「一分は六十秒、一時間は六十分、では一日は?」と聞かれたら迷わず「二十四時間」と、わたしたちは答えます。けれども本当に一日は二十四時間なのでしょうか? 「一日二十四時間」という答えは、必ずしもどの時代でも正解とは言えないようです。
一日というのは、地球が地軸を中心にぐるっと一回転するのにかかる時間をいいます。けれども、その動きを狂わす存在があります。その一つが月です。
月にも引力があり、月の引力は、地球の海の水を引っ張ります。地球がお父さんだとすると、月という子供がお父さんの海を引っ張っているので、お父さんは回転しにくくなります。その結果、少しずつですが一日の長さが伸びていくのです。
オーストラリアにある約六億年前の堆積岩に残された地層には、潮の満ち干が縞模様として残されています。それを見ると、当時一年はだいたい四百日あり、一日は約二十二時間あったと考えられています。六億年前に比べると、
今の世の中はゆっくりと自転しているのです。一日たった二時間しかちがいませんが、毎日いそがしく過ごしている人にとってこの二時間は大きな差に感じることでしょう。
地球が誕生したばかりのときは、さらに自転速度は速く、一年は二千日あったとされています。ということは一日が四時間くらいしかなかったことになり、朝起きて学校へ行ったと思ったら、給食を急いで食べてもう寝る。そんな生活をしなければならなかったのです。今の世の中でよかった、と思わずにはいられません。
さて、地球の自転の回転速度に影響を与えている月ですが、月もまた地球からの影響を受けています。地球の周りを回転しているうちに、月は一年間に約三センチメートルずつ地球から遠ざかっているのです。
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