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記述の森の記述検定
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 記述の森の記述検定  編集
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題名:○私には一つ、自分の好奇心を(感)
 【1】私(わたし)には一つ、自分の好奇(こうき)心を呼び覚ます(よ さ  )発見があった。お茶室というものが時代を経る中で、広い書院からだんだん小さく縮ん(ちぢ )でいって、最後は一坪(つぼ)だけの空間に至る(いた )という、その縮小(しゅくしょう)の流れを見つけてハッとしたのだ。【2】このお茶室の面積が縮小(しゅくしょう)していく流れが、ある不思議な引力をもって見えたのである。
 前から気になっていたことだが、懐石(かいせき)料理というものは、何故大きな器にホンの少々の食品を載せる(の  )のだろうか。
 【3】同様に、生花というものもおうおうにして、大きな器にホンの一輪の花をすっと斜め(なな )に生けたりする。そんなことが何故か気にかかっていた。
 懐石(かいせき)料理がほんの一口の分量を大きな器に入れてあること、それを経済(けいざい)要素から見れば貧乏性(びんぼうしょう)である。【4】大きな花器に花一輪も同じことだと思う。ヨーロッパでは花はたくさんあるほど美しく、それが豊かさの表現となっている。それに対して一輪の花で満足しようというのだから、これは貧乏性(びんぼうしょう)の美学というより、むしろ貧しさの美学、といった方がいいのかもしれない。【5】しかしお茶室の縮小(しゅくしょう)していく流れには、ただ経済(けいざい)からの解釈(かいしゃく)による貧乏性(びんぼうしょう)とは違う(ちが )別の引力があるのではないか、という印象があるのだった。
 懐石(かいせき)料理というものは、利休たちの茶の湯の世界が究められていく過程で生れたものだ。【6】つまりお茶を飲むために、その事前運動として料理を食べる。
 私(わたし)たちがいまふつうに飲む煎茶(せんちゃ)にしても、まず食事をすませたその後に、ゆっくりと飲むものである。まして茶の湯でいうお茶とは抹茶(まっちゃ)である。【7】お茶の葉を摺っ(す )て粉にしたものを、そのままお湯に溶かし(と  )て飲むのだから、ずいぶん濃い(こ )。それでも薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)とあって、お濃茶(こいちゃ)というのはほとんどドロドロである。カフェインであるから、空っ腹(すきっぱら)には相当こたえる。【8】何か食べたあとの満たされたお腹( なか)でなければ受けとめられない。そこでお茶の前には必ずお茶受けのお菓子( かし)が出るわけで、そのお茶受けをさらに強化したものとして懐石(かいせき)料理があらわれてくる。
 【9】つまり食欲(しょくよく)を満たすための食事ではなく、あくまでお茶に至る(いた )ための食事であるから、分量的には最低限のものでいいわけである。しかしそうやって生れた極小の懐石(かいせき)料理が、お茶という最終目標を失ったところでもなお美しい料理として崇め(あが )られていく。そういう美意識がこの国にはあるのだった。
 【0】その極小を愛でる美意識が、貧乏性(びんぼうしょう)と重なってあるのである。そもそもディテールへの愛というものが、基礎(きそ)的な感性としてあるのだ。
 たとえば大和心のシンボルともいわれるサクラというもの、漢字ではこれを櫻(さくら)と書く。嬰()という字には、まとう、めぐらす、とりまくという意味があるという。中国ではサクラの花がぐるりと木をとりまいて咲く(さ )全体像を見て櫻(さくら)という文字が出来ているのだ。
 それでは漢字が伝わってくる前、サクラという和音による呼び名(よ な)にはどのような意味があるのか。日本語の古訓でサクの音のものは裂()、割(わり)、刳(く)、その他、いずれも「二つに分かれる」という意味を持っているという。
 おそらく桜を見てサクラと発音していた古代の日本人たちは、桜の花びらを見つめていたのであろう。ご存知( ぞんじ)のように桜の花びらの先端(せんたん)には小さな切れ込み(き こ )があり、M字形となっている。花びらの先が二つに分かれる。つまり大陸の人々は茫洋(ぼうよう)とピンクの固まりに包まれた桜の木の総体を見ていた。そして列島日本人は、散った桜の花びらの一つを掌(てのひら)に載せ(の )て、その先端(せんたん)部分に見入っていたのである。
 そもそも日本人の崇める(あが  )神さまたちは、自然の風物の樹(き)や、石や、動物の一つ一つに宿っているわけで、自然のディテールを愛でる感性はこの列島の条件として備わっていたものなのだろう。
 おそらくそのような感性は、この国の人々に、自然に、無自覚的にあったのだと思う。

(赤瀬()川原平『千利休 無言の前衛』〈岩波新書〉)

問1:筆者は、お茶室がだんだん小さくなっていったことに、ただの「貧しさ」とは違う(ちがう)ものを感じています。それはどのような美意識ですか。  60~70字
文字数(もじすう):0字



問2:懐石(かいせき)料理は、もともとどのような目的で生まれたものですか。また、そのために料理の量が少ないのはなぜですか。  60~70字
文字数:0字



問3:筆者は、中国の人と古代の日本人では、桜を見るときの見方がどのように違っ(ちがっ)ていたと考えていますか。  60~70字
文字数:0字



問4:筆者は、日本人には小さなものや細かな部分の美しさを大切にする感性があると述べています。あなたが、身近な自然や物の細かなところに美しさやおもしろさを感じた経験を一つ挙げ、その理由を書きなさい。  100~120字
文字数:0字