未ログイン ログイン
読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※番号を選択し「確認」ボタンを押して送信してください。

題名:★立て板に水のように、
 立て板に水のように、よどみなく挨拶(あいさつ)をする人がいる。言葉もきれいだし、中身もソツがない。けれど――その中に心がこめられていなければ、相手はしらけてしまう。頭の良さをひけらかした、口先だけの世渡り(よわた )はこちらの胸(むね)を打たないし、潤滑油(じゅんかつゆ)にはならない。礼儀(れいぎ)正しく、キチンと型にはまりすぎた挨拶(あいさつ)も、ときとしていや味になることがある。

   毎日、うちへ手伝いに来てくれる娘(むすめ)さんと私(わたし)は、いつでも、どこでも、何をしていても声をかけあうことにしている。朝、彼女(かのじょ)が仕事着に着替え(きが )ているとき、私(わたし)がその前の廊下(ろうか)を通る。その足音でこの娘(むすめ)さんは、襖(ふすま)をちょっとあけて、

  「お早ようございます」

   と首だけ出してニッコリする。これがお互いに( たが  )(さあ、今日もこれから働きましょう)という合図になる。座っ(すわ )てお辞儀( じぎ)をすることもない。私(わたし)たち庶民(しょみん)の暮らし(く  )は、とにかく忙しい(いそが  )。

   少々のお行儀(ぎょうぎ)の悪さは堪忍(かんにん)してもらうことにしている。

   私(わたし)が、つきあう若い(わか )人たちは、それぞれに自分流の挨拶(あいさつ)が、ピタリと身についていて、気持ちがいい。けれど、――年寄り(としよ )の欲(よく)とでも言うのだろうか。私(わたし)はもう一つだけ、この人たちに望んでいることがある。昨日の挨拶(あいさつ)とでも言ったらいいのかしら。つまり、一つのことを終わらせるための挨拶(あいさつ)である。

   私(わたし)は若い(わか )人たちの相談にのり、いっしょに悩み(なや )、あれこれ助言することが多い。ときにはその家族へ到来(とうらい)ものをわけたり、手料理の腕(うで)をふるって、もてなすこともある。その場ではもちろん、彼(かれ)も彼女(かのじょ)もとても素直(すなお)に喜んでくれる。

   だが……チラッと、心にすき間風が吹く(ふ )のは、その後、この人たちに逢っ(あ )たときである。

   顔をつき合わせていても、まるで忘れ(わす )たもののように何にも言わない人が多い。

   たぶん、昨日のことは昨日のこととして、心の中から消えているのだろう。

  「昨日のブドウ、おいしかった?」

   などと、いくら親しい間柄(あいだがら)でも、そんな恩(おん)着せがましいことなど言えるわけはない。

  「このあいだ、ご心配をかけたこと、おかげさまであれから先方とうまく話がつきました」

  「昨日いただいたお菓子( かし)、母の大好物だったので大よろこびしていました。ご馳走( ちそう)さまでした」

   とか、たったそれだけの言葉でお互い( たが )の心がふれあい、それが親しさを増し(ま )、人間関係を深めることになる、と、私(わたし)は思う。

   夫婦(ふうふ)、親子の間でも、こうした日常(にちじょう)の挨拶(あいさつ)はあったほうがいいし、それが暮らし(く  )の中のけじめにもなる、と思うのだけれど。

 

 

  (沢村(さわむら)貞子(さだこ)「ご挨拶(あいさつ)のすすめ」)

問3 読解(どっかい)マラソン集2番「立て板に水のように」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 挨拶(あいさつ)が潤滑油(じゅんかつゆ)になるためには、型を守ることが大切だ
B 若い(わか )人の挨拶(あいさつ)は、行儀(ぎょうぎ)が悪いのが気になる
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問4 読解(どっかい)マラソン集2番「立て板に水のように」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 若い(わか )人が昨日の挨拶(あいさつ)をすることを、私(わたし)は望んでいる
B 昨日の挨拶(あいさつ)は、家族の中ではなくてもよいが、他人に対しては必要だ
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: