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記述の森の記述検定
★10月の問題だけができるようになっています。
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 記述の森の記述検定  編集
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題名:★(感)結局のところ
 【1】結局のところ、日本語は、質問者の質問のしかたに即し(そく )、その意図にそっていれば「ええ」とこたえ、反していれば「いいえ」とこたえるわけだが、欧米(おうべい)では、肯定(こうてい)疑問であろうが否定疑問であろうがそんなことにはおかまいなく、返答する者が知っているか否かによってのみイエス・ノーが決められている。【2】こうしてわが同胞(どうほう)は、外国に行って否定疑問文を浴びせかけられるたびに、どぎまぎしながら「はい、いやちがった、いいえ」「いいえ、いや、はい」などとやって、ますます「あいまいな日本人」という神話をはびこらせてしまいもするのだろう。
 【3】このような否定疑問へのこたえ方にかいま見られるのは、自己中心的な欧米(おうべい)流の思考法と外部指向的なわが国の思考法とのちがいにほかならない。そのうえ、そもそも私たちは、きっぱりとは「ノーと言えぬ」やさしき日本人なのである。【4】つまり、私たちのあいまいさは、多分に、他人への配慮(はいりょ)からも生じているわけだ。
 こうした他人への配慮(はいりょ)は、多かれ少なかれ、自己を抑制(よくせい)することになるだろうし、他人と歩調を合わせようとすることにもなるだろう。【5】私たち旧世代がつねに指摘(してき)されてきた日本的集団主義はもとより、はた目には、かなり自己チュー(自己中心的)と見られる現代の若者たちまでが、学校や職場での友人関係にどれほど気をつかっているかは、見ていて涙ぐましい(なみだ    )ほどである。【6】「はい、はい、はい、はい」と、「はい」をいくつも続けてコミカルかつ同調的な司会者のノリを出してみたり、「やっぱし」「ヤッパ」「あんまり」「意外と」を連発して社会通念にこびてみたり、【7】「半疑問」「半クエスチョン」と呼ばれる文の途中(とちゅう)での語尾(ごび)のアゲを使うことで相手との一致(いっち)をたえず確認してみたり、あげくの果てには、携帯(けいたい)電話を通してまでもこうした気づかいをくりかえし、彼ら(かれ )は、ようやく、「だれかとつながっている」という安心感を得るにいたるらしいのだ。
 【8】このように、私の見るところ、日本語におけるあいまいさと言われるものは、大別すれば、「暗黙(あんもく)の了解(りょうかい)」と「他人への配慮(はいりょ)」という二つのものに由来しているように思われる。「暗黙(あんもく)の了解(りょうかい)」はまさしく了解(りょうかい)されている以上、それを言葉にしないのは当然のことであって、それがあいまいと映るのは外部の目に対してだけである。【9】あるいはまた、「他人への配慮(はいりょ)」によって物言いを微妙(びみょう)に変えるところなど、自己主張ばかりに終始する西洋風の言葉づかいよりも数段すぐれていると考えることもできる。したがって、日本語における「あいまいさ」なるものは、本来の意味においてはあいまいではないのだと、そういうこともできるだろう。
 【0】しかしながらこの「暗黙(あんもく)の了解(りょうかい)」や「他人への配慮(はいりょ)」が、日本語の内部においても次第に崩れ(くず )てきているとすればどうだろう。暗黙(あんもく)の了解(りょうかい)があってこそあいまいさをまぬがれていた私たちも、そうはいかなくなり、他人への配慮(はいりょ)があってこそあいまいも美徳になっていたのが、一転して、単なるあいまいとしての悪徳になってしまうのではないだろうか。
 たとえば、あるスーパーマーケットで年配の婦人が、若い女店員にこうたずねた。
 「あのう、お嬢さん( じょう  )、このお豆腐(とうふ)ずいぶんにごりが出ているけれど、まさかヨイゴシ(宵越し(よいご ))のお豆腐(とうふ)じゃないでしょうね」
 けげんな顔をした女店員は、こう応じたのである。
 「いえ、お客様、当店では「絹ごし」と「木綿ごし」しか置いておりません」
 思わず私はふき出してしまった。二重の意味においてである。ひとむかし前ならば、この答えは当意即妙(とういそくみょう)の見事なものであったにちがいない。当店の商品には「宵越し(よいご )」などという言葉はないと、ナポレオンのように自信たっぷりの答えとなったはずである。しかしながら、当の女店員さんは大まじめ。ご婦人の苦笑に一抹(いちまつ)の淋し(さび )さを感じたのは、私の深読みにすぎなかったのだろうか。

(加賀野井(かがのい)秀一()『日本語の復権』による。)

問1:  ~字
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問2:  ~字
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問3:  ~字
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問4:  ~字
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