未ログイン ログイン
読解検定
 難しい文章を読み取る力をつける
 ドルくんの 読解検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※番号を選択し「確認」ボタンを押して送信してください。

題名:★グローバリゼーションが
 グローバリゼーションが、少数の新しい「言葉をもつ(リテレイトな)」人々と、多数の新しい「言葉をもたない(ヴォイスレスな)」人々を作り出し、このところ数年来、日本では「勝ち組」と「負け組」の分化がメディアをにぎわせている。

   同じことが、アフガニスタンにも、中国にも、メキシコにも、東欧(とうおう)にも、エジプトにも、いえるに違い(ちが )ない。グローバリゼーションは、これを「言葉があること」のほうから見ると、光を広める動きだが、「言葉がないこと」のほうから見れば、世界に闇(やみ)を広げる動きなのである。

   なぜ内部にゆがみを蔵した日本発の「小さなもの」――「かわいい」文化――が、いま米国発の「小さなもの」――スヌーピーであり、ミッキーマウスであるもの――の優位を揺るがし(ゆ   )つつあるのか。

   日本のGNPならぬ「グロス・ナショナル・クール(Gross National Cool 国内ソフト・パワー総生産)」がもつソフト・パワーとしての潜在(せんざい)力について煥発(かんぱつ)力ある論文を書いたダグラス・マッグレイは、現在のジャパニーズ・クールとアメリカン・クールの争闘(そうとう)において肝腎(かんじん)な要素は、「文化的な正確さ」でもなければ「正統的なアメリカ起源」でもないと述べ、Tシャツに銘打た(めいう )れる「Harbard(正しくはHarvard)University」のロゴやポテトサラダのピザのような、本国人から見れば首をかしげるようなうさんくさいフェイクなアメリカ文化の日本での横行に注意を喚起(かんき)している。どのくらい自覚的かはわからないが、彼(かれ)の直観は正鵠(せいこく)を射ている。ジャパニーズ・クールの本質は、それがうさんくさいアメリカもどきであること、偽物(にせもの)の欧米(おうべい)化であること、偽物(にせもの)のグローバル・スタンダードであること、その意味で「言葉がないこと/言葉をもたないこと」の表現であることにこそある。新しい独創的な対抗(たいこう)原理がそこにあるのではない。戦後日本は占領(せんりょう)期以来、「アメリカもどき」の「追従にどこまでも似た抵抗(ていこう)」、「抵抗(ていこう)にどこまでも似た追従」を通じ、政治方面での壊滅(かいめつ)的な低迷に並行しつつ、「言葉をもたないこと」の文化表現の力を養ってきた。その結果、半世紀の経験をへて、いま自分も予期しなかった形で、その副産物の勃興(ぼっこう)を見ている。あの、『古事記』に描か(えが )れた口のない海鼠(なまこ)こそ、ハローキティの先祖なのではないだろうか。

   これに対し、さほど準備のない――本国でなら「言葉をもたない」階層に分類される――個人でも、アメリカ人でさえあれば、「光の言葉」の母国語使用者(ネイティブ・スピーカー)として、日本で、現在隆盛(りゅうせい)の語学学校の英会話の教師になれてしまう。こうした挿話(そうわ)が示すように、いまやグローバリゼーションの波の中で、ミッキーマウス、スヌーピーをはじめとする欧米(おうべい)の文化産物は、すべて米国の「本国」以外では、正統的な「言葉をもつこと」の使節として受け取られ、「光の言葉」の後光を身に帯びざるをえない。ミッキーマウスが文化的に劣位(れつい)な鼠(ねずみ)であることに明らかなように、それらはかつて本国において劣位(れつい)の「言葉をもたないこと」の表現であり、そうであることで、本国同様、他の国においても、人々に訴え(うった )かける力をもっていたのだが、いまや、グローバリゼーションの波に洗われるさまざまな国で、ミッキーマウスもスヌーピーも、グローバリゼーションの本国たるアメリカからの到来(とうらい)者、いわば文化使節として正統的かつ優位な神と感じられる。その傍ら(かたわ )にフェイクな精霊(せいれい)たるハローキティやセーラームーンを置いてみよう。そうすれば、ミッキー、スヌーピーは立派でお偉い(えら )「識字者」であり、よそゆきであり、時には少々、抑圧(よくあつ)的、さらにはマッチョにすら、感じられる。彼ら(かれ )はいまや、気楽な友達であるには、ほんの少し抑圧(よくあつ)的なのである。(中略)

   マイクロソフト社は否定しているが、かつて同社のビル・ゲイツ会長がハローキティの権利を六千億円で買い取りたいと申し入れたという挿話(そうわ)は、喚起(かんき)的である。彼(かれ)が、スヌーピーではなく、ハローキティに目をつけたのは、そこに、よりマイクロソフトにはないものがあると感じたからだろう。そこに彼(かれ)は何を見たのか。筆者の考えをいえば、ビル・ゲイツの中で、口をもたないハローキティは、未知の「言葉がないこと」の力を、体現している。

  (加藤(かとう)典洋「グッバイ・ゴジラ、ハロー・キティ」による)

問5 読解マラソン集3番「グローバリゼーションが」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A グローバリゼーションは、それを光と感じる少数と、闇と感じる多数を生み出してきた
B ジャパニーズ・クールは、日本化されたミッキー・マウスやスヌーピーの中に見られる
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択:

問6 読解マラソン集3番「グローバリゼーションが」を読んで次の問題に答えましょう。
 ○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A ハロー・キティは、口を持たないことで、言葉を持つものに対する独創的な対抗原理を示している
B ミッキー・マウスも、かつては言葉を持たない抑圧された人に訴える力を持っていた
1 A○ B○   2 A○ B×   3 A× B○   4 A× B×

解答選択: