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夏休み朝の作文体験学習の2回目始まる――子供との対話を生かす作文の勉強 as/3374.html
森川林 2018/08/09 04:59 

 

 夏休み朝の作文体験学習は、日程を自由に選べるようにしたので、早めに2回目に入る人と、これから1回目に取り組む人とが一緒に授業を受けるような日もあります。
 しかし、5、6人の少人数授業なので、先生の話は多少長くなりますが、どの生徒にも発表の機会があります。

 昨日8月8日は、読書感想文の2回目と受験作文の2回目の人の授業がありました。
 感想文は、家庭での事前の実験がいろいろ大変だったと思います。
 受験作文は、昨年の実際の入試問題をもとにした練習だったので、かなり難しかったと思います。
 しかし、どの子も、自分らしい作文を発表してくれました。

 今回の作文体験学習のポイントは、他の生徒との交流の中で、家庭でのお父さんやお母さんと協力して作文の準備をするというところにあります。

 これまでの子供の勉強は、既に答えのわかっている知識を詰め込むことに力点が置かれていました。
 そういう勉強には、個性や創造性はあまり必要ではなく、苦しいことに耐えることが勉強のように思われていました。

 しかし、AI時代には、勉強も仕事も、答えのわかっている分野は人間ではなく機械がカバーしてくれるようになります。
 昔の自動車運転免許では、ガソリンエンジンの仕組みの知識なども必要でした。点火プラグがどうしたというようなことも一応理解しておく必要がありました。しかし、今はそういう知識は、自動車を利用する人には全く必要ではありません。
 自動運転の時代になれば、運転する技術も必要でなくなります。ところで、自動運転で意外に早く実用化できそうなのは、狭い場所に縦列駐車をしたり、狭い車庫に車をぴったり入れたりするような自動化の仕組みではないかと思います。先日、知人が車庫入れに失敗したという話を聞いてそう思いました(笑)。

 さて、車の免許の知識や技術と同じことが、これから仕事のさまざまな分野で起きてきます。すると、その社会の変化から少しタイムラグがある形で教育の世界にも変化が起きてきます。
 その変化は、ひとことで言えば、答えのわかっているものは基本だけしっかり身につけていればよく、子供たちが最も力を入れていくのは、思考力と創造性を伸ばすことになるということです。

 その思考力の要が日本語を駆使する力であり、その日本語力の基礎が読書力であり、集大成が作文力です。
 また、創造力は、実際の体験と、ほかの人との対話と交流の中で生まれます。

 今回の夏休み朝の作文体験学習は、そういう未来の教育の見通しのもとに行っている企画です。
 お父さん、お母さんは、子供の作文の準備に時間がとられることがあると思いますが、その苦労を子供との対話を活かす楽しい苦労と思って取り組んでいっていただけるといいと思います。

 なお、今回は平日の朝の体験学習でしたが、仕事で参加できないお父さんお母さんが多かったと思いますので、9月からは日曜日の朝の体験学習も行っていく予定です。

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森川林 20180809  
 夏休み朝の作文体験は、平日の日程だったため仕事で参加できないお父さんお母さんも多かったと思います。
 9月からは、日曜日の朝の体験学習を企画していく予定です。
 日曜日の朝から作文の勉強というのも、なかなか楽しいと思います。


nane 20180809  
 Zoomで作文の勉強をする場合、面白いのは、他の友達との交流があることです。
 最初はみんな遠慮していますが、次第に打ちとけて、他の人の作文に対する感想なども言えるようになります。
 作文よりも早く交流できるのは、読んでいる本の紹介です。


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記事 3373番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
2018読書作文キャンプの記録 as/3373.html
森川林 2018/08/08 16:54 

 7月21日~29日にかけて行った読書作文キャンプの写真をアップロードしました。
 子供たちの撮った写真が多いので、全体で3,000枚ぐらいになっています。
(写真を見るページは、参加者のコードとパスワードが必要です。)

                              

 以下、今回のキャンプの特徴と、今後の改善点などを述べたいと思います。

■家族キャンプ
 今回は、子供中心のキャンプではあっても、できるだけ保護者の方も一緒に参加していただけるようにしました。
 そのため、保護者どうしや保護者と講師との交流ができたと思います。
 今後は、子供とは別行動の保護者だけの企画も行えるようにしたいと思います。

■雨天向けのダンボール秘密基地づくり
 那須地方は、比較的雨量の多いところですが、昨年も今年も好天に恵まれました。
 しかし、雨が降ると外出行動が制限されてしまうことを考え、合宿所内でダンボールの秘密基地を作る企画をテスト的に行いました。
 作り方の見本がないと難しい面がありましたが、子供たちはそれぞれいろいろ工夫していました。
 次回は、更に計画的に企画したいと思います。

■カレーライスとけんちん汁の炊飯
 昨年は、調理の手間がかからないようにと弁当類の注文を中心にしましたが、せっかく自然の中に来たのに弁当では味気ないという声がありました。そこで、今年はカレーライス、けんちん汁、サラダなどを手作りにし、バイキング風に食事をとることにしました。調理にかかる時間はいずれも30分程度だったので、弁当の計画的注文よりもかえって楽にでき、しかもおいしかったと思います。調理や片付けを手伝っていただいた方、ありがとうございました。

■寺子屋オンラインのクラスの友達
 今回は、寺オン作文コースや発表学習コースで同じクラスになっている子が誘い合って参加するケースがありました。毎週、一緒に勉強をしている仲なので、初めての合宿キャンプでもすぐに打ちとけた雰囲気になりました。しかし、その半面、同じクラスに入っていない子が、そのグループに入りにくいという面がありました。これは今後、子供たちの自覚をもっと促すようにしていきたいと思います。

■漢字集の暗唱
 漢字集の暗唱は、今回の新しい企画でした。家庭で暗唱をしている経験のある子や、実際に漢字集を暗唱している子はすぐにできましたが、初めての人は、短い時間で難しい漢字の読みの暗唱までするのは少し難しかったようです。
 しかし、時間をかければ誰でもできることなので、今後は「漢字読み検定」というシステムを作り、日常的に漢字の読みに取り組めるようにしたいと思います。

■読書2~3時間
 読書は、ほとんどの生徒が静かに2時間以上集中して読んでいました。比較的易しい面白い本が多かったせいもありますが、十数人が水を打ったように静かに本を読み続けている姿は壮観でした。10冊程度の本を付箋を貼りながら読むという方法なので、このやり方を家庭でも応用すると、読みにくいために積んである本なども自然に読めるようになります。
 今年は、家庭から持ってきた本を紹介してもらう機会を作りましたが、低学年の子も含めてどの子もしっかり本の紹介をしていました。

■作文発表会
 作文発表会は、その日に体験したキャンプ場での川遊びなどを中心に書いた作文を順に発表してもらいました。高学年の生徒と中学生は、事実中心の作文ではなく、意見中心の作文を書いてもらうようにしました。上手にたとえを入れて書いたり、みんなの前で堂々と発表したりする子が多く感心しました。
 この発表会は、合宿オンエアで自宅で待つご家族も見られるようにしましたが、照明が暗い面と、音声が聞き取りにくい面があったと思います。

■合宿オンエア
 合宿の様子は、オンラインで見られるようにしていましたから、家庭で待つご家族の方は、子供たちの様子がわかって安心されたと思います。
 オンラインで常時接続ができるという利点を生かして、将来は、オンラインの勉強をしながら合宿所の自然の中で遊ぶという形のキャンプにしていきたいと思います。

■虫捕りのできる場所
 夏休みは、やはり自然の中で虫を捕まえたり、生き物を捕まえたりすることが、子供にとってはわくわくする体験になります。生き物を捕まえても、撮影したあと逃してやれば何も問題はないのですが、場所によっては生き物捕獲禁止という建前があり、網を持って遊ぶということがしにくい面がありました。今後は、自由に生き物を捕まえられる場所を探しておきたいと思います。

■カブトムシの飼育
 港南台教室からカブトムシを十数匹持っていき、バナナをやっていました。蓋を開けっ放しにしていると、近所のカブトムシもやってきたようで、日に日にカブトムシが増えていきました。もう卵を産んでいるはずなので、来年はもっと増えると思います。

■ちょっと残念なこと
 以上、全体にとても楽しい自由な読書作文キャンプでしたが、毎年、常に一部に子供たちどうしのトラブルに近いことがあり、それが残念なところです。
 そのトラブルはどういうものかというと、昨年までの例では、女の子たちの中に、「あの子たちが私たちの方を見てひそひそ話していた」という他愛ないことが原因になり言い合いになるということがありました。また、昔は、合宿の最後の色紙の交換のときに、自分の気に入らない子に悪口を書くような子がいたこともあります。
 今年は、男の子の間で、ちょっとした行き違いから言い合いになったり、また意地悪をしたりされたりしたことがあったようです。もちろん、それは一部の子でほんのわずかのことですから、子供たち全体はそういうこととは関係なく楽しく過ごしていましたが、当事者である子供たちにとってはやはりいい思い出にならなかったことだと思います。
 しかし、どの子も一人ひとりはいい子なので、やがて成長するとともに、自分の至らなかったことに気づくようになると思います。意地悪をした子は、ほとんどが軽いノリでやっているのですが、やがて自分がいろいろな苦労を経験するようになると、そういうときの相手の気持ちがわかるようになります。また、意地悪をされた子は、いずれ誰かに何かをされたときでも、すぐにその場で反撃する力をつけていけるようになります。そういう将来の成長のための準備として、今のトラブルがあるのだと考えていくといいと思います。
 そういうことも含めて、オンラインのやりとりだけでは経験できない、自然や他の人間との触れ合いが、こういうリアルな合宿キャンプの意義になっているのだと思います。


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森川林 20180808  
 7月21日から29日までの読書作文キャンプの記録です。
 今年は、保護者の方もできるだけ参加していただけるようお願いしました。
 今後、こういう家族キャンプのような形の親子で一緒に取り組める企画を増やしていきたいと思っています。
 子供たちも、高学年になるほど、友達と一緒に遊べる時間があるというのが楽しくなるのだと思います。

nane 20180808  
 子供も大人も、生き物を捕まえるというのが大好きです。
 捕まえたあと逃してやるというルールを作っておけば、どこでも生き物を捕まえていいということにしておくといいと思います。


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記事 3372番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
夏休み朝の作文作文体験学習の授業の動画 as/3372.html
森川林 2018/07/31 10:45 

 Zoomの授業のページは、下記のZoom会場になります。
 5分前には会場に入るようにしておいてください。
https://zoom.us/j/104606743

■全コース共通「はじめに」
https://youtu.be/J0dBFLIQBPo

・教材の活用の仕方、事前の準備の仕方、作品のアップロードの仕方などを説明しています。
・内容は次のとおりです。
 ただし、授業の動画のアップロードが遅れましたので、初日は準備ができていなくてもかまいません。
(1)親子作文コースは、教材の図書を毎日1日分以上読み聞かせをし、週に1回指定の課題に合わせて実験観察をしてください。実験観察の様子は、写真に撮ったり絵をかいたりしておいてください。
(2)読書感想文コースは、教材の図書を毎日1日分以上読書をし、週に1回指定の課題に合わせて実験観察をしてください。実験観察の様子は、写真に撮ったり絵をかいたりしておいてください。
(3)受験作文コースは、教材の図書の指定の課題を毎日1回音読し、週1回指定の課題に合わせて親子で話し合いをしてください。話し合いの概要はメモにとっておいてください。
(4)全コース共通で、google+コミュニティにリクエストを送信し、そのあと言葉の森までご連絡ください。
https://plus.google.com/communities/108862973483604206823
(5)全コース共通で、Zoomの授業の中で呼ぶときの自分のペンネームを決めておいてください。
(6)全コース共通で、Zoomの授業の中で読んでいる本の紹介をしてもらうことがあるので、Zoomの授業中は本を近くに置いておいてください。

■親子作文コースの準備の仕方
https://youtu.be/bHBDzUkC9uo

・親子作文コースの3日間の勉強の準備の仕方を説明しています。

■読書感想文コースの準備の仕方
https://youtu.be/hKCUoVXZFVQ

・読書感想文コースの3日間の勉強の準備の仕方を説明しています。

■受験作文コースの準備の仕方と課題の解説
https://youtu.be/x1Ga4JEHpY8

・受験作文コースの3日間の勉強の準備の仕方を説明しています。
・全部見る時間がないときは、自分が取り組む課題のところだけ見ておいてくだされば結構です。

■関連ページ

●参加フォーム
●夏休み朝の作文体験学習資料
●購入された本の指定ページ
●朝の作文体験学習の授業前の前の動画
●google+コミュニティに参加リクエストを
●ご質問は、夏の朝作文体験学習掲示板へ
●Zoomの授業会場

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森川林 20180731  
 夏休み朝の作文体験学習の「授業の動画」第1弾をアップロードしました。
 ご質問等がございましたら、オープン教育の掲示板にお願いします。
https://www.mori7.net/ope/index.php?k=103

nane 20180731  
 明日から始まる「夏休み朝の作文体験学習」の授業の動画をアップロードしました。
 こちらのアップロードがかなり遅れましたので、初回は、授業の準備は特にできていなくてもかまいません。
 また、google+コミュニティの登録も初めての方が多いと思いますので、特に間に合わなくてもかまいません。
 授業の当日、5分前までに、Zoomの会場に入っていてくだされば結構です。


ヒロ 20180801  
受験作文のような長い課題文でも、音読
をしたほうががいいですか。うちは音読
を面倒くさがります。それから、音読を
すると読むことに意識が行ってしまい、
内容を理解するのが後回しになってしま
うと言われます。
国語は、常に課題文を音読をしたほうが
いいのでしょうか

森川林 20180806  
ヒロ様
 お返事大幅に遅れて失礼しました。
1.音読は高学年の子はみんな嫌がります。しかし、自分にわかる程度の声でいいので、音読をさせてください。読み方については一切注意しないでおいてください。
2.課題文が難しいときは、黙読で一回読むだけだと、内容が深く理解できません。通常の作文の課題も難しい文章が多いですから、毎日音読をして、同じ文章を何度も読んでおく方がいいです。

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記事 3371番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
夏休み朝の作文体験学習の資料 as/3371.html
森川林 2018/07/28 20:04 


■はじめに

 夏休み朝の作文体験学習は、家庭での準備と、友達との交流を生かしたオンラインの作文体験学習です。
 家庭での準備としてやっていただくことは、それぞれの学年によって異なりますが、基本は親子の交流と対話です。

 親子作文、読書感想文の場合は、教材の図書の指定のページを参考にして、家庭での実験や観察を行ってください。
 受験作文の場合は、同じように指定のページをもとに、親子で似た話や感想を話し合ってください。

 それらの家庭での準備をもとに、それぞれの学年の授業の動画を見て、自分なりに書くことを準備しておいてください。
 授業の動画は、7月31日に、「夏休み朝の作文体験学習」の掲示板にアップロードします。
https://www.mori7.net/ope/index.php?k=103

○作文ノート又は作文用紙の準備
 作文を書く用紙は、作文ノート、作文用紙などを各自で自分にあったものをご用意ください。

○延長退出可
 生徒の発表時間によっては、授業時間が延長する場合もあります。その際、予定のある人は先に退出して結構です。

○勉強の準備で不明な点がございましたら、言葉の森事務局までお問い合わせください。
 電話0120-22-3987(平時9:00-20:00)

■親子作文の課題

 親子作文の家庭での実験や観察の参考にしていただくページは次のとおりです。(ほかのページをもとにしてもかまいません。)
 これらのページを参考に、それぞれのご家庭で実験や観察を行ってください。
 その際、できればその様子を写真や絵などで残しておいてください。あとで発表する際に写真や絵が活用できます。

P245
 8月2-4日「セミ」

P257
 8月14日「空気ほう」

P262
 8月19日「海のたからばこ」

■読書感想文の課題

 読書感想文の家庭での実験や観察の参考にしていただくページは次のとおりです。(ほかのページをもとにしてもかまいません。)
 これらのページを参考に、それぞれのご家庭で実験や観察を行ってください。
 その際、できればその様子を写真や絵などで残しておいてください。あとで発表する際に写真や絵が活用できます。

P232
 8月1日「しかけ」を使って昆虫を集めよう」
 やってみよう キミにもできるフルーツトラップに挑戦

P250
 8月19日「植物の『右』と『左』のふしぎ」
 観察してみよう つb0おみはどっちだ?

P254
 8月23日「13年ゼミと17年ゼミって、どんなセミ?」
 観察してみよう セミの羽化を観察しよう

■受験作文の課題

 受験作文の課題とするページは次のとおりです。
 これらのページのうちひとつをできるだけ毎日音読し、お父さんやお母さんと似た話や感想を話し合ってください。
 その際、できればその話の要点をメモしておいてください。あとで発表する際にそのメモが活用できます。

P268
 東京都共同作成問題

P274
 都立桜修館中

P330
 都立両国高附属中

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森川林 20180728  
 大変遅くなりましたが、夏休み朝の作文体験学習の資料の記事を載せました。
 より詳しい授業の内容は、31日から動画でアップロードします。
 作文の勉強でいちばん大事なことは、書くことではなく、書く前の読むこと、話すこと、経験することです。
 書いたあとにどう直すかを指導するよりも、書く前にどう準備するかということの方が大事なのです。
 おおまかに言えば、書く前の準備で8割が決まり、残りの2割が書いたあとの添削なのです。


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記事 3370番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
経験と学問と創造を楽しむ――発表学習コースの問題点と今後の対策 as/3370.html
森川林 2018/07/13 05:10 

 発表学習コースでの子供たちの発表は、毎回充実しています。
 しかし、同時にいくつかの問題もあるようです。

 第一は、まだ経験した事実の発表で終わっているものが多いことです。
 単に「何かをした」というだけでは、したという経験だけで終わってしまいます。その経験を学問的に発展させることが大事で、それは小学校低中学年の場合は、やはり親の協力がなければできません。

 このときの親の協力が、親子の知的な楽しい対話のきっかけになります。
 勉強の中心は、親子の対話であって、その対話の機会を作るために、発表という場があるというふうに考えていくといいと思います。

 第二は、親の協力がとてもよくできている場合ですが、その際に、親が子供を引っ張りすぎているのではないかと懸念されている方がいることです。
 親の協力と親子の対話は、本来楽しいものですが、それが子供にとって苦しい勉強のように感じられているのであればやはり問題です。

 楽しい勉強に必要なものは、脱線や失敗を許容する文化です。
 いちばん大事なのは、自主性と創意工夫で、この自主性と創意工夫は失敗する可能性も高いものなのです。
 成功を目指せば、無難なものになりがちです。しかし、無難なものは、自主性と創意工夫を必要としないことが多いのです。

 これからの学力として大事なものは、小さくまとまった成功ではなく、大きな挑戦ですから、結果としての成功失敗よりも、過程としての創造性の方が大事なのだと考えておくことです。

 第三は、これも発表が充実している場合ですが、発表学習に力を入れているために、普段の自主的な地道な勉強が後回しになりがちだという声があったことです。
 小学生の勉強は、基本的に学校で間に合うようにできているものですが、今の学校教育の一斉指導のシステムでは、子供たちの学力差が大きい場合、有効な学習ができていない可能性があります。
 また、家庭で毎日一定時間机に向かうという習慣は、短い時間でいいので、小学生のうちに確実につけておく必要があります。

 發表学習と自主学習を両立させるためには、自主学習をパターン化して毎日やる時刻を決めておくことです。
 やる内容としては、長文音読、暗唱検定の暗唱、算数数学問題集、更にできる場合は国語の問題集読書です。そして、それ以外に毎日必ず読書を学年の10倍ページ以上です。
 理科や社会などは、やる必要はありません。ただし子供が好きな勉強を自主的にするのであればそれを止める必要はありません。

 やることをそのつど親が指示するのではなく、何をどうやるかが決まっていて、子供が自分でどんどん進めていくという形にするのが理想です。
 そして、發表学習は、子供の自習学習の勉強が一段落したあと、家族の団らんの時間で楽しくお喋りをする感じでやっていくのです。

 さて、では、どういう感じで發表学習の準備を進めていくか、一つの例を挙げたいと思います。
 私が父親なので、父と子の会話になっていますが、普通は母と子になると思います。

【経験】
父「今日は、何か、おもしろいことあったかい」
子「うん、本を読んでいたら、ポップコーンって自分で作れるらしいよ」
父「へえ、そうかい。じゃあ、作ってみたら」
子「よし、材料買ってくるね」
――材料を買って、家でポップコーンを作り始める。――
子「あ、できてきた。ふたを取って、見てみよう」
 パチパチパチ、バーン、バーン、パーン。
子「あ、大変だ。破裂してきた。助けてえ」
父「おいおい、ふた持ってきたらダメじゃないか」
 パーン、パーン、パーン、パーン、ポーン。
父「ふう、やっと火を止めた。しかし、すごい破裂だね」
子「うん、どきどきした」
【学問】
父「じゃあ、なぜこういう破裂をするのか、調べてみたらいいよ」
子「よし、調べて、レポートに書こう。ついでに、このできたポップコーンを写真に撮っておこう」
――インターネットで調べて、レポートを書く。――
【創造】
子「こんなふうに、書いたよ」
父「どれどれ、うん、いいね。じゃあ、このポップコーンの科学的背景がわかったところで、これをどう生かしたらいいか考えてみよう」
子「生かすって?」
父「この原理を生かして、ほかのものに応用してみるとか、自分で商売をするとか、そういうことだよ」
子「うーん……、いっぺんに破裂するから危ないんで、一粒ずつ方向を決めて破裂させれば面白いんじゃないかなあ」
父「うん、何の役に立つかわからないけど、その仕組みを考えたらいいかもしれないね」
子「あとは、トウモロコシでないもので作ってみるとか」
父「ポップなんとかという新しい食べ物ができるね」
子「みんなでマスクをして、破裂を楽しみながら食べるとか」
父「そういうお店があったら、はやるね」(はやるか)

 こういう感じで、やっていくのです。
 経験だけでも、それなりに発表して面白いものですが、その経験に学問的な研究を付け加え、更にその学問的な研究を生かして、創造的なことを考えるという流れでやっていけるといいと思います。

 こういう経験の中で、親の実験や研究や創造を楽しむ後ろ姿が、子供の成長につながるのです。

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森川林 20180713  
 小学生時代の勉強は、楽しくやるものです。
 苦しい勉強を我慢してやるものではありません。
 そのためには、自分のペースで進める自主学習と、創意工夫を生かした作文学習と發表学習を組み合わせていくことです。
 こういう勉強を通して、親子の知的な対話を進めていいくことが、子供の本当の学力につながるのです。


nane 20180713  
 答えのある勉強は、人工知能がカバーしていきます。
 これからの勉強は、答えのないものを中心にしていく必要があります。
 そのためには、親が答えのない世界を楽しむ後ろ姿を子供に示すことです。
 今の大人のほとんどは、答えのある勉強をする時代に生きてきました。
 大人がまず答えのない世界を創意工夫で楽しむ生き方に切り替えることが大事なのです。


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●本当の国語力は作文でつく
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●国語の勉強法
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●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

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●高校受験作文の解説集
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