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読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
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題名:★「話」なしには夜も日も明けぬ
 「話」なしには夜も日も明けぬわれわれの生活であるが、聞くはしから忘れて行く話の分量も大変なものであろう。短編小説は、その意味では、まるで市井(しせい)の淀み(よど )に浮かん(う  )で、かつ消えかつ結ぶ泡沫(うたかた)のごとくである。かえって子どもの時分に聞いたり読んだりした話の中に、奇妙(きみょう)にいつまでも忘れられぬものがある。

   私の場合、例えば人さらいの話などはそうであった。まだ「原っぱ」というようなものがあちこちにあった時代で、「人さらい」という言葉にもかなり実感があった。遊びに熱中して日が暮れても家に帰ろうとしない子供を脅す(おど )のに、大人はよく人さらいの話を持ち出した。

   さらわれた子供はサーカスに売られ、曲芸をするのに身体を柔らかく(やわ   )するため酢(す)を飲まされる。そして、くる日もくる日も鞭(むち)で叩か(たた )れ、泣く泣く球乗りや綱渡り(つなわた )の芸を仕込ま(しこ )れる。それでも子供の身空では逃げ帰る(に かえ )こともかなわないなどと、今のサーカスの人が聞いたら怒る(おこ )だろうようなことを、まことしやかに吹き込ん(ふ こ )だものである。

   人の子をさらって行くのは、人間とはかぎらない。大きな鷲(わし)が幼児を連れ去ったという、伝説めいた話も年寄りから聞かされた。鷲(わし)は、その子をどこかの寺の高い松の梢(こずえ)に引っ掛け(ひ か )て行った。それを運よく坊さん(ぼう  )に拾われて育てられ、その子も長じて偉い(えら )坊さん(ぼう  )になったとかいう話であった。

   子供心には、そういう話はお化けや幽霊(ゆうれい)のそれとはまた違っ(ちが )た恐怖(きょうふ)を与え(あた )た。子供はサーカスの苦行が恐ろしい(おそ   )のでもなければ、大鷲(おおわし)の爪(つめ)に襟首(えりくび)を掴ま(つか )れて宙高く舞い上がり(ま あ  )、むりやり遠方まで飛行させられるのがこわいのでもない。そうした出来事の向こうに、故郷の家を思い父母を恋う(こ )て泣き暮らさねばならない永い年月を想像して、白日の悪夢のような絶望感におそわれるのである。

   森鴎外(おうがい)の短編『山椒(さんしょう)大夫』でも知られる「安寿(あんじゅ)と厨子(ずし)王」の話も、子供には救いようのない話の見本のようであった。小学生の私は、あれを最初に講談社の絵本で読んで、やりきれない気持ちにさせられた。男の子なら誰(だれ)しも自分が厨子(ずし)王の身になって読むにちがいないが、おなじ人さらいに出会うのも母親と姉と姥(うば)と四人づれなのがいくらか心丈夫(こころじょうぶ)かと思うと、そうは行かない。姥(うば)は海に身を投げ、母は別の舟(ふね)に乗せられて、あっという間に反対の方角に遠ざけられる。姉さんはやがて自分を助けるために、沼(ぬま)に入って死んでしまう。それでも自分は立派に成人して地方の役人になり、ついには母親にめぐり会うのは嬉しい(うれ  )が、しかし、その母は老いさらばえた乞食(こじき)のような姿で、しかも盲目(もうもく)で、とある農家の庭先で粟(あわ)にたかる雀(すずめ)を追っている。「安寿(あんじゅ)恋し(こい )や、ほうやれほ。厨子(ずし)王恋し(こい )や、ほうやれほ。鳥も生(しょう)あるものなれば、疾(と)う疾()う逃げ(に )よ、逐(お)わずとも」と、その口ずさむ歌も哀れ(あわ )のきわみである。

   子供は、自分が受けた感動の内容を大人のように言葉で説明することはできない。ひどい話を読んだあとでは、何か毒でも飲まされたような苦しみが残るにすぎない。それを仮に言葉にすれば、悪人の働きが恐ろしい(おそ   )とか、姉さんの身の上がかわいそうとか、お母さんの姿が痛ましいとかいうだけではない。それよりも、そんなふうにして失われた月日は二度と返らない。たとえ母親が命だけは無事で、息子もちゃんと大人になったとしても、過ぎた時の埋め合わせ(う あ  )は誰(だれ)がしてくれるものでもない、それはあまりに残酷(ざんこく)である、というようなことだったろう。

 

  (阿部(あべ)昭『短編小説礼讃(さん)』)

問5 読解マラソン集1番「『障子』という言葉は」の長文を読んで、○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 時頼の母は、障子の張り方を通して、時頼に小事にこだわらない大きな心を教えようとした。
B 清書納言は、たてつけの悪い障子を作るような人の気が知れないと思った。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解マラソン集2番「それからまた相当な道のりを」のの長文を読んで、○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 千代は、蛍に一匹でも出あったら自分の人生を変えようと思っていた。
B 英子が川に降りようとする竜夫を引きとめようとしたのは、千代のことが心配だったからである。
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: