未ログイン ログイン
記述の森の記述検定
★10月の問題だけができるようになっています。
 読む力、書く力、考える力を育てる
 記述の森の記述検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※解答欄への入力は、音声でもテキストでもどちらでもできます。

題名:○メダカは長さが
 【1】メダカは長さが三、四センチしかない小さな魚で、私(わたし)たちが子どものころはほんとうにどこにでもいました。あまりにありふれていたので、フナやコイなどとくらべると、子どもにとってあまり魅力(みりょく)のない、雑魚(ざこ)の代表のような魚でした。
 【2】ところが、このメダカがなんと「絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)種(しゅ)」として絶滅(ぜつめつ)を心配されているというニュースが流れたのです。一九九九年のことです。(中略(ちゅうりゃく))その背景(はいけい)にはつぎのようなことがありました。
 【3】かつて田んぼは用水路で水を引いていました。その用水路は田んぼとほぼ同じ高さにあり、微妙(びみょう)な高さの違い(ちが )を利用(りよう)して水の入り口と出口がつくられていました。ひとつの田んぼから出た水がとなりの田んぼに入る、という構造(こうぞう)になっているものもありました。【4】そのような用水路は地形に応じ(おう )て曲がっており、深さも一定でないので、水の流れにも微妙(びみょう)に違い(ちが )があり、それに応じ(おう )て違う(ちが )植物が生えていました。昔の子どもが夢中(むちゅう)で魚とりをしたのは、このような用水路でした。【5】秋になって田んぼから水が抜か(ぬ )れても用水路には水が残っ(のこ )ており、くぼみが「魚だまり」となって魚が生きていたのです。
 ところが、一九六〇年代からはじまった農業基本(きほん)整備(せいび)事業によって、自然(しぜん)の地形に応じ(おう )てつくられていた田んぼに大きな変化(へんか)が生じました。【6】かつて人力で営々(えいえい)と築か(きず )れてきた田んぼは、大規模(きぼ)な土木工事によって完全(かんぜん)につくりかえられてしまったのです。田んぼの水が管理(かんり)しやすいように、用水路はU字管(かん)というコンクリートの管(かん)にされました。断面(だんめん)の形がU字型(がた)なのでこう呼ば(よ )れます。【7】U字管(かん)の機能(きのう)は水田に水を運ぶことですから、それ以外(いがい)のものは必要(ひつよう)ありません。その結果(けっか)、水を流すときは洪水(こうずい)のように大量(たいりょう)の水が勢い(いきお )よく流れます。
 魚が隠れる(かく  )ところもなければ、カエルが卵(たまご)を産む(う )ところもありません。【8】用水路は田んぼから効率(こうりつ)的(てき)に排水(はいすい)するために、水田との高さの差(さ)が大きくなるようにつくられました。このため、水を抜く(ぬ )と田んぼは完全(かんぜん)に干上がり(ひあ  )ます。U字管(かん)には魚だまりはありませんから、土の中にもぐって生きるドジョウや小さなメダカも生き延びる(い の  )ことはできません。【9】その結果(けっか)、夏の「洪水(こうずい)」と冬の「砂漠(さばく)」がくりかえされることになります。これでは生きていける動物はいません。
 ところが、小動物に対する仕打ちはこれにとどまりませんでした。ちまちました小さな田んぼは農作業の効率(こうりつ)が悪いことは確か(たし )です。【0】そこで、「暗渠排水(あんきょはいすい)」といって、田んぼの地中に管(くだ)を埋め(う )、水を集めて排水(はいすい)することがすすめられたのです。こうすれば水路に使った土地も使えるし、細かなデコボコをなくすことができると考えたのです。こうなると動物には生活する場所がまったくなくなってしまいます。
 こうして、メダカに代表される無数(むすう)の小さな生きものたちは、田んぼから姿(すがた)を消していったのです。
 日本の農業は稲作(いなさく)が中心ですが、それは米を巨大(きょだい)なポットのようなところで効率(こうりつ)的(てき)につくることだけではありませんでした。毎日の営み(いとな )の中で米づくりを中心におきながらも、家畜(かちく)を飼い(か )、裏山(うらやま)から肥料(ひりょう)となる枯れ葉(か は)を集め、ときどきドジョウやフナをとるなど、じつにさまざまな営み(いとな )の中でおこなわれたものでした。また、田植えのときには若い(わか )女性(じょせい)が晴れ着を着て早苗(さなえ)を植え、近所の人が助けあって田植えや稲刈り(いねか )をするという社会の営み(いとな )でもありました。そして先祖(せんぞ)から引き継い(ひ つ )だ土地に祈り(いの )をささげ、収穫(しゅうかく)物に感謝(かんしゃ)をささげるという心に支え(ささ )られたものだったはずです。それは工場で米という名の製品(せいひん)をつくるのとはほど遠い営み(いとな )でした。
 しかし、この土木工事はそのようなことをすべて無視(むし)したものでした。そのことの意味の深さを私(わたし)たちは考えつづけなければならないと思います。

((高槻(たかつき)成紀(せいき)『野生動物と共存(きょうぞん)できるか−保全(ほぜん)生態学(せいたいがく)入門−』)

問1:  ~字
文字数(もじすう):0字



問2:  ~字
文字数:0字



問3:  ~字
文字数:0字



問4:  ~字
文字数:0字