ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1525番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/23
これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 6 as/1525.html
森川林 2012/04/19 20:26 


 教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第二は、向上のための教育です。

 今の教育は、向上のために行われているように見えますが、しかし、その目的が受験に合格することに絞られすぎているところに問題があります。その結果、試験でいい点数を取ることが勉強の目的のようになっています。

 例えば、一夜漬けや山をかけるような勉強でも、点数がよければそれでよいという発想を子供は持ちがちです。試験の前に集中力を育てるのはいいことですが、試験でがんばりすぎると、試験が終わったら何もしないということになりかねません。

 人間が向上心に目覚めるのは、中学3年生ごろからです。だから、高校生になると、勉強はだれに言われなくてもやるようになります。しかし、それまでの小学校時代と中学校時代の大部分は、子供は親や先生の価値観で勉強しています。だから、周囲の大人が、勉強はテストでいい点数を取るためにあるのではなく、自分自身を向上させるためにあるのだと教えていくことが必要なのです。

 例えば、テストでわからない問題が出た場合、あてずっぽうで答えを書き、それがたまたま○になっても何のプラスにもなりません。そういうときは、その答えを空欄にして×にしてもらった方がずっといいのです。大人は、そういうことをわかっていますが、子供にはそのことをはっきりと言葉に出して伝える必要があります。

 また、今の入学試験は点数で差をつけるために難問を一部に入れることがありますす。総合点でいい点数を取るためには、難問はほどほどに切り上げて、易しい問題や普通の問題で得点を上げていくことが必要になります。しかし、そういう試験勉強に慣れてしまうと、仕事や人生でも難問を避けて易しい問題だけに取り組むようになります。これも、向上とは正反対の考え方です。

 向上とは、人間の能力全体の向上です。受験する科目だけに絞った点数の向上ではありません。高校生になると、理系だから国語はやらないとか、文系だから数学はやらないとかいうことが、ごく普通に受け入れられるようになります。しかし、それでは、当面の大学入試には役立っても、世界に通用する学力はつきません。

 確かに、日本の社会は、組織力で持っています。個々の人が自分の得意分野を生かし、苦手分野を支え合うことで、組織全体の力で業績を上げることができます。しかし、これからの高度な知的社会では、理系と文系の分離は個人の能力向上という点でも問題がありますが、組織全体のチームプレイにおいても意思疎通の妨げになってきます。

 勉強の目的は、ガラパゴス化した日本の大学入試に合格することではなく、自分自身を向上させるためにあるのだということを、親も子も含めて社会全体が認識していく必要があるのです。(つづく)


 教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第二は、向上のための教育です。

 今の教育は、向上のために行われているように見えますが、しかし、その目的が受験に合格することに絞られすぎているところに問題があります。その結果、試験でいい点数を取ることが勉強の目的のようになっています。

 例えば、一夜漬けや山をかけるような勉強でも、点数がよければそれでよいという発想を子供は持ちがちです。試験の前に集中力を育てるのはいいことですが、試験でがんばりすぎると、試験が終わったら何もしないということになりかねません。

 人間が向上心に目覚めるのは、中学3年生ごろからです。だから、高校生になると、勉強はだれに言われなくてもやるようになります。しかし、それまでの小学校時代と中学校時代の大部分は、子供は親や先生の価値観で勉強しています。だから、周囲の大人が、勉強はテストでいい点数を取るためにあるのではなく、自分自身を向上させるためにあるのだと教えていくことが必要なのです。

 例えば、テストでわからない問題が出た場合、あてずっぽうで答えを書き、それがたまたま○になっても何のプラスにもなりません。そういうときは、その答えを空欄にして×にしてもらった方がずっといいのです。大人は、そういうことをわかっていますが、子供にはそのことをはっきりと言葉に出して伝える必要があります。

 また、今の入学試験は点数で差をつけるために難問を一部に入れることがありますす。総合点でいい点数を取るためには、難問はほどほどに切り上げて、易しい問題や普通の問題で得点を上げていくことが必要になります。しかし、そういう試験勉強に慣れてしまうと、仕事や人生でも難問を避けて易しい問題だけに取り組むようになります。これも、向上とは正反対の考え方です。

 向上とは、人間の能力全体の向上です。受験する科目だけに絞った点数の向上ではありません。高校生になると、理系だから国語はやらないとか、文系だから数学はやらないとかいうことが、ごく普通に受け入れられるようになります。しかし、それでは、当面の大学入試には役立っても、世界に通用する学力はつきません。

 確かに、日本の社会は、組織力で持っています。個々の人が自分の得意分野を生かし、苦手分野を支え合うことで、組織全体の力で業績を上げることができます。しかし、これからの高度な知的社会では、理系と文系の分離は個人の能力向上という点でも問題がありますが、組織全体のチームプレイにおいても意思疎通の妨げになってきます。

 勉強の目的は、ガラパゴス化した日本の大学入試に合格することではなく、自分自身を向上させるためにあるのだということを、親も子も含めて社会全体が認識していく必要があるのです。(つづく)


 創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

コメント欄

コメントフォーム
これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 6 森川林 20120419 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
すせそた (スパム投稿を防ぐために五十音表の「すせそた」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7
タイマー勉強法 森川林
 勉強も、家事も、仕事も、やらなければならない細かいことがた 4/2
人間の役割 森川林
うちの子が1歳か2際のとき、 車で30分ほどの三浦海岸につ 4/2
舞岡のシラサギ 森川林
舞岡八幡宮に行ったら、帰りにシラサギがいた。 3/29

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習