未ログイン ログイン
記述の森の記述検定
★10月の問題だけができるようになっています。
 読む力、書く力、考える力を育てる
 記述の森の記述検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※解答欄への入力は、音声でもテキストでもどちらでもできます。

題名:○たとえば粗大ゴミの
 【1】たとえば粗大(そだい)ゴミのゴミ捨て(す )場へ行くと、まだまだ使えるものがいっぱい捨て(す )てある。それは環境(かんきょう)を汚染(おせん)するわけです。そんなことならばもうちょっと高くても品質(ひんしつ)のいいものを買って、おじいさんから孫まで生活の思い出の残るものをずっと伝えていけば家具なども捨て(す )なくていい。【2】そうすればゴミ捨て(す )場もそれだけよけいな負担(ふたん)を背負わ(せお )ずにすむわけです。けれども、日本人は使っては捨て(す )、使っては捨て(す )という生活に疑問(ぎもん)を持っていません。
 【3】何年も寸法(すんぽう)ひとつ狂わ(くる )ずに、引き出しも扉(とびら)もピッタリとしている家具への愛着は、毎日の暮らし(く  )、人生、自分の世界をつくっていたものへの愛でもあり、そういう年月に耐える(た  )ものをつくった人の腕前(うでまえ)に対する尊敬(そんけい)でもあるわけです。
 【4】たとえば何代も読みつがれる名作といわれる文学作品は、アブクのように消えるいわゆる「よみもの」よりも多くの人に長く愛され、尊敬(そんけい)されているでしょう。いつまでも本棚(ほんだな)に置いておきたいと思うでしょう。【5】そこから得たものは、それぞれの人格(じんかく)の中に深くはいりこんで、読者の人間を豊か(ゆた )にしたでしょう。すぐに忘れ去る(わす さ )一過(いっか)性(せい)のよみものとは、違う(ちが )ものだと思います。それはモノに対しても同じであるはずなんです。
 【6】では、ほんとうの豊か(ゆた )さ、なんとなく豊か(ゆた )な気持ちで毎日が送れる時とはどういうときかと考えてみますと、『パパラギ』という本をお読みになった方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、南のある島の酋長(しゅうちょう)が書いた本です。【7】その中でこういうことを言っている。人間というのは頭だけで生きているのではない。足だけで生きているのでもないし、手だけで生きているわけでもない。心もあるし、身体もあるし、頭もある。【8】頭も手も心で感じることも、目も耳も全部が同時に満足することが必要だ、ひとつに統一(とういつ)された満足感が必要だ。そういう生活が人間として幸せで豊か(ゆた )な生活なんだと言っている。
 頭だけあるいは手だけを酷使(こくし)して、ほかのところを顧み(かえり )ないと、人間は必ず病気になり、健康な心と身体を失う、と言っています。【9】つまり人間は、全体で生きていて、全体を働かせ、全体を楽しませ、全体がひとつとなって幸せになることが豊か(ゆた )なのだと言っているのです。一部分だけが満足している状態(じょうたい)は、病気だと言っているのです。【0】
 同じことは教育の中にもあります。教育は全人格(じんかく)的発展(はってん)、人間としての成長を促す(うなが )ものですが、現在(げんざい)、日本の教育は偏差(へんさ)値(ち)の点をとる教育になっています。だから学校は楽しくない。人間の子として楽しくないのです。
 また、日本は労働時間が非常(ひじょう)に長いです。残業をすれば残業手当てももらえます。お金だけ、あるいは企業(きぎょう)の中で出世することだけを考えれば、頭と職業(しょくぎょう)に必要な手、目だけを働かせて「職業(しょくぎょう)バカ」になることもできる。それが日本ではたいへんいいことだと考えられている。あの人は会社のために妻(つま)も子も忘れ(わす )、一身を捧げ(ささ )て、ただただ会社のために尽くし(つ  )てきた。企業(きぎょう)にとってはいい社員であるのですが、そういうのは豊か(ゆた )ではないと『パパラギ』は言っている。
 つまり、会社人間は、ある専門(せんもん)的なことについてはベテランになっていくし、お金も儲ける(もう  )かもしれません。しかし、もしその人が学校を出てからまともな本を一冊(さつ)も読んでいない。自分の仕事にかかわるものは読んでいるかもしれないが、人間の土台になる教養というものは、何も身につけていない。会社で働くだけで、それこそ図書館にも行かないし、山登りもしないし、音楽会にも行かないし、地域(ちいき)社会のために何かをするということもしない。ただ会社で働くだけ。だとしたら、まったく豊か(ゆた )ではありません。それは人間としての生活ではないからです。

(暉峻(てるおか)淑子(いつこ)『ほんとうの豊か(ゆた )さとは』「岩波ブックレット」より、一部改変)

問1:  ~字
文字数(もじすう):0字



問2:  ~字
文字数:0字



問3:  ~字
文字数:0字



問4:  ~字
文字数:0字