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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:○はじかれたように、
 はじかれたように、ぼくはふすまに手をかけた。一気にひきあけると、廊下(ろうか)にとびだした。

   でも、やっぱりそこには、だれもいないのだ。それなのに、だれもいない廊下(ろうか)を、小さな足音だけが、ゆっくりと遠ざかっていく。

   ぼくの体の中に、大きな恐怖(きょうふ)がふくれあがってきた。その恐怖(きょうふ)が、悲鳴になって口からあふれでそうになったとき、表座敷(おもてざしき)に通じる廊下(ろうか)の角を曲がって、ひょいと、いとこの昌一(しょういち)が姿(すがた)をあらわした。

  「よお。しげちゃん。」

   もし、昌一(しょういち)のそういう声をきかなかったら、まちがいなくぼくは叫ん(さけ )でいただろう。だって、中学生の昌一(しょういち)の頭は坊主(ぼうず)刈り(が )で、おまけにその日昌一(しょういち)は、中学校の制服(せいふく)の白い開襟(かいきん)シャツと黒い学生ズボンをはいていたものだから、ぼくにはまるで、さっきの男の子が急に大きくなって、またそこにあらわれたような気がしたのだ。

  「よお。」

   立ちすくむぼくに向かってもう一度声をかけながら、昌一(しょういち)が近づいてきた。いつも無愛想な顔にせいいっぱい愛想のいい、照れたような笑いを浮かべ(う  )ている。

  「昌(しょう)……ちゃん。」

   ぼくは、かすれたような声で、いとこの名を呼ん(よ )だ。

  「い……今、だれかと、すれちがわなかった? 小さい……坊主(ぼうず)頭の男の子と……。」

   昌一(しょういち)は、ぎょっとしたようにうしろをふりむき、それから、きょろきょろとあたりをみまわし、ちょっと肩(かた)をすくめてみせた。

  「いいや。だれとも……。なんや? それ。」

   ぼくの全身に、どっと冷たい汗(あせ)がふきだした。あの子は、この暗い廊下(ろうか)から、あとかたもなく消えうせてしまったのだ。

   それが、ぼくがぼっこにであった最初だった。

   ぼくは今でも、あの夜のことを思いだす。裏庭(うらにわ)の闇(やみ)の中で降る(ふ )ように花を散らしていた桜(さくら)を。長い廊下(ろうか)の天井(てんじょう)で、頼り(たよ )なくゆれていた電灯を。ぼくと昌一(しょういち)の間を埋め(う )ていた、あのなつかしいおばあちゃんの家のにおいを……。

   でも、そのときにはぼくはまだ、自分が本当にこの家で暮らす(く  )ことになるなんて思ってもいなかった。いつかまた、ぼっことであう日がくるとは考えもしなかった。

   それなのに、あのぼんやりとした春の夜、ぼくのまわりではもう、新しいなにかがうごきだそうとしていたのだ。

 

 

  (富安(とみやす)陽子「ぼっこ」)

問7 読解(どっかい)マラソン集4番「はじかれたように」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 昌一(しょういち)が姿(すがた)をあらわしたとき、ぼくがさけばなかったのは、昌一(しょういち)がにこにこしていたからである
B ぼくは、昌一(しょういち)とはいつも、無愛想な顔をして話している
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問8 読解(どっかい)マラソン集4番「はじかれたように」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 昌一(しょういち)は、坊主(ぼうず)頭の子の足音を聞いた
B ぼくは、それからまた、ぼっこにであうのだった
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: