ノーベル
平和賞は、
世界の
平和のために
努力した人に
贈られる
賞です。二〇〇四
年度の
受賞者は、ケニアのワンガリ・マータイさんでした。アフリカ人の
女性がこの
賞を
受けたのは
初めてのことでした。
マータイさんがノーベル
平和賞に
選ばれた
理由は、
貧しい女性たちにはたらきかけて、アフリカの
砂漠に三十年の
間に三千
万本もの木を
植えたからです。
アフリカでは、
砂漠が年々
広がっています。
砂漠になると、
農作物も
育たず、
飲み水もなくなります。そのために、
病気が
広がり、人々は
更に貧しくなります。学校で
勉強もできませんし、
体も
育ちません。
一人の
人間が木を一本
植えただけでは、とてもそんな大きな
問題を
解決できないと
思うかもしれません。ところが、三千人の人が一本ずつ木を
植えたら、三千本の木になります。三千
万人の人が一本ずつ木を
植えたら、三千
万本の木が
育ち、りっぱな
緑の森になるのです。
たくさんの木が
植えられた
場所では、
料理を
作るために
燃やす薪も、すぐに手に入ります。
土地が
豊かになり、小さな
動物たちも
集まるようになります。また、空気がきれいになり、
涼しい木陰もできます。
ノーベル
平和賞に
選ばれたマータイさんが、どうしたら
自然が
守られるかという
話をしに
世界中を
回っているとき、日本ですばらしい
言葉を
聞きました。それは、「もったいない」という
言葉です。
マータイさんは、かぎりある
地球の
資源を
守るために、これまで
次のことを
世界によびかけてきました。「むだづかいをしない」「ものは
何回でも
使う」「
古くなったものは
新しい使い道をさがす」∵
「もったいない」という
日本語は、この三つのよびかけをひとことで
表していると、マータイさんは
思いました。そして、日本には
昔から、
稲刈りをしたあとのワラをゾウリや
細工物に
利用したり、
布の
端切れで子どものためのお手玉を
美しく作ったりするという
文化があることを
知りました。「もったいない」という
気持ちとともに、ふつうなら
捨ててしまうものも
美しいものに
作り上げていることに
感心したのです。
英語で
似たような
言葉がなかったので、マータイさんは、「モッタイナイ」という
日本語をそのまま
使って、
世界にこの
日本語を
広めることにしました。
マータイさんは、
日本語の「もったいない」だけでなく、
自分の
国のケニアの
言葉も
運動に入れています。それは、「ハランベー」という
言葉です。
意味は「みんなで
協力しよう」というものです。マータイさんが
心のささえにしていることわざには、こういうものもあるそうです。「空こそが
限界」。空は、どこまでも
広がっているということで、「やろうと
思えばどこまでもやれる」という
意味です。
私たちも、マータイさんにならって、みんなで
協力して
美しい地球を
作っていきましょう。「はい。
声を
合わせて。」「ハランベー。」「ハランベー。」「ハラヘッタベー。」「ん?」
言葉の森
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