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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:★私の友人に
 私(わたし)の友人に長い間アメリカに留学した男がいる。彼(かれ)の話によればアメリカの生活で一番困っ(こま )たことの一つは、アメリカ人の日本人に対する先入観であった。日本人はみな庭園の整理が上手だと思われているから、彼(かれ)も庭園の専門(せんもん)家としての意見を絶えず問われた。日本人はみな水泳が上手だと思われているから、彼(かれ)がプールに入ると多勢の学友が見物に来、大いにがっかりしたこともある。以上のようなアメリカ人の日本人に対する先入観の例はおびただしい。

   日本に来てから、私(わたし)も度々日本人の外人に対する先入観にぶつかったことがある。例えば、私(わたし)のことが新聞に出るときには、必ず「碧い(あお)眼」という形容詞(けいようし)も出る。初めのうちは、私(わたし)は何とも思わなかったが、段々(だんだん)疑問(ぎもん)が高まり、万一私(わたし)の眼が碧(あお)くなかったと思って鏡で眼の色を調べた。だが、ちっとも碧(あお)くはなかった。かわいらしい先入観であるが、私(わたし)の眼の碧(あお)さを楽しみにしていた人が本物を見れば、がっかりするであろう。

   こんな無邪気(むじゃき)な先入観にも困る(こま )こともある。私(わたし)は西洋人としては小さくて、日本人としても大きい方ではないが、西洋人はみな巨人(きょじん)だという先入観があるから、私(わたし)が日本式の宿に泊る(とま )ときは、ほとんどいつも巨人(きょじん)向きのスリッパや巨人(きょじん)向きのどてらをくれる。そして私(わたし)の貧弱な身体を見て、「やっぱりあちらのお方は体躯(たいく)が立派(りっぱ)どすな」と(皮肉ではないように)いうおばあさんもいる。赤面するほかはなかった。

   以上の場合には、実物を見ても先入観の方が強いから、実物に応じて処置(しょち)をとるかわりに、実在のない先入観によって巨人(きょじん)のスリッパを出したり、私(わたし)の「立派(りっぱ)」な体躯(たいく)を観賞したりすることが多い。私(わたし)だけなら、もちろんどんな間違っ(まちが )てもかまわないだろうが、もしも日本人が外国へ行って自分らの先入観を通じて外国を見、先入観を外国の実在として報告すれば、非常に困る(こま )ことがあると思う。

   一例を挙げよう。「英国は耐乏(たいぼう)生活の国だ」という誠に(まこと )ありがたい先入観がある。英国へ行く日本人の多くは、ロンドンの料理屋でまずい食物を食べて、「なるほど、イギリスの耐乏(たいぼう)生活だな」と思うらしい。戦争直後には「耐乏(たいぼう)生活」は事実であったが、現在はイギリスの料理屋の食事がまずいのは、コックさんやお客に帰すべきもので、耐乏(たいぼう)生活とは全く関係がない。戦前に比べれば今の料理屋はましだという英国人さえいる。しかし、一般(いっぱん)の英国民衆(みんしゅう)は日本人とちがって、おいしいものにあまり興味を持っていない。ある戦前の調査によれば農村の人たちにとって酢(す)をかけたカンヅメの鮭(さけ)は何よりの御馳走(ごちそう)であった。狭い(せま )海峡(かいきょう)の向うにあるフランス人となんとちがうことだろう。ともあれ、耐乏(たいぼう)生活の時代も今も英国ですばらしい御馳走(ごちそう)になるのは決して不可能ではない。一般(いっぱん)英国人向きの料理屋にはないだけの話である。

   「英国人は紳士(しんし)だ」というのは結構な先入観であり、たしかに根拠(こんきょ)のないことではない。しかし、もしその必然の帰結として、他の外人は紳士(しんし)的でないことになったら、また困る(こま )。私(わたし)自身についていえば、私(わたし)はアメリカで生まれて、アメリカで育てられてから、渡英(とえい)してケンブリッジ大学の教師になった。私(わたし)がケンブリッジ大学の教師だから、英国人だと日本人が思うのも無理はない。大体の場合は、しばらく話しあってから日本人の相手は「あなたはアメリカ人とは全然ちがいますね。やはりイギリスは紳士(しんし)の国です」といってくれる。しかし、初めから私(わたし)がアメリカ人だと知っている日本人は私(わたし)の紳士(しんし)らしさにうたれないようである。同じ私(わたし)が先入観によって、紳士(しんし)と見られることもあるし、単なる毛唐(けとう)と見られることもある。アメリカ人であることを隠す(かく )誘惑(ゆうわく)に負けやすい。

 

  (ドナルド・キーン「碧(あお)い眼の太郎(たろう)冠者(かじゃ)(かじゃ))

問5 読解マラソン集3番「私(わたし)の友人に」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A アメリカ人は、日本人がみな水泳が上手だと思っている
B 私(わたし)が外人で眼が碧(あお)いので、よく「碧(あお)い眼の」と形容される
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解マラソン集3番「私(わたし)の友人に」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。 
A 英国は耐乏(たいぼう)生活の国なので、料理がまずいことが多い
B 英国人が紳士(しんし)だというのは、根拠(こんきょ)のないことではない
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: