乾燥した砂漠は、生き物にとっては厳しい世界です。昼はたいへん暑いのに、夜になると急に寒くなります。更に砂漠では、ときどき空が茶色になるほどの猛烈な砂あらしが起きることもあります。
これほど厳しい環境でも、生き物は住んでいます。植物は、長い根をのばして地下水を吸い上げたり、サボテンのように茎や葉を小さく針のようにして、水分の蒸発を防ぐ工夫をしています。じっとしているだけに見えるサボテンも、ただサボッテいるわけではありません。また、乾季の間はずっと種の状態ですごし、雨が降ると大急ぎで芽を出し、花を咲かせる植物もあります。そのため、久しぶりに雨がふると、景色が一変し、荒れ果てた大地があっという間に緑に変わることがあります。そのような植物は、新しい種を残すと、「よかっタネ」とばかりあとは枯れてしまいます。
砂漠に住む動物たちも、さまざまな工夫をしています。その多くは、夜行性で、昼間の暑い時間帯は日陰で休み、すずしい夜間に活動をします。オーストラリアの砂漠に住むトカゲの仲間は、体中にあるとげを使って、わずかな雨や露を受けることができます。砂漠では、いかに水を効率よく取り入れるかということが重要なのです。
地球上でいちばん大きな砂漠は、アフリカ大陸北部に広がるサハラ砂漠です。しかし、巨大なサハラ砂漠も、かつて緑の大地だったことがあります。サハラ砂漠の中央の高地の岩壁には、何千年も前の人々がかいた絵が残っています。そこには、カバやゾウ、キリンなど、水辺や草原、あるいは森に住む動物たちと、狩りをする人の姿が描かれているのです。ところが、比較的新しい時代になると、乾燥に強いラクダの姿が描かれるようになります。この土地には、かつて豊かな水が流れていましたが、徐々に乾燥して緑の大地が失われていったことがわかります。
|