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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:★竹下君よ
「竹下君よ」と山田が思い出したようにいった。 

  「昇(のぼる)は少し生意気なのと違う(ちが )か」 

  「今日もな」と秀(しゅう)がいいかけると、 

  「おれもなあ」と松も何かいいかけようとした。 

   二人が同時に何かを訴えよ(うった  )うとするのをさえぎるように進がいった。 

  「昇(のぼる)のことは任しとけ。もう少したったらちょっと痛い目に合わしてやろうと思うとれど、病気上がりやから遠慮(えんりょ)しとるんや」 

  「そうやろう、おれもそう思っとったわ」と山田が安心したようにいった。 

  「病気になる前もえらい生意気なところがあったなあ、竹下君」と松がいった。 

  「磯介(いそすけ)とよ」と山田が吐き(は )捨てるようにいった。 

  「まあ任せとけ」と進が落ち着いた声でいうと、「われらにいいものやるっちゃ」とポケットからゴソゴソと袋(ふくろ)を取り出し、みんなにその中味を一つずつ与え(あた )た。さつまいもをふかして干したものだった。 

  「これなあ、焼いて食べると、もっとうまいんやけどなあ」としばらくして進がぼくにいった。 

  「そうやろうなあ」とあいづちを打ったが、ぼくは焼かないでもおいしいと思った。今までに見たことはあっても、食べたのはこれが初めてだった。 米の供出量の関係で、伯父(おじ)の家はさつまいもを作っていなかった。乾燥(かんそう)いもはぼくがふだんから食べてみたいと願っていたものの一つだった。 

   ぼくは心の中でひそかにそうしたものをみんなに貢が(みつ )せて食べることのできる進の立場をうらやましく思いながら、同時にそう思っている自分を恥じ(は )た。 

  「うまいじゃあ、竹下君、この乾燥(かんそう)いも」とふだん絶対といっていいぐらい、おこぼれにあずかれない一郎(いちろう)が、一番うしろの列から感激の声を挙げた。こんな風に進がみんなに貢物(みつぎもの)を分かち与え(あた )たことは今までになかったことだった。 

  「もう一枚ずつやるわい」と進はいって、みんなにまた一枚ずつわけ与え(あた )た。どれも分厚いみごとな乾燥(かんそう)いもだった。 

  「竹下君よ」と磯介(いそすけ)がいった。「この乾燥(かんそう)いも、昇(のぼる)が持って来たんやろう」 

  「それがどうした」と進が不機嫌(ふきげん)に答えた。 

   ぼくはひどくがっかりした。その時まで昇(のぼる)だけが進に対等の態度を取ろうとする勇気を持った唯一(ゆいいつ)の同級生かも知れないと思っていたからである。ぼくはこんな夢さえ抱い(いだ )ていたのだった。昇(のぼる)とぼくの二人はいつか協力して進の専制的な暴君ぶりを改めさせる、進は前非を悔いる(く  )。級の空気は一変し、みんなが同じような立場で、仲よくはつらつとつき合えるようになる。ぼくは維新(いしん)を、革命を夢みていたのだった。その主要な立て役者だった昇(のぼる)が脱落(だつらく)してしまったのだ。 

  「もうずっと遊びに入れてやらあ」と松がいった。 

  「ああ、様子を見てな」と進が不機嫌(ふきげん)に答える。 

   ぼくは進に今さらのように恐怖(きょうふ)の念を覚えた。進の権力の偉大(いだい)さをまざまざと知らされた思いがした。もうこれからは一切進に反抗(はんこう)するのは止めようとぼくは考えた。――できるだけ心して進の御機嫌(ごきげん)を損じないように努め、進の庇護(ひご)を仰ご(あお )う。それがここにいる間、戦争が勝つまでここに暮らしている間、ぼくの安全を確保する唯一(ゆいいつ)の道なのだ。心を売らなくてもいい、表面だけでもそういう態度をとらなくてはならない、とぼくは自分にいい聞かせた。

問5 読解マラソン集3番「竹下君よ」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 竹下君というのは、進の名前である
B 進は、みんなに、家から持ってきた乾燥いもをくれた
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解マラソン集3番「竹下君よ」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A ぼくは、昇がクラスのリーダーになればいいと思っていた
B ぼくは、進も含めてみんなが同じようにつき合えるクラスを夢見ていた
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: