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読解マラソン集 9番 宇宙のひろがり ke3
1いまから五千年くらい昔のことです。文明がさかえはじめたころの人々は、夜空を見上げて、宇宙というのは、自分たちの住んでいるこの地球だけだと思っていました。2きらめく星は、空という高い天井にはりついているもので、太陽も月も、空にはりついて動いて行き、しずむと地面の下を通ってまた東にいくと考えていたのです。
ギリシャ時代になって、宇宙のしくみが考えられるようになりました。3二世紀頃に活躍した天文学者プトレマイオスは、天動説という考えを唱えました。それは、地球が宇宙の中心にあって、そのまわりを太陽や月や惑星がぐるぐる回り、いちばん外側に恒星があるという考え方です。4まだ、望遠鏡も発明されていない時代のこの考え方は、その後千年もの間人々に信じられました。
十六世紀になって、地球が宇宙の中心という考え方に異議を唱えたのは、ポーランドの天文学者コペルニクスでした。5コペルニクスの考え方は、宇宙の中心は太陽で、地球と惑星は太陽のまわりを円形の軌道にそって回っているというものでした。地球の方が動いていると考えられたことから、地動説と呼ばれています。
6はじめて望遠鏡を使って星を見たのは十七世紀、イタリアのガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは望遠鏡によって、月のクレーターや太陽の黒点などをつぎつぎと発見しました。
ニュートンが「万有引力の法則」を発見すると、惑星の動きはもっと正確にわかるようになりました。7万有引力の法則では、すべてのものはたがいに引き合っていると考えられました。そこで、月と地球、地球と太陽もたがいに引かれ合っていて、まわりを回ることができるとしたのです。しかし、その時もまだ、宇宙の中心は太陽で、宇宙とは太陽系のことでした。
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8十八世紀になり、イギリスの天文学者ハーシェルによって、宇宙は恒星の世界までひろがり、銀河系というものがわかるようになってきました。私たちの地球の位置が、銀河系の中のひとつになったのです。
9二十世紀に入ると、すぐれた技術の望遠鏡が次々と開発され、恒星までの距離を測ることができるほど高性能になりました。この観測のおかげで、銀河系の大きさも、銀河系の中のさまざまな天体のことも、そして銀河系以外の銀河、さらに宇宙全体のすがたまでもがわかるようになってきたのです。
0人間の見る世界は、どんどん広がっていきます。やがて宇宙の大きさも超えて広がっていくのかもしれません。
言葉の森長文作成委員会(μ)
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読解マラソン集 10番 クマの冬眠 ke3
秋になると、「クマが出た」「クマに襲われた」などといったニュースを聞くことがあります。これは、冬ごもりに備えてたくさんのエサを食べようとしているクマが、人間の住んでいるところにまでやってきてしまうからです。
動物には、外の気温に合わせて体温が下がってしまう変温動物と、外の気温にかかわらず、体温を一定に保てる恒温動物がいます。恒温動物といっても、決して体温が高温というわけではありません。クマも、冬の間は穴の中でじっとしていますが、これはカエルのような変温動物の冬眠や、リスやヤマネのような小動物の冬眠とは少し違います。したがって、クマの場合は冬眠とは呼ばず冬ごもりと呼んでいます。
冬ごもり中のクマの体温は、いつもと比べて二、三度しか下がりません。エサも食べず、おしっこや糞もしませんが、完全に眠っているわけではなく、いつでも目覚めることができます。だから、何かが近くを通ると飛び出してきたり、冬でもエサを探してうろついたりするものもいるそうです。寒くてもエサが見つかればええさ、と思っているのでしょうか。
冬の間、ほとんど飲まず食わずですごしたクマの体重は、もとの三分の二くらいに減ってしまいます。また、メスは、この冬ごもりの間に一頭から二頭の子グマを産みます。そして、冬の間、何も食べずに子育てをするのです。
秋の間にたくさん食べて栄養を蓄えているとはいっても、何ヶ月もエサも食べず、排泄もしないで生きている動物たちの冬眠の仕組みは、じつはまだあまりよくわかっていません。しかし、人間も冬眠できるようにして、その間に病気を治療しようという研究がされているそうです。もしかしたら将来、戸口に、「サンタさんへ。冬眠中なのでプレゼントは春になってからとどけてくださいね」などと張り紙をする家が出てくるかもしれません。
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言葉の森長文作成委員会(τ)
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読解マラソン集 11番 お雑煮いろいろ ke3
お正月に食べるお雑煮は、新しい年の豊作や家族の健康を祈る気持ちがこめられたおめでたい料理です。
しかし、お雑煮と言われて思い浮かべた料理をほかの人に出すと、「これは、お雑煮じゃないよ。」と言われてしまうことがあるかもしれません。実は、お雑煮は、日本全国それぞれの地方で見かけも味も異なるのです。たとえば、おもちの形は西日本では丸、東日本では四角の場合が多く、焼いてから汁にいれるところや、別ゆでしてから汁に入れるところなど、おもちの入れ方も地方によって違います。汁の味も、みそ味のところもしょうゆ味のところもあります。お雑煮の中の具もさまざまです。新潟ではサケやイクラ、広島ではカキ、福井では茎のついたカブを入れるそうです。ほかにも、香川のように、あんこの入った甘い丸もちを白みその汁に入れるところや、沖縄のようにお雑煮をお正月に食べる習慣がないところもあります。
「うちは関西に住んでいるけど、お父さんもお母さんも関東出身だから四角いもちを使うよ。最後にイクラを乗せるのは、新潟出身のおばあちゃんに教わったんだって。」というふうに、お雑煮を知るとその家のいろいろなことがわかるのです。
アフリカのピグミー族は昔、ゾウを捕まえて食べていました。ですから、
「ぼくの家では、おゾウ煮にゾウを入れて食べるよ。」
という家では、お父さんがアフリカに住んでいたのかもしれませんぞう。
現代では、いろいろな地方や国の人同士が結婚して、新しい家庭を持つのは珍しくありませんから、その家オリジナルの新しいお雑煮を考えてみるのもいいかもしれません。お父さんとお母さんは関東と関西の出身だから、おもちの形は三角とか、お母さんは韓国出身だからキムチを入れるなどという家があってもよさそうで
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す。ピンクのハート型おもちにコンソメスープ、トリュフも乗せたフランス風お雑煮、ちょっと食べてみたい気がします。
言葉の森長文作成委員会(Ν)
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読解マラソン集 12番 カブトムシ ke3
1夏休みの友といえばやはりカブトムシです。昆虫の王様と呼ぶにふさわしいその姿は、子どもたちの視線をとらえてはなしません。ペットショップのカブトムシコーナーは、毎年黒山の人だかりができていますし、採集ツアーも登場するほどです。
2いかにも丈夫そうな姿のカブトムシですが、その命はそれほど長いものではありません。卵からかえり、冬を越した幼虫は、蛹へと姿を変え、夏になると成虫、つまりカブトムシへと変身しますが、成虫になってからの命はおよそ一か月ほどといわれています。3ですから、夏休みが終わるころは、ちょうどカブトムシの命もつきる時期にあたるのです。クワガタムシも、カブトムシと並んで人気があります。カブトムシがひと夏の命なのに対して、クワガタムシの場合、種類によっては越冬できるものもあります。えっとうれしくなってしまうでしょう。
4大切に育てていたカブトムシの死は悲しいものですが、死んでしまったからといってすぐに飼育ケースを処分してはいけません。ケースの中の腐葉土をそっとのぞいてみましょう。もしかしたら、小さな卵が見つかるかもしれません。5直径三ミリ程度の白くて丸い卵です。孵化直前の卵は大きさは五ミリ程度になり、色も黄色味を帯びてきます。この卵をじょうずに育てることができたら、大切にしていたカブトムシの二世と対面できる日がやってくるのです。
6卵からかえった幼虫は、おもに腐葉土を食べて大きくなります。幼虫時代に摂取した栄養が、成虫のカブトムシの大きさを決定付けます。いったん成虫になってしまったら、どんなに樹液を吸ったところでそれ以上大きくはなりません。7立派な大きさのカブトムシは、幼虫時代に十分な栄養を取っていたのです。もしも人間がカブトムシと同じ性質だったらどうでしょう。成人したらいくら食べても太らないわけですから、ダイエットに励んでいる大人にとってはなんともうらやましい話です。
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8通常、一匹の幼虫が蛹になるまでに食べる腐葉土の量は、洗面器に山盛り一杯分にもなるそうです。カブトムシは、そんな大量の腐葉土をかぶっとむしゃむしゃ食べてしまうのです。さすがに昆虫の王者、驚いてしまいます。
9友達に自慢できるくらいの大きなカブトムシを育てるためには、良質な腐葉土を絶えず補充してあげることが大切です。また、飼育ケースの中のフンを取り除いたり、掃除をしたり、根気よく世話を続けることが必要です。
0では、カブトムシとクワガタムシでは、どちらが強いでしょうか。カブトムシの得意技は、カブト割りでしょう。クワガタムシの得意技は、もちろんクワ固めです。結果は、カブトもクワガタも、お互いをムシして引き分けになりました。
言葉の森長文作成委員会(ω)
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問題
ke-03-4 問題1
問1 読解マラソン集9番「宇宙のひろがり」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■天動説に異議を唱えたコペルニクスは、宇宙の中心は太陽であると主張した。
1 ○ 2 ×
解答1
ke-03-4 問題2
問2 読解マラソン集9番「宇宙のひろがり」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■ガリレオは、ひとりで望遠鏡を発明し、月のクレーターを発見した。
1 ○ 2 ×
解答2
ke-03-4 問題3
問3 読解マラソン集10番「クマの冬眠」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■体温を高温に保てる動物を恒温動物という。
1 ○ 2 ×
解答3
ke-03-4 問題4
問4 読解マラソン集10番「クマの冬眠」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■クマのメスは、冬の間に子育てをする。
1 ○ 2 ×
解答4
ke-03-4 問題5
問5 読解マラソン集11番「お雑煮いろいろ」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■地方によって見かけや味は違っても、日本全国どこでもお正月にお雑煮を食べる習慣がある。
1 ○ 2 ×
解答5
ke-03-4 問題6
問6 読解マラソン集11番「お雑煮いろいろ」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■お雑煮に入れるおもちの形は、東日本と西日本とで異なるが、焼いてから汁に入れるところは同じである。
1 ○ 2 ×
解答6
ke-03-4 問題7
問7 読解マラソン集12番「カブトムシ」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■カブトムシは、幼虫時代に摂取した栄養によって、成虫になったときの大きさが決まる。
1 ○ 2 ×
解答7
ke-03-4 問題8
問8 読解マラソン集12番「カブトムシ」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■大きなカブトムシを育てるためには、毎日洗面器に山盛り一杯分の腐葉土を補充してやらなければならない。
1 ○ 2 ×
解答8