| ひとこと | (6月2週) |
| 「人間以外の動物」を読んで |
| アジサイ | の | 丘 | の広場 |
| 正之 | / | おき | 高3 |
| 人間は混沌と化した世界に対して、文化を作り出すことによって秩序を取り |
| 戻してきた。我々は、全人類が皆持っている言語という文化装置を通してしか |
| 、現実を構成することができないのであり、したがってその言語がそれぞれ異 |
| なれば、見えてくる世界も違ったものになってくるのである。こうすると、各 |
| 文化間の相違が表れてくるのは当然であるが、その文化からはみ出した部分を |
| ほうっておくことは、秩序の破壊につながってくるため、積極的にはタブーと |
| して抑圧される必要があるのである。 |
| こうして、それぞれの文化に相違が生じてくると、どうしてもお互い対立す |
| るようになってしまい、互いの文化を否定しあい、排斥するようになってしま |
| う。そういった異文化間でのくいちがいや相互の文化を理解できないことが、 |
| 近年問題になっている。 |
| だから、自身の文化と異なる文化を理解するためには、様々な場所へ行き多 |
| くの異なる文化の中で生活してみるべきであると思う。例えば、森鴎外はドイ |
| ツに留学したことがあるようであるが、留学も異文化の中で生活をし、周りが |
| 外国人ばかりのなかで勉強するので、異文化を理解する良い機会となるであろ |
| う。こうして、自国とは違う文化に触れることによって許容の範囲も広めるこ |
| とができ、物事を幅広く見ることができるようになるだろう。 |
| そして、文化に反するものに対して一方的に否定するべきではないと思う。 |
| 例えば、日本では、後輩は先輩に対して丁寧な言葉で接さなければならない。 |
| しかし、アメリカでは、平等や自由を好むために、先輩後輩、上司部下などの |
| 間で特に隔たりはないのである。日本人は、こうすることをあくまで礼儀とし |
| てしていることなのであるが、この文化のために前で述べた両者の関係の隔た |
| りが大きく見え、親密さが失われているように思えるのである。 |
| 確かに、母国の文化に浸ることは秩序を形成する上で大切なことかもしれな |
| い。しかし、人間は、求めている限り迷うものである。様々な文化の理解を求 |
| め続け、またより広範囲の世界に触れていき、彷徨することで文化の真相と言 |
| うものが見えてくるのだと思う。 |