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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:★私の平生の仕事は読むこと
 私(わたし)の平生の仕事は読むこと、考えること、書くこと、話すことなどである。その中で「考えること」は、別にいつとは限っていない。どんな時どんな所ででも出来る。御飯(ごはん)を食べながらでも考えられる。満員電車の中でもよい。とくに夜寝床(ねどこ)の中へはいってから考え出すと、だんだん頭がさえてきて、よい思いつきが浮かぶ(う  )ことが多い。翌朝(よくあさ)目がさめてから思いかえしてみると、まったくつまらぬ考え違い(かんが ちが )に過ぎない場合もあるが、時には昼日中には到底(とうてい)思いもつかぬ新しい着想が含ま(ふく )れていて、それが仕事のきっかけになることもあるのである。

   つぎに、「書くこと」というのに二通りある。一つの着想を数式で表現し、計算を進め、その結果を経験的事実と比較(ひかく)するというのが一つ。これは考えることの直接の延長(えんちょう)であると見てよい。この意味の「書くこと」は一つの専門(せんもん)的な論文(ろんぶん)が出来上がることによって一応終結する。もう一つはある外部的な事情にせまられて特別に筆を執る(と )という場合である。現に私(わたし)がこの短文を書いているのもそれである。それはなかなか楽ではない。ことにそれが長篇(ちょうへん)になるにしたがって労苦は加わってくる。ましてそれをまとめて一冊(さつ)の書物にするとなると大変である。

   読書が人生の大きな喜びであるのに比例して、著作(ちょさく)には苦しみがあるのである。そうして出来上がったものには、いつも不満足な点が多いのである。すくなくとも私(わたし)自身に関する限り、本を世に出してああよかったと思ったことはない。出来上がった本を見ると、いつもいろいろな欠点が目について、いてもたってもいられない気持になるのである。しかしそれも結局は私(わたし)自身の努力が足りなかったのだと反省せざるを得ないのである。

   これを逆の面からいえば著作(ちょさく)の労苦が多ければ多いだけ、それを読む人の楽しみが増すならば、労苦はじゅうぶんに償わ(つぐな )れているわけである。そう思うと、どんな短いものでもおろそかには出来ないことになる。しかし私(わたし)どもにとっては、何といっても専門(せんもん)外のことを書くのは苦手である。また専門(せんもん)の範囲(はんい)内でも、同じ問題の通俗(つうぞく)的な解説をたびたびやらねばならぬのは苦痛(くつう)である。それが多少なりとも科学の普及(ふきゅう)になると思えばこそである。

   そこで私(わたし)ども専門(せんもん)家にとっての今後の義務は、むしろ程度の高い本当の専門(せんもん)書の著作(ちょさく)にあるのではなかろうかと思う。とくに現在のように、外国の書籍(しょせき)の輸入が杜絶(とぜつ)している際には、質量ともに研究の典拠(てんきょ)となるような書物が各分科にわたって刊行されることが望ましいのである。かようなものへの要望が強いのに比例して、それを書く人の労苦は多いであろう。それは到底(とうてい)片手間(かたてま)で出来ることではない。

   ところが書物の執筆(しっぴつ)を依頼(いらい)されるような人は、必ず他に多くの仕事を持っているのである。その上に同じような著作(ちょさく)をあちらこちらから同時に頼ま(たの )れて困る(こま )場合も多いのである。ここに真に良い専門(せんもん)の書の世に出難い(がた )理由があるのである。したがって真に価値(かち)ある専門(せんもん)書を多く世に出すには、第一に一人の著者(ちょしゃ)に同じような著作(ちょさく)を幾つ(いく )も頼ま(たの )ないこと、第二には、著者(ちょしゃ)が他の仕事から解放されて一つの著述(ちょじゅつ)の完成に専念(せんねん)し得る期間を持つことが必要であると思う。しかしそれはいいやすくして、なかなか行なわれ難い(がた )ことであろう。

 

  (湯川秀樹(ひでき)「読書と著作(ちょさく)」)

問5 読解マラソン集3番「私(わたし)の平生の仕事は読むこと」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 私(わたし)は、いつでもどこでも考えることができる。
B 著作(ちょさく)には苦しみがある分、出来上がったあとの満足感も多い。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解マラソン集3番「私(わたし)の平生の仕事は読むこと」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 読む人が喜んでくれれば、書く人の苦労は報われている。
B 一人の著者(ちょしゃ)に同じような本を何冊(さつ)も書かせるので、良い専門(せんもん)書が世に出にくい。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: