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子育ての工夫で親にまさるものはない as/2892.html
森川林 2017/03/26 06:29 


 子育てに正解はありません。
 どんなに子育てが上手にできているお父さんやお母さんでも、それなりにいろいろな失敗や試行錯誤をしています。
 子供が成長の過程で、初めていろいろなことを経験するように、親も子育ての過程で、初めていろいろなことを経験します。

 そのときに大事なことは、便利なマニュアルのような方法はないと思っておくことです。
 子供にも、親にも、それぞれ異なる個性があります。
 どの子にも共通するようなことも、もちろんありますが、その子だけにしかあてはまらないこともあります。

 そこで必要になるのが、親のさまざまな工夫です。
 そして、その子のことを本当に考えて工夫するのは、どんなに優れた先生よりも、素人の親の方がまさっているのです。

 「学校に通わず12歳までに6人が大学に入ったハーディング家の子育て」という本には、普通の親が普通に試行錯誤をしながら子育てをした経験が書かれています。
 舞台はアメリカですが、親の工夫と失敗と成功の過程とそのときの心の動きは、日本の場合でも全く変わりません。
 大事なのは、親が自分の責任で工夫していくことです。

 ついでに言うと、その工夫を応援する場として行っているのが、言葉の森の思考発表クラブや自主学習クラスの企画です。

====
「本を読まない子、言うことを聞かない子、集中力のない子、ゲームばかりしている子など、問題のある子への対応には、工夫が必要」
https://www.mori7.com/index.php?e=2367

 子供はいろいろな問題を抱えています。問題のない子などはいません。というよりも、もし問題がないとしたら、それ自体が将来大きな問題となります。問題がないというのは、学校や家庭という人為的な環境に適応しているということですから、社会というより自然に近い環境になると、かえって適応できなくなることがあるのです。

 では、これらのさまざまな問題にどう対応するかということですが、多くの場合、問題には一見簡単な解決法があるように見えることがあります。それは、工夫の必要のない解決法です。
 どうして工夫の必要のない解決法があるかというと、子供には、強制という方法が可能だからです。

 例えば、本を読まない子には、先生に強制的な宿題を出してもらうとか、ゲームばかりしている子には、強制的にゲーム機を捨ててしまうとかいう方法です。
 そういうやり方で問題を解決すると、一見問題は現象面としてはなくなったかのように見えます。しかし、その強制がなくなったとき、問題は再び大きく出てくるのです。

 問題の解決に、強制以外のものを考えるというのが工夫です。
 その工夫に必要な要素には、子供本人の自主性を生かすということがあります。

 人間は、必ず自主性を持っています。自主的にやろうとしないから強制するという発想をしてしまうと、子供の自主性はますます育たなくなります。
 小さな問題のうちから自主性を生かして問題を解決するように工夫していると、大きな問題が出てきたときも、その自主性を更に生かして解決することができるようになるのです。

 と、こんなことを考えたのは、オカメインコをカゴから出して遊ばせたあと、またカゴに戻すのが大変だったからです。(ずいぶん話が飛躍しましたが)
 同じペットでも、犬の場合は、人間の意図がわかるので、自主性を生かして飼育することができます。しかし、鳥の場合はそういう自主性にあまり期待できません。

 朝、オカメインコと文鳥をカゴから出して1時間ほど遊ばせたあと、カゴに戻そうとすると、文鳥はすぐに戻るのに、オカメインコはなかなか戻ろうとしません。
 最初のころは素直に戻ったのですが、慣れてくると、遊びの方が楽しいことがわかってきたので、自然には戻らなくなってきたのです。

 しかも、静かに遊んでいるならいいのですが、すぐにパソコンのキーを外したり、人が書いているシャーペンの芯をかじったりするので、そのつど仕事が中断します。
 そして、つかまえようとすると、うまく逃げて、天井近くの人の手が届かないところに止まり、「アホー、アホー」と、そりゃカラスだ。そうではなく、高いところでのんきに毛づくろいなどをしているのです。

 この解決策には、いろいろな方法が考えられました。。
 いちばん簡単なのは、カゴから出さないことです。もうひとつ簡単なのは、飛べないように風切羽をときどき切ることです。あるいは、虫取り網で無理やりつかまえてカゴに戻すという方法もあります。
 しかし、いずれの方法も、オカメインコ本人の自主性を生かしたやり方とは言えません。自主性を否定した解決策で対応すると、その後もずっと自主性を否定し続けるやり方しかできなくなるのです。

 そこで考えた方法は三つ。
 第一は、カゴをもっと大きくして、外で遊ぶのと同じような快適な環境にすることです。しかし、これは手間がかかるので、すぐにはできません。
 第二は、カゴの中に入れる餌の量を1日で食べ終わってしまうぐらいに少なめにして、外で遊んでいるうちに空腹を感じて戻りたくなるようにすることです。これは、ある程度うまく行きましたが、急いでいるときは使えません。
 第三は、オカメインコ本人が、つかまえられたということがわからないぐらいすばやくうまくつかまえるという、つかまえ方を工夫することです。これは、最初はうまくつかまえられず失敗することもあるかもしれませんが、努力次第で上達するという展望があります。
 しかし、ただ何も言わずにつかまえるのでは、インコ本人の自主性を生かしているとは言えません。そこで、つかまえる前には、「さあ、そろそろつかまえるよ」と言って、本人が納得してからすばやくつかまえることにしました。そして、まるでつかまえていないかのような優しいつかまえ方でそのままカゴに戻すと、本人は何ごともなかったようにすぐに餌を食べ始めました。

 ということをやっていたときに、ふと、これは子供の育て方でも同じだなあと思ったのです。
 強制が可能に思えるようなときにこそ、人間の工夫が求められているのだと思います。
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 子育てに正解はありません。
 どんなに子育てが上手にできているお父さんやお母さんでも、それなりにいろいろな失敗や試行錯誤をしています。
 子供が成長の過程で、初めていろいろなことを経験するように、親も子育ての過程で、初めていろいろなことを経験します。

 そのときに大事なことは、便利なマニュアルのような方法はないと思っておくことです。
 子供にも、親にも、それぞれ異なる個性があります。
 どの子にも共通するようなことも、もちろんありますが、その子だけにしかあてはまらないこともあります。

 そこで必要になるのが、親のさまざまな工夫です。
 そして、その子のことを本当に考えて工夫するのは、どんなに優れた先生よりも、素人の親の方がまさっているのです。

 「学校に通わず12歳までに6人が大学に入ったハーディング家の子育て」という本には、普通の親が普通に試行錯誤をしながら子育てをした経験が書かれています。
 舞台はアメリカですが、親の工夫と失敗と成功の過程とそのときの心の動きは、日本の場合でも全く変わりません。
 大事なのは、親が自分の責任で工夫していくことです。

 ついでに言うと、その工夫を応援する場として行っているのが、言葉の森の思考発表クラブや自主学習クラスの企画です。

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「本を読まない子、言うことを聞かない子、集中力のない子、ゲームばかりしている子など、問題のある子への対応には、工夫が必要」
https://www.mori7.com/index.php?e=2367

 子供はいろいろな問題を抱えています。問題のない子などはいません。というよりも、もし問題がないとしたら、それ自体が将来大きな問題となります。問題がないというのは、学校や家庭という人為的な環境に適応しているということですから、社会というより自然に近い環境になると、かえって適応できなくなることがあるのです。

 では、これらのさまざまな問題にどう対応するかということですが、多くの場合、問題には一見簡単な解決法があるように見えることがあります。それは、工夫の必要のない解決法です。
 どうして工夫の必要のない解決法があるかというと、子供には、強制という方法が可能だからです。

 例えば、本を読まない子には、先生に強制的な宿題を出してもらうとか、ゲームばかりしている子には、強制的にゲーム機を捨ててしまうとかいう方法です。
 そういうやり方で問題を解決すると、一見問題は現象面としてはなくなったかのように見えます。しかし、その強制がなくなったとき、問題は再び大きく出てくるのです。

 問題の解決に、強制以外のものを考えるというのが工夫です。
 その工夫に必要な要素には、子供本人の自主性を生かすということがあります。

 人間は、必ず自主性を持っています。自主的にやろうとしないから強制するという発想をしてしまうと、子供の自主性はますます育たなくなります。
 小さな問題のうちから自主性を生かして問題を解決するように工夫していると、大きな問題が出てきたときも、その自主性を更に生かして解決することができるようになるのです。

 と、こんなことを考えたのは、オカメインコをカゴから出して遊ばせたあと、またカゴに戻すのが大変だったからです。(ずいぶん話が飛躍しましたが)
 同じペットでも、犬の場合は、人間の意図がわかるので、自主性を生かして飼育することができます。しかし、鳥の場合はそういう自主性にあまり期待できません。

 朝、オカメインコと文鳥をカゴから出して1時間ほど遊ばせたあと、カゴに戻そうとすると、文鳥はすぐに戻るのに、オカメインコはなかなか戻ろうとしません。
 最初のころは素直に戻ったのですが、慣れてくると、遊びの方が楽しいことがわかってきたので、自然には戻らなくなってきたのです。

 しかも、静かに遊んでいるならいいのですが、すぐにパソコンのキーを外したり、人が書いているシャーペンの芯をかじったりするので、そのつど仕事が中断します。
 そして、つかまえようとすると、うまく逃げて、天井近くの人の手が届かないところに止まり、「アホー、アホー」と、そりゃカラスだ。そうではなく、高いところでのんきに毛づくろいなどをしているのです。

 この解決策には、いろいろな方法が考えられました。。
 いちばん簡単なのは、カゴから出さないことです。もうひとつ簡単なのは、飛べないように風切羽をときどき切ることです。あるいは、虫取り網で無理やりつかまえてカゴに戻すという方法もあります。
 しかし、いずれの方法も、オカメインコ本人の自主性を生かしたやり方とは言えません。自主性を否定した解決策で対応すると、その後もずっと自主性を否定し続けるやり方しかできなくなるのです。

 そこで考えた方法は三つ。
 第一は、カゴをもっと大きくして、外で遊ぶのと同じような快適な環境にすることです。しかし、これは手間がかかるので、すぐにはできません。
 第二は、カゴの中に入れる餌の量を1日で食べ終わってしまうぐらいに少なめにして、外で遊んでいるうちに空腹を感じて戻りたくなるようにすることです。これは、ある程度うまく行きましたが、急いでいるときは使えません。
 第三は、オカメインコ本人が、つかまえられたということがわからないぐらいすばやくうまくつかまえるという、つかまえ方を工夫することです。これは、最初はうまくつかまえられず失敗することもあるかもしれませんが、努力次第で上達するという展望があります。
 しかし、ただ何も言わずにつかまえるのでは、インコ本人の自主性を生かしているとは言えません。そこで、つかまえる前には、「さあ、そろそろつかまえるよ」と言って、本人が納得してからすばやくつかまえることにしました。そして、まるでつかまえていないかのような優しいつかまえ方でそのままカゴに戻すと、本人は何ごともなかったようにすぐに餌を食べ始めました。

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小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

コメント欄

nane 2017年3月26日 6時39分 1 
 プランターにもうスミレが咲いていた。
 昨日から、急にあちこちに野の花が咲き出した。
 そして、今日は春の雨。
 自然はうまくできている。


森川林 2017年3月26日 6時44分 1 
 勉強も、生活も、すべての基本は家庭です。
 世の中に、いい学校、いい先生、いい参考書というのはもちろんありますが、それらを生かすのが土台となる家庭です。
 その家庭は、親の毎日の工夫によって作られているのです。


kira 2017年3月26日 18時3分 52 
 オカメインコのお話、じつに納得しました。共感しました。

namura 2017年3月27日 6時23分 10 
情報を利用することがあっても、情報に利用されないよう、しっかり自分の子育てをしていきたいですね。

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子育ての工夫で親にまさるものはない 森川林 20170326 に対するコメント

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