未ログイン ログイン
読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※番号を選択し「確認」ボタンを押して送信してください。

題名:○時計をみると、
 時計をみると、塾(じゅく)のはじまる時刻(じこく)まで、まだ一時間半ほどあった。ゆたかは、道路脇(わき)の小さな公園を歩いた。公園の中に人影(ひとかげ)はなかった。ベンチに腰(こし)をおろしたとき、キー、キーと鳴く声が耳につき、目をやった方に、小さな段ボール(だん   )箱がおかれていた。段ボール(だん   )箱の中をのぞくと、やっと歩けるようになった子猫(こねこ)が二ひき、箱の中を動きまわっていた。

   その段ボール(だん   )箱には「ほけんじょへつれていってころされます。だれかひろってください」と、おさない文字で書かれていた。その字から、小学校の低学年の子供(こども)が書いたのだと分かり、ゆたかは、このままだと、保健所(ほけんじょ)につれていかれて殺されてしまうだろう子猫(こねこ)たちを、小さな子が、助けようとして捨て(す )たのだと思った。助けたいと思った。そう思ったとき、お父さんが動物ぎらいなのを思いだした。ゆたかは、赤毛の子猫(こねこ)を手にとってみた。子猫(こねこ)はゆたかの手に小さな爪(つめ)を立ててキー、キーとはげしく鳴いた。ぱっちり開いた目もかわいかった。

   赤毛の子猫(こねこ)をおいて、白ぶちの子猫(こねこ)を手にのせてみた。白ぶちは、手にしがみつくように爪(つめ)をたて、こきざみに震え(ふる )ながら、何かをうったえかけるように鳴いた。その見開いた目が、たまらないほどかわいかった。つれて帰りたいという思いがふくらむにつれ、ゆたかの中で、お父さんの顔が大きくなった。だれかがひろってくれるだろうという気持ちがおき、ひろわれなければ死んでしまうだろうという思いとせめぎあっていた。それは、お父さんと、目の前で助けを求めている子猫(こねこ)たちの顔をしてゆたかを苦しめた。

  「だれかが助けてくれるさ」

   お父さんの顔に、圧(お)しつぶされそうな思いで、子猫(こねこ)たちに話しかけたとき、胸(むね)が痛ん(いた )だ。目に浮かび(う  )かけた涙(なみだ)をこらえて立ちあがったとき、カラスが一羽、子猫(こねこ)たちの真上の木の枝(えだ)にとまった。カラスの目が子猫(こねこ)たちを狙っ(ねら )ていた。ゆたかは、小石をひろって、カラスに投げつけた。木の枝(えだ)に小石がぶつかる音といっしょに、カラスが飛び立ち、そのまま、公園のすみっこに降り立っ(お た )た。

   ゆたかは、そのカラスめがけて、また石を投げつけた。何度も、何度も石を投げつけた。石を投げるたびに、カラスは逃げる(に  )が、公園から去ろうとはしなかった。

  「このままにしたら、あいつに食べられる……」

   そんな思いがよぎったとき、ゆたかは、何も考えず、子猫(こねこ)たちの入った箱をかかえ上げた。そして、まつわりついてくるお父さんの顔を、押しのける(お    )ように、家路をたどった。

   人通りがまばらになった暗い通りに、ひとかたまりの子供(こども)らがあふれだし、それぞれの家路へと散らばっていった。最後に教室をでたゆたかは、そのようすを見ながら、塾(じゅく)の階段(かいだん)を降り(お )た。

   早く帰りたいという思いがあり、足のすくむような思いもあった。納屋(なや)にかくした子猫(こねこ)のことが気になり、見つかっているだろうという不安が、お父さんの顔といっしょになって、急ごうとする気持ちにからみついてくる。あんなところにかくしていても、鳴き声を上げれば、だれだって気がつく。ずっと静かにしていてさえくれれば……。

   大きな通りにでたとき、車の流れる音が急に大きくなった。夜の大通りは、まるで光の洪水(こうずい)のようだ。信号が変わり、光の洪水(こうずい)がせき止められた。いく人かの歩行者が、横断(おうだん)歩道の上ですれ違っ(  ちが )た。横断(おうだん)歩道を渡っ(わた )て、しばらく歩いてから、車の洪水(こうずい)のはじまった音が背中(せなか)にひびいた。

   ゆたかは、子猫(こねこ)が見つけられていたときの方策(ほうさく)を、あれこれ考えながら歩いた。飼っ(か )てくれと言っても、それはむりだと分かっていた。引き受けてくれそうな友だちの顔をいろいろ浮かべ(う  )、もらってくれる人があらわれるまで、飼っ(か )ていてほしいとたのむことしか残されていないような気がした。そう思って浮かべる(う   )友だちや、同級生の女の子の顔が、なぜか、いつもより、とっつきづらくよそよそしかった。

   家が近づくにつれ、めぐらせる思いの何もかもが重たくなり、足も重たくなった。玄関(げんかん)の前までもどってきたときには、ただ、見つかっていないかもしれないということだけが、気持ちのささえだった。

  (笹山(ささやま)久三(きゅうぞう)「ゆたかは鳥になりたかった」)

問5 読解(どっかい)マラソン集11番「時計をみると」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 二匹(ひき)の子猫(こねこ)は、それぞれ色が違っ(ちが )ていた
B ゆたかは、塾(じゅく)から帰る途中(とちゅう)に、子猫(こねこ)の入った箱を見つけた
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解(どっかい)マラソン集11番「時計をみると」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A お父さんは、犬は好きだが猫(ねこ)は嫌い(きら )だった
B ゆたかは、塾(じゅく)が終わると急いで家に向かった
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: