| ひとこと |
| 感受性 |
| アジサイ | の | 空 | の広場 |
| 吉見 | / | こと | 大1 |
| 母親というのは普通、愛する子どもに対して、とても敏感なものだ。その時 |
| の子どものしぐさ、声の調子で、その子どもの心理状況を感じ取ってしまう。 |
| つまりは母親は子どもに対して強い感情性を持っているのだ。同じように私た |
| ちは自然を愛し、人生を愛することができれば、自然のささやきも人生も、す |
| ばらしさも、すべてを感じることができるようになる。何事にも強い感受性を |
| 持っていれば、平凡な日常も違ったものになるはずである。今日の煩雑な社会 |
| の中で誰もがストレスを感じ、様々な悩みを持っている。こんな社会でも自分 |
| の感受性を強く持ち続けていれば少しはストレスや悩み事から開放されるはず |
| である。感受性を育てるためには、どうすればよいか。 |
| 私が公園に行ったときのことである。ある親子が花を見ていた。子どもが母 |
| 親に、この花は何?と聞いていた。母親はパンジーよ、と答えていた。続けて |
| 父親が、とってもきれいな花だね、匂いをかいでごらん、甘い匂いがするよ、 |
| といった。私は、良い親子だな、と思った。もし、この時、父親が何も言わな |
| ければ、その子どもは、パンジーの名前しか感じることができなかった。しか |
| し父親の一言で、その子どもは、きれいで甘い匂いがする、という感覚を感じ |
| ることができたのだ。小さい頃から、このように子どもを育てることができた |
| ら、きっとその子どもは豊かな人生を送ることができるだろう。 |
| 近年、日本では占いがブームである。私は占い自体は信じていない、が当た |
| るとは思う。ある女性が、占い師に恋愛についての助言を求める。占い師は、 |
| 近いうちに待ち人が現れる、という。そして女性は占いのとおり運命の出会い |
| をする。私はこれを感受性の賜物と考える。占い師に、待ち人現れる、と言わ |
| れれば、誰もが、それ以後の異性との接触に敏感になる。普段、挨拶程度の関 |
| 係でも、それ以上の関係になるかもしれない。つまりは異性に関して強い感受 |
| 性を持つことになるのだ。ある対象に関心を持つことが強い感受性を生むこと |
| となり、自分自身や、その人生に様々な刺激を与える。 |
| 無人ビデオショップや無人契約機などが多数存在し極度にコミュニケーショ |
| ンがとりにくくなった現代の社会で自分自身の感受性を育て上げるのは大変、 |
| 困難である。しかし私は現代人に感受性がないとは思わない。むしろ極度な感 |
| 受性があるからこそ余計に相手に気を使ってしまい、その結果として、すべて |
| の物に対してコミュニケーションがとりにくくなってしまっているのではない |
| か。自分の殻に閉じこもるのではなく、殻の外に出て様々なことに関心を持つ |
| ことが自分の感受性が生かせることになる。 |