つの競技(きょうぎ)にしたらどうかというのです。
 まさか本気(ほんき)で挑戦(ちょうせん)する者(もの)はいないだろうと、コリンズはほんの冗談(じょうだん)のつもりで提案(ていあん)したのですが、実際(じっさい)に競技(きょうぎ)に参加(さんか)する人(ひと)があらわれました。現在(げんざい)では、日本(にっぽん)でも毎年(まいとし)多く(おお )の大会(たいかい)が開か(ひら )れています。また、二〇〇〇年(ねん)に行なわ(おこ  )れたシドニーオリンピックから、トライアスロンは正式(せいしき)種目(しゅもく)になっています。
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「ぼくも、新しい(あたら  )競技(きょうぎ)を考えつい(かんが   )た。」
「なあに。」
「ドッジボールと槍投げ(やりな )と火(ひ)の輪(わ)くぐりを組み合わせる(く あ   )んだ。」
「今度(こんど)のオリンピックで採用(さいよう)されるといいね。」
 だれも出(で)ないと思う(おも )けど。

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(κ)
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a 読解マラソン集 12番 クマノミの知恵 i3
 1脊椎動物(せきついどうぶつ)のほとんどは、生まれ(う  )たときから性別(せいべつ)が決まっ(き  )ており、途中(とちゅう)で変化(へんか)することはありません。ところが、同じ(おな )脊椎動物(せきついどうぶつ)でも、魚(さかな)には、オスがメスへ、メスがオスへと変化(へんか)したり、生まれながら(う     )にして雌雄(しゆう)同体(どうたい)のものがあります。
 2オスからメスへ変化(へんか)するものとして代表(だいひょう)的(てき)なのは、クマノミの仲間(なかま)です。クマノミは、毒(どく)を持つ(も )イソギンチャクと一緒(いっしょ)に暮らす(く  )ことで有名(ゆうめい)です。3ひとつのイソギンチャクに、オスとメス一匹(いっぴき)ずつの成魚(せいぎょ)と、体(からだ)の小さな(ちい  )幼魚(ようぎょ)の数(すう)匹(ひき)で暮らし(く  )ていることが多い(おお )のですが、この成魚(せいぎょ)と幼魚(ようぎょ)の間(あいだ)に、親子(おやこ)関係(かんけい)はありません。クマノミの稚魚(ちぎょ)は、卵(たまご)から孵化(ふか)すると、すぐに生まれ(う  )たイソギンチャクを離れ(はな )、しばらく海(うみ)の中(なか)で浮遊(ふゆう)生活(せいかつ)を続け(つづ )ます。4そして、全く(まった )別(べつ)のイソギンチャクにたどりつき、そこで元(もと)から住ん(す )でいる縁(えん)もゆかりもないクマノミたちと共同(きょうどう)生活(せいかつ)を始め(はじ )ます。これは、親子(おやこ)で繁殖(はんしょく)してしまう危険(きけん)をさけるための工夫(くふう)です。
 5同じ(おな )ひとつのイソギンチャクの中(なか)に暮らし(く  )ているクマノミたちは、体(からだ)の大き(おお )さに違い(ちが )があります。群れ(む )の中(なか)でいちばん大きい(おお  )のがメス、次に(つぎ )大きい(おお  )のがオスです。6三番(ばん)め以降(いこう)の魚(さかな)たちは、オスでもメスでもない未(み)成熟(せいじゅく)な個体(こたい)です。卵(たまご)を産む(う )のはメスですが、その卵(たまご)を守る(まも )のは、おもにオスの役目(やくめ)です。7何らかの(なん   )原因(げんいん)で、いちばん大きい(おお  )メスが死ん(し )でしまうと、オスが性(せい)転換(てんかん)をしてメスになり、オスの次(つぎ)に大きい(おお  )未(み)成熟(せいじゅく)な個体(こたい)がオスになって繁殖(はんしょく)に参加(さんか)します。クマノミの世界(せかい)には、このようにきちんとした秩序(ちつじょ)があります。
 8なぜいちばん大きい(おお  )個体(こたい)がメスになるかというと、メスは体(からだ)が大きい(おお  )ほどたくさんの卵(たまご)を産む(う )ことができるからです。
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9「わたし、昨日(きのう)までオスだったメスで、名前(なまえ)はクマオよ。」
「ぼくは、今日(きょう)からオスになった、名前(なまえ)はクマコなんだ。」
「何だか(なん  )、呼び(よ )方(かた)にクマっちゃうね。」

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(π)
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