未ログイン ログイン
記述の森の記述検定
★10月の問題だけができるようになっています。
 読む力、書く力、考える力を育てる
 記述の森の記述検定  編集
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※解答欄への入力は、音声でもテキストでもどちらでもできます。

題名:○一九六〇年代はじめ
 【1】一九六〇年代はじめ、アフリカの山野に分け入って、チンパンジーの行動を研究していた一研究者のある報告(ほうこく)は、当時大きな話題となった。その報告(ほうこく)によると、チンパンジーが道具を使ったというのである。【2】道具の使用は、人間に特有(とくゆう)のことで、人間と他の動物を区別(くべつ)する重要(じゅうよう)な特徴(とくちょう)のひとつとされていただけに、この発見は、各(かく)方面に大きな影響(えいきょう)を与え(あた )たのだった。【3】ある人は、これは人間と動物の間隙(かんげき)をうめる重要(じゅうよう)な発見だとして高く評価(ひょうか)し、ある人は、チンパンジーのその道具は、あまりにも原初(げんしょ)的(てき)で、それを道具と言うこと自体に問題がある、とした。
 【4】アフリカの野生チンパンジーが用いたという道具とは、一本の細い草の茎(くき)である。この茎(くき)をチンパンジーは、シロアリを「釣る(つ )」のに用いたのである。チンパンジーは、シロアリの塚(つか)のそばにしゃがむと、草の茎(くき)を塚(つか)の穴(あな)の中に深くさしこむ。【5】そして、ちょっと間をおいてそれを引き出す。すると、その茎(くき)には、何匹(なんびき)かのシロアリがくいついてくっついてくる。シロアリは、巣(す)に侵入(しんにゅう)した敵(てき)に、攻撃(こうげき)のくらいつきを行なったのであろうが、それがあだになって、まんまと外に引き出されてしまうというわけだ。
 【6】チンパンジーは、この草の茎(くき)にくっついてきたシロアリを、口でしごくようにして食べるのである。食べ終わると、チンパンジーは、また草の茎(くき)を穴(あな)にさしこんで、シロアリを釣る(つ )。こうしてチンパンジーは、しばらくの間アリを釣っ(つ )ては食べる、ということをくり返す。
 【7】注目すべきことは、チンパンジーは、道具というものが何であるかを知っているかも知れない、ということである。自分が何をどうする目的(もくてき)で、草の茎(くき)を手足の延長(えんちょう)、あるいは補助(ほじょ)器官(きかん)として使っているのかを見通しているらしい。
 【8】というのは、チンパンジーは、偶然(ぐうぜん)そばにあった茎(くき)をひろって使うのでなく、すこしはなれたところから草を手に入れ、それをシロアリ塚(つか)までもちはこぶからである。その上、チンパンジーは、草の茎(くき)についている葉や枝分かれ(えだわ  )した茎(くき)など、余分(よぶん)と思われるものを取り去って草を「加工(かこう)」しさえするのである。
 【9】シロアリ釣り(づ )は、見よう見まねで他のチンパンジーにも広がる。子どものチンパンジーは、母親のそばでそのシロアリ釣り(づ )を見て、自分でもあれこれためす。そして、そのこつを取得(しゅとく)していくという。これをもってして、チンパンジーには、シロアリ釣り(づ )の文化がある、と言う人もいる。
 【0】チンパンジーは、水を飲むときにも、道具を使うことがある。チンパンジーは木のまたなどにたまった水などを飲むときに、木の葉をかんでやわらかくし、それを水にひたして水に含ま(ふく )せ、口に運んで水を吸っ(す )て飲むという。かみくだいた木の葉を、いわばスポンジ代わりに使うのである。
 チンパンジーの道具で、最も(もっと )道具らしい道具は、木の実を割る(わ )ための石の道具であろう。これは、比較的(ひかくてき)最近(さいきん)になってわかってきたことであるが、チンパンジーはアブラヤシなどの実を食べるときに、それを石の上において、もうひとつの石でたたいて割る(わ )。このとき、台石となるのは、その目的(もくてき)にかなった、上面が比較的(ひかくてき)平たい石である。打ちつける石も、木の実がはじけ飛ば(と )ないよう、平たい面があるものが使われる傾向(けいこう)があるらしい。
 研究者は、すでにかなりの回数「愛用(あいよう)」されてきたと思われる台石も発見している。それらの石は、平たい面の一部がくぼんでいて、そこに何度も木の実がすえおかれただろうことをものがたっていた。チンパンジーは、この道具についても、その目的(もくてき)を見通しているかのようである。ここから人間の祖先(そせん)が用いた石器(せっき)までは、どれほどの道のりがあったのだろうか。
 チンパンジーの道具使用が、チンパンジーの食事事情(じじょう)に貢献(こうけん)していることは、疑問(ぎもん)の余地(よち)がないと思われる。チンパンジーは、それなしで不可能(ふかのう)なシロアリを手に入れ、木の実を餌(えさ)資源(しげん)として利用(りよう)することができるからだ。これが可能(かのう)なのは、チンパンジーが人間にもっとも近い動物で、したがって、人間を除く(のぞ )動物の中で、もっともかしこいからにほかならない。道具の使用には、それだけの知能(ちのう)が要求(ようきゅう)されるからである。

(小原(おばら)嘉明(よしあき)『道具を使う動物たち』<PHP研究所>より)

問1:  ~字
文字数(もじすう):0字



問2:  ~字
文字数:0字



問3:  ~字
文字数:0字



問4:  ~字
文字数:0字