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記述の森の記述検定
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 記述の森の記述検定  編集
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題名:★(感)ぼくの身体で
 【1】ぼくの身体でぼくがじかに見たり触れ(ふ )たりして確認できるのは、つねにその断片でしかないとすると、このぼくの身体って離れ(はな )て見ればこんなふうに見えるんだろうな……という想像のなかでしか、ぼくの身体はその全体像をあらわさないと言っていいはずだ。【2】つまり、ぼくの身体とはぼくが想像するもの、つまり「像」でしかありえないことになる。言いかえると、見るにしろ、触れる(ふ  )にしろ、ぼくらはじぶんの身体に関してはつねに部分的な経験しか可能ではないので、【3】そういうばらばらの身体知覚は、ある一つの想像的な「身体像」を繋ぎ(つな )目としてたがいにパッチワークのように繋が(つな )れることではじめて、あるまとまった身体として了解(りょうかい)されるのだということだ。ぼくらが着る最初の服は、この意味で、「像」としてのからだの全体像なのだ。【4】そして、身体はその意味で想像の産物、解釈(かいしゃく)の産物でしかないからこそ、もろいもの、こわれやすいものなのだ。
 だから、他人に怪訝(けげん)そうな表情で全身嘗める(な  )ように見回されるだけで、じぶんの抱い(いだ )ている身体像はとたんに揺らい(ゆ  )でしまう。【5】あるいは、異性の服装をするよう強制されるだけで、たちまちそういう自己解釈(かいしゃく)によって成り立っているじぶんの同一性は危うくなる。
 そこでひとは、こうした「像」としての身体のもろさを補強するために、いろんな手段を編みだすことになる。【6】つまり、「わたし」というものの存在の輪郭(りんかく)を補強することで、じぶんのもろい存在が醸す(かも )不安をしずめようとする。そのために、たとえば皮膚(ひふ)感覚を活性化することで、見えない身体の輪郭(りんかく)を浮き彫り(う ぼ )にしようとする。【7】熱い湯に浸かっ(つ  )たり、冷水のシャワーを浴びたり、日光浴したり、スポーツで汗(あせ)をかいたりする。あるいは、他人と身体を接触(せっしょく)させたりする、あぐらを組む父親のふところに入る、異性と身体をふれあう……。
 【8】なぜこういう行為(こうい)が心地よいかというと、たとえばお風呂(ふろ)に入ったりシャワーを浴びたりすると、湯や水と皮膚(ひふ)との温度差によって皮膚(ひふ)が刺激(しげき)され、皮膚(ひふ)感覚が覚醒(かくせい)させられる。ふだん見えない背中や太股(ふともも)の裏の存在が、その表面のところでくっきり浮かび上がっ(う  あ  )てくる。【9】視覚的には直接感覚することのできない身体の輪郭(りんかく)が、皮膚(ひふ)感覚というかたちでくっきりしてくるのだ。お父さんの膝(ひざ)のあいだに座ってもたれたときに背中で感じる温かい壁(かべ)のような感触(かんしょく)にひたって安心するというのも、心理的以外にこういう理由もあるのだろう。【0】激しい運動をして筋肉がこったり、汗(あせ)をかいて肌(はだ)がひんやりするのも、他人の手で身体をなでられるのも、お酒を呑む(の )と血が皮膚(ひふ)の裏側ぎりぎりのところにまで押し寄せ(お よ )てくるような感覚があるのも、みな、身体のおぼろげなイメージ、たよりないイメージを補強する効果をもっているのだろう。それらがひとの存在に確かな囲いを与え(あた )てくれるのだ。
 服についても同じことが言える。服を着ると、身体を動かすたびに皮膚(ひふ)が布地に擦れる(す  )。身体の動きとともに、身体表面のそこかしこで身体と衣料との接触(せっしょく)が起こるのだ。その接触(せっしょく)感が、ふだんはじかには見えない身体のあやふやな輪郭(りんかく)を、くっきりと浮き立た(う た )せてくれるのだ。こういう感覚が、存在のベーシック・トーンとでもいうべきものとなって、ぼくらの気分をあるていど安定させているのだろう。
 ところで、「わたし」の輪郭(りんかく)を補強するには、皮膚(ひふ)感覚を使うこのようなフィジカルな方法のほかに、もう一つ別の方法がある。これまで、ぼくらの身体というものはイメージとしてしかとらえられないもの、つまり想像や解釈(かいしゃく)の対象でしかありえないということをみてきたのだけれど、そういうイメージとしてのじぶんの存在を、社会的な「意味」で何重にも包装し、強化していく方法だ。身体の表面にさまざまの意味を発生させ、増殖(ぞうしょく)させることで、じぶんがだれかという、そういう意味づけをもっと細かく、そしてもっと多様なしかたで与え(あた )ていくということ、要するに、じぶんの性別、あるいは性格、職業、ライフスタイルなどを、眼に見えるかたちで表現していくというやりかただ。

(鷲田(わしだ)清一の文による。一部改変)

問1:  ~字
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問2:  ~字
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問3:  ~字
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問4:  ~字
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