a 読解マラソン集 1番 一日の長さ ka3
 「一ぷんは六十びょう、一時間じかんは六十ぷん、では一日は?」と聞かき れたら迷わまよ ず「二十四時間じかん」と、わたしたちは答えこた ます。けれども本当にほんとう 一日は二十四時間じかんなのでしょうか? 「一日二十四時間じかん」という答えこた は、必ずしもかなら   どの時代じだいでも正解せいかいとは言えい ないようです。
 一日というのは、地球ちきゅう地軸ちじく中心ちゅうしんにぐるっと一回転かいてんするのにかかる時間じかんをいいます。けれども、その動きうご 狂わすくる  存在そんざいがあります。その一つが月です。
 月にも引力いんりょくがあり、月の引力いんりょくは、地球ちきゅううみの水を引っ張りひ ぱ ます。地球ちきゅうお父さん とう  だとすると、月という子供こどもお父さん とう  うみ引っ張っひ ぱ ているので、お父さん とう  回転かいてんしにくくなります。その結果けっか少しすこ ずつですが一日のながさが伸びの ていくのです。
 オーストラリアにあるやくおくまえ堆積岩たいせきがん残さのこ れた地層ちそうには、しお満ちみ しま模様もようとして残さのこ れています。それを見ると、当時とうじ一年はだいたい四百日あり、一日はやく二十二時間じかんあったと考えかんが られています。六おくまえ比べるくら  と、
いま世の中よ なかはゆっくりと自転じてんしているのです。一日たった二時間じかんしかちがいませんが、毎日まいにちいそがしく過ごしす  ている人にとってこの二時間じかんは大きな感じるかん  ことでしょう。
 地球ちきゅう誕生たんじょうしたばかりのときは、さらに自転じてん速度そくど速くはや 、一年は二千日あったとされています。ということは一日が四時間じかんくらいしかなかったことになり、あさ起きお て学校へったと思っおも たら、給食きゅうしょく急いいそ 食べた てもう寝るね 。そんな生活せいかつをしなければならなかったのです。いま世の中よ なかでよかった、と思わおも ずにはいられません。
 さて、地球ちきゅう自転じてん回転かいてん速度そくど影響えいきょう与えあた ている月ですが、月もまた地球ちきゅうからの影響えいきょう受けう ています。地球ちきゅう周りまわ 回転かいてんしているうちに、月は一年間ねんかんやく三センチメートルずつ地球ちきゅうから遠ざかっとお   ているのです。
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 十おくまえの月はいまより少しすこ 大きく見えており、ぎゃくに十おくにはいまよりも少しすこ 小さく見えるようになるといわれています。肉眼にくがんで見る限りかぎ あまり大きなちがいには感じかん ませんが、もしかすると、かぐやひめは日がたつごとに月が地球ちきゅうから離れはな てしまっていることを知っし ていたのかもしれません。
「もうすぐおばあさん、おじいさんと離れはな なければならない。」
と、泣いな ているのではなく、
「早くしないと月に帰れかえ なくなる。」
と、思っおも ていたとも考えかんが られます。だから月を見てはなみだ流しなが ていたのかもしれません。
「これでおむかえがこなければ、わたしもうんのつき(月)かしら……。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(Ω)
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a 読解マラソン集 2番 マッチ箱の動物園 ka3
 ジェリー・ダレルは動物どうぶつ大好きだいす な男の子でした。ある日、いえお客様 きゃくさまました。ジェリーのお兄さんにい  は、お客様 きゃくさまのたばこに火をつけてあげようとして、テーブルの上にあったマッチのはこをあけました。つぎ瞬間しゅんかん、お兄さんにい  お客様 きゃくさま大声おおごえをあげて逃げ出しに だ ました。マッチばこに入っていたのは、マッチではなくて、生きたサソリの親子おやこだったのです。きっとジェリーのしわざだな、とお兄さんにい  はおこりながらも、あきらめました。
 大人になったとき、ジェリーはこう言いい ました。
「これがわたし持っも 最初さいしょ動物どうぶつえんでした。サソリの親子おやこの入ったマッチばこが。」
 さて、サソリの親子おやこ手始めてはじ として、ジェリーはどんどん動物どうぶつ集めあつ ました。大体だいたいは二かい自分じぶん部屋へや飼っか ていたので、そこがつぎの「ジェリーの動物どうぶつえん」になりました。ジェリーのお父さん とう  は早くに亡くなっな   ていて、家族かぞくお母さん かあ  と大きいお兄さんにい  が二人、若いわか 姉さんねえ  が一人いました。みんな、「ジェリーの動物どうぶつえん」の動物どうぶつたちがふえていくことには、文句もんく言いい ましたが、ひとたびジェリーが新しいあたら  動物どうぶつ持っも 帰るかえ と、みんなもかわいいと喜んよろこ で、飼うか のを許しゆる てしまうのでした。
 大人になるとジェリーは、動物どうぶつえん送るおく ためのめずらしい動物どうぶつをアフリカまで行っい てつかまえる仕事しごと始めはじ ました。ところが、いざ動物どうぶつえん送らおく れることになると、ジェリーはがっかりしました。せっかく仲良くなかよ なった動物どうぶつたちと別れわか なければいけないばかりか、動物どうぶつえんでは飼いか かたもわからず、ひどい生活せいかつをさせるようになったところもあったからでした。その上アフリカでは、人間にんげんによって動物どうぶつたちが住むす ところをなくしたり、ぜいたくをするために殺さころ れたりしてほろんでいっていることを、ジェリーは知りし ました。
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 そこで、ジェリーは、自分じぶん動物どうぶつえん作るつく ことにしました。それは、絶滅ぜつめつしかけた動物どうぶつ保護ほごし、増やしふ  、それから生まれ故郷う  こきょう返すかえ 動物どうぶつえんでした。さらに、生まれ故郷う  こきょうの人々に、どんなに動物どうぶつ大切たいせつかを教育きょういくし、動物どうぶつたちが住めるす  ように自然しぜんをよみがえらせる仕事しごともする動物どうぶつえんでした。ジェリーはその「ゆめ動物どうぶつえん」を作るつく お金を集めるあつ  ために、いままでの経験けいけんをおもしろく本に書いか 売っう たり、いろいろなところではなしをして寄付きふをもらったりしました。
 ついに動物どうぶつえん計画けいかく実現じつげんしました。ジャージー野生やせい動物どうぶつ保護ほご動物どうぶつえんです。世界中せかいじゅうからその動物どうぶつえん協力きょうりょくし、勉強べんきょうする人たちが集まっあつ  てきました。動物どうぶつえんの二十五周年しゅうねん記念きねんのとき、ジェリーは動物どうぶつえん働くはたら 人たちから、すばらしいプレゼントをもらって、大声おおごえをあげました。それは、ぎんのマッチばこに入った、金でできたサソリの親子おやこ人形にんぎょうでした。だれもが、ジェリーの「最初さいしょ動物どうぶつえん」のことを知っし ていたのでした。
 さて、むかし食堂しょくどう逃げ出しに だ てみんなを驚かおどろ せたニシキヘビは、その後  ごどうなったのでしょう。実はじつ 本当にほんとう 驚いおどろ たのはヘビのほうで、つかまえられたヘビはおりの中で、「ヘー、ビっくりした。」と言っい ていたそうです。

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(λ)
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a 読解マラソン集 3番 初めての宇宙探検 ka3
 初めてはじ  宇宙船うちゅうせん乗っの 宇宙うちゅう飛行ひこうしたのは、ソ連 れん宇宙うちゅう飛行ひこう、ガガーリンです。ガガーリンの乗っの たボストーク宇宙船うちゅうせんは、地球ちきゅうをひとまわりする飛行ひこう成功せいこうしました。宇宙うちゅうから地球ちきゅうを見たガガーリンは、「地球ちきゅうは青かった」と語りかた ました。
 月に立った最初さいしょの人は、アポロ宇宙船うちゅうせん乗っの たアメリカのアームストロングです。そのとき、テレビのまえでは世界中せかいじゅうなんおく人という人々が、かたずをのんで見守っみまも ていました。月面げつめん歩いある たアームストロング船長せんちょうは、「この一歩いっぽはひとりの人間にんげんにとっては小さな一歩いっぽだが、人類じんるいにとっては大きな飛躍ひやくとなるだろう」という言葉ことば残しのこ ています。
 その後  ご、アメリカとソ連 れんは、競い合うきそ あ ように宇宙うちゅう開発かいはつ進めすす 宇宙船うちゅうせんやロケットは急速きゅうそく進歩しんぽしていきました。無重力むじゅうりょく宇宙うちゅう空間くうかんで、どのくらい生活せいかつできるかという実験じっけん始まりはじ  宇宙うちゅうステーションで生活せいかつできる最長さいちょう記録きろく次々つぎつぎとぬりかえられていきました。宇宙うちゅう空間くうかんでは、地球ちきゅう上ではむずかしい動作どうさ簡単かんたんにできます。重いおも ものを持ち上げも あ たり、宙返りちゅうがえ をするのもたやすいことです。しかし、不便ふべんなこともたくさんあります。たとえば、ひげをそると、切っき たひげがあたりにふわふわと漂いただよ はじめるので、あわてて吸い取らす と なくてはなりません。
 宇宙うちゅうステーションでのさまざまな実験じっけんのおかげで、無重力むじゅうりょく人間にんげんからだにどんな影響えいきょうをおよぼすかが、次第にしだい わかってきました。
 やがて、科学かがく技術ぎじゅつ進歩しんぽにより、スペースシャトルという宇宙船うちゅうせん登場とうじょうしました。シャトルは、なんくり返し  かえ 飛行ひこうできる宇宙船うちゅうせんです。シャトルでいちばん大きいのは燃料ねんりょうタンクです。十五かい建てだ のビルほどもある巨大きょだい燃料ねんりょうタンクは、途中とちゅう切り離さき はな れ、残っのこ 連絡れんらくせん軌道きどう乗っの 地球ちきゅう回りまわ ます。日本人の宇宙うちゅう飛行ひこうも、スペースシャトルの乗組のりくみいんとして活躍かつやくしました。
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 さて、未来みらい宇宙うちゅう開発かいはつは、どうなっていくのでしょう。
 現在げんざい各国かっこく協力きょうりょくして国際こくさい宇宙うちゅうステーションの建設けんせつ進めすす ています。地球ちきゅうから少しすこ ずつ部品ぶひん打ち上げう あ て、いままでにない巨大きょだい施設しせつ組み立てるく た  のです。これは、地球ちきゅう周りまわ 回りまわ ながら、さまざまな研究けんきゅう実験じっけん行なうおこ  有人ゆうじん施設しせつで、ステーションの中では、宇宙うちゅう飛行ひこう交代こうたい仕事しごとをしています。将来しょうらいは、宇宙うちゅうステーションの内部ないぶで人が暮らせるく   ように研究けんきゅう進めすす られています。
 さらに、もっと巨大きょだいなスペースコロニーを作るつく ことも考えかんが られています。スペースコロニーの内部ないぶには酸素さんそ太陽たいようひかりもあるので、地球ちきゅう同じおな ような生活せいかつができることになるでしょう。
 月や火星かせい木星もくせい衛星えいせい宇宙うちゅう基地きち作るつく 計画けいかくもあります。また、火星かせい植物しょくぶつをたくさん植えう て、地球ちきゅうのような惑星わくせいにしようという考えかんが もあります。植物しょくぶつ二酸化炭素にさんかたんそから酸素さんそ作り出しつく だ てくれるので、火星かせいみどり惑星わくせいになれば、人間にんげん呼吸こきゅうができるようになります。なに世紀せいきもかかる壮大そうだい計画けいかくですが、太陽系たいようけいわたしたちが住めるす  惑星わくせいをもう一つ作るつく という、ワクワクするようなはなしです。成功せいこうすれば、いつかは火星かせいで生まれ育っそだ た「火星かせい人」が現れるあらわ  ことになります。
 みなさんが大人になるころには、自分じぶんでカセイだお金で火星かせい行けるい  ようになるかもしれません。そのころになると、最初さいしょ宇宙うちゅう飛行ひこうガガーリンのことは、懐かしいなつ   昔話むかしばなしのように語らかた れることになるでしょう。
「そう言えい ば、最初さいしょ宇宙うちゅう行っい た、あのだれだっけ、ほらパンにつけてよく食べるた  人。」
「それは、マーガリン。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(κ)
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a 読解マラソン集 4番 動く大陸 ka3
 地球ちきゅう表面ひょうめんの七わりうみです。りく地形ちけい簡単かんたんに見ることができますが、うみの中の地形ちけいは見ることができません。長いなが あいだ海底かいてい地形ちけいはなぞにつつまれていました。しかし、二十世紀せいきになって、深いふか うみの中を調べるしら  技術ぎじゅつ発達はったつしました。たとえば、うみそこ音波おんぱをぶつけて、はねかえってくる時間じかんのちがいから、うみふかさを測るはか 方法ほうほう考え出さかんが だ れたのです。こうして、しだいに海底かいてい姿すがたがわかってきました。
 海底かいてい地形ちけいを見ると、陸地りくち以上いじょうに大きな山やたにがたくさんあることに驚かさおどろ  れます。陸上りくじょう山脈さんみゃくとはまったくくらべものにならないほど、長いなが 山脈さんみゃく続いつづ ていたり、深いふか たになん本もきざまれている場所ばしょもあります。海底かいていは、山ありたにありなのです。なぜ、うみそこはこのような地形ちけいになっているのでしょう。
 地球ちきゅう中心ちゅうしんからは、いつも熱いあつ マグマが上昇じょうしょうしています。マグマは、地殻ちかく引き裂いひ さ 新しいあたら  海底かいてい作りつく ます。うみ山脈さんみゃく、つまり海嶺かいれいは、新しいあたら  海底かいていが生まれ出ている現場げんばです。またうみたに、つまり海溝かいこうは、海底かいてい地球ちきゅう中心ちゅうしん沈みしず こんでいる場所ばしょです。海嶺かいれい海溝かいこうも、たいへん地震じしん起きお やすい場所ばしょです。
 地球ちきゅう表面ひょうめんは、十まい以上いじょういた分かれわ  ており、それぞれが異なっこと  方向ほうこうにゆっくりと動いうご ています。そのスピードは、一年にすうセンチメートルほどです。海底かいてい陸地りくちも、このプレートと呼ばよ れるいたの上に乗っの 少しすこ ずつ動きうご ます。これをプレートテクトニクス理論りろん言いい ます。したをかみそうな名前なまえなので、テクトウ(適当てきとう)に読みよ たくなってしまいます。
 プレートがのプレートとぶつかる場所ばしょはどうなっているのでしょう。そこでは片方かたほうのプレートが新しくあたら  生まれ出ており、もう片方かたほうのプレートがその下に沈みしず こんでいます。海底かいていの山やたには、プレートが動くうご ときに大きな力がかかってできるきずのようなものです。
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まさに地球ちきゅうは生きているということがわかります。
 陸地りくち動いうご ているのではないかということを最初さいしょ考えかんが たのは、二十世紀せいき初めはじ のウェゲナーという人でした。かれは、世界せかい地図ちずを見ているとき、陸地りくちをはさみで切り取っき と てジグソーパズルのように合わせあ  てみると、ぴったり合うあ ことに気がついたのです。アフリカ大陸たいりく西にし南米なんべい大陸たいりくひがし海岸線かいがんせんなど、驚くおどろ ほどうまく重なりかさ  ます。このふとした思いつきおも   から、考え出さかんが だ れたのが大陸たいりく移動いどうせつです。大昔おおむかし地球ちきゅうにはパンゲア大陸たいりく呼ばよ れる一つの巨大きょだい大陸たいりくがあり、これがいくつかに分かれわ  移動いどうし、現在げんざいのようなたくさんの大陸たいりくになったという考え方かんが かたでした。
 しかしウェゲナーは、なぜ大陸たいりく分かれわ  動いうご ていったのかということまでは、うまく説明せつめいできませんでした。そのため、当時とうじ学者がくしゃたちは大陸たいりく移動いどうせつ疑問ぎもんをいだいていました。また、自分じぶんたちの生活せいかつ基盤きばんである大地だいち動くうご という考えかんが は、人々の反発はんぱつ買いか ました。ウェゲナーは化石かせき調査ちょうさなどを行ないおこ  、その証拠しょうこ示そしめ うとしましたが、グリーンランドを探検たんけん中に遭難そうなんしてしまいました。
 ウェゲナーの死後しご、いったんほろび去っさ たかに見えた大陸たいりく移動いどうせつは、プレートテクトニクス理論りろんとともに復活ふっかつすることになります。世界せかい地図ちずを見てふとひらめいた考えかんが が、すう十年のとき真実しんじつであるとわかったのです。
 ウェゲナーがいまも生きていれば、きっとうれしゲナーかおをしたでしょう。自分じぶんの正しかったことが証明しょうめいされて、ウェゲナーはうれしなきをしたかもしれません。「ウェーン。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(κ)
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