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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:★日本人の文化は、共感の文化であると
 日本人の文化は、共感の文化であるといわれる。共感は、発声されたことばを必要としない。目を見合えば、相手の心の動き、感情がわかり、「目は口ほどにものを言う」。日本人の目は視覚器官であるばかりか、人間の感情を表現すべき重要な言語器官でもあるから、「目くばり」には常に留意する必要があり、めったやたらに他人に対し視線を向けてはならない。電車の中で腰掛け(こしか )ている人々がいっせいに眠っ(ねむ )ているのは、まさに世界の奇観(きかん)であり、日本に来たことのあるパリのお嬢さん( じょう  )は、「本当にびっくりした。」と語っていたが、これは、単に日ごろの疲労(ひろう)や栄養不足からくる習性とばかりは言い切れまい。目と目を合わせてはならぬという、いわば意識下の意識が、座席に腰(こし)を下ろしたとたんに作動し、条件反射的に人々を眠ら(ねむ )せてしまうのだ。

   日本人は、したがって、「対話」によって自他の相違(そうい)点と共通性を確認することを好まず、またその必要もなく、外国語は常に不得手である。彼(かれ)は、独り「文字」を読み、独り写真を撮り(と )、独り映画を、独りテレビを見たとしても、内心で日本人を共感し合うことができる。したがって彼(かれ)は、日本国内、日本人集団のうちにあって初めて人間としての価値をもちうる。そして、いったんこれから離れ(はな )たが最後、赤ん坊(あか ぼう)同然となり、あたかも虎(とら)や狼(おおかみ)のいる森の中に独り置かれたときのように、周囲の「外人」に言い知れぬ恐怖(きょうふ)感を抱か(いだ )ざるをえないことになる。

   つまり日本人にとっては、ことばがなくても通じ合う者だけが、とどのつまりは人間なのであり、それぞれ相手の目の中から、一瞬(いっしゅん)のうちに自分に対する好意・敵意あるいは無関心を読み取る。まさに、「目は心の窓」であり、集団を形づくっているのは、このような情緒(じょうちょ)反応である。それ以外のもの、例えば互い(たが )の意思を確認し合うための言語などは、本来的な必要性をもっていない。仲間うちとわかれば親しげにおしゃべりが始まり、仲間でないとわかれば形式的なことばが交わされるか無言かのどちらかがあるにすぎない。仲間うちであろうとなかろうと、人間関係にとってだいじなのは「見合い」の情緒(じょうちょ)反応であり、「話し合い」のことばは、あってもなくてもいいもの、余計なもの、あるいはしらじらしいものとしか受け取らない。

   言語により形づくられる欧米(おうべい)の思想は、一人一人がはっきりした声で自己を表現するところから生み出されたものである。日本人の場合、内心ではそれぞれ違っ(ちが )た考えを抱い(いだ )てはいるのだが、それは決して声にならず、結果として情緒(じょうちょ)的な一体化が生み出される。したがって、個人的には不平・不満がいっぱいありながら、国単位・地方単位・企業(きぎょう)単位・部課単位で統一的な人格が構成されるために、本来個人的であるべき欧米(おうべい)の諸思想は、結局、「借り着」でしかない。菅原道真(すがわらのみちざね)の唱えた和魂漢才(わこんかんさい)が、幕末・明治以来、和魂洋才(わこんようさい)に形を変えたとはいえ、実質は、九世紀以来、どれだけ変化したといえるであろうか。日本人は、コミュニケーションの手段としての言語を本当の意味ではもっていない。

   イギリスでは今なお、例えばロンドン塔の前(とう まえ)などで、小さな個人演説会が開かれている。人々は、弁士の話に熱心に聞き入り、議論し合う。傍ら(かたわ )には、サンドイッチやコーヒーを売る屋台も店を出している。この情報化時代にそんな牧歌的なミニ−コミが何になる。年寄りの暇つぶし(ひま   )にすぎないではないか、と受け取るむきが多いかもしれない。しかし、その神経はおよそ正常とはいいがたい。

   マス−コミの時代、情報化社会の時代であればこそ、このような個人レベルでの日常的議論が必要なのだ。マス−コミの独占(どくせん)的な世界操作をチェックし、無意識的にせよマス−コミが犯す過ちを防ぐために、また、自らが情報のうずに巻き込ま(ま こ )れて、風に舞う(ま )木の葉のごとく右往左往するはめに陥ら(おちい )ないために、ほかにどんな方法があるというのか。議論すなわちことばによる闘争(とうそう)を通して、私たちは、初めて自分と他人との相違(そうい)と共通性を明確に認識し、そこから相互(そうご)依存(いぞん)の共同生活の論理を発見していくことができる。そして、個々人すべてがこうして自らを客観化しえたとき、初めてマス−コミは自らのものとなり、いたずらに過剰(かじょう)な情報に振り回さ(ふ まわ )れることなく、これを、自分なりに整理しうる強靭(きょうじん)な精神態度、主体的な知性が存立可能となるのだ。

  (木村尚三郎(しょうざぶろう)の文章)

問3 読解マラソン集2番「日本人の文化は、共感の文化であると」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 日本人は、他人と目を合わせたくないために電車の中で眠る人が多い。
B 日本人は、相手と共感する際に、特にことばを必要としない。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問4 読解マラソン集2番「日本人の文化は、共感の文化であると」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 日本人は、みんなが内心同じ考えを持っているので、一体感を持ちやすい。
B 情報化時代には、マスコミよりもミニコミの方が大事である。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: