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記述の森の記述検定
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 記述の森の記述検定  編集
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題名:★現代の「南」の人びとの(感)
 【1】現代の「南」の人びとの大部分が貧困であることは事実だ。けれどもそれは、GNPが低いから貧困であるのではない。GNPを必要とするシステムの内に投げ込ま(な こ )れてしまった上で、GNPが低いから貧困なのである。
 【2】自分たちの生きるために必要なものを自分たちの手で作るということを禁止されたあのドミニカの農民たちは、こういう「南」の人たちすべての「貧困」の構造の赤裸々(せきらら)に短縮された典型であるにすぎない。【3】「南の貧困」をめぐる思考は、この第一次の引き離し(ひ はな )、GNPへの疎外(そがい)、原的な剥奪(はくだつ)をまず視界に照準しなければならない。
 一九八八年のアメリカには、約三一〇〇万人の人びとが貧困ライン以下の生活をしていたという。この「貧困ライン」とは、四人世帯で年収一万二〇〇〇ドル強にみたない生活であるという。【4】この線は、「南の貧困」を論じる時に世界銀行等が用いる、一人あたり年間三七〇ドルという線とは、ずいぶん開きがあるようにみえる。この「ダブル・スタンダード」は、「豊かな国」のぜいたくと偏見(へんけん)にみちた基準と考えることができるだろうか?
 【5】ある部分までは、そういう「ぜいたくと偏見(へんけん)」が存在すると考えていいかもしれない。けれどもたとえば、アメリカ国勢調査局の記述によると、一九七二年には「少なくとも一〇〇〇万から一二〇〇万のアメリカ国民が、あまりにもわずかしか食費にまわせないために、空腹に苦しんでいるか、あるいは病気にかかっている。」
 【6】これは収入の数字ではなく、実際に食物が手に入らないという数字である。巴馬瑶族(ばまやおぞく)の村人は四八〇〇円の年収で豊かに生きることができるが、ニューヨークや東京の住民はその一〇倍でも、ほとんど生きていくことができない。これは単なるぜいたくや偏見(へんけん)の問題ではない。
 【7】アジアやアフリカの多くの村々でテレビのないことは少しも貧困ではないが、東京やパリやニューヨークでテレビのないことは貧困である。ロスアンジェルスで自動車のないことは、「ノーマルな市民」としての生活がほとんど出来ないということである。
 【8】この新しい貧困の形を説明しようとする理論が一般(いっぱん)に用いる用語法は、「絶対的貧困」と「相対的貧困」というコンセプトである。「南」の貧困は絶対的な貧困であるが、「豊かな社会」の内部にも相対的な貧困がある、というわけである。「相対的」という言い方は、「豊かな社会」の内部の貧困を的確に把握(はあく)する仕方だろうか?
 【9】すでに見たように、東京やニューヨークでは、巴馬瑶族(ばまやおぞく)の一〇倍の所得があってもじっさいに「生きていけない」。これは隣人(りんじん)との比較(ひかく)や不平等一般(いっぱん)の問題ではなく、絶対的な必要を充足(じゅうそく)することが出来ないということである。【0】
 電話がなくても人間は生きることができるが、一九九〇年代の東京で電話がないという家族は、義務教育の公立学校の「連絡(れんらく)網(もう)」からも脱落(だつらく)する(「特別な処置」ではじめて「救済」される)存在である。つまりその生きている社会の中で「ふつうに生きる」ことが出来ない。
 これらは「羨望(せんぼう)」とか「顕示(けんじ)」といった心理的な問題ではなく、この社会のシステムによって強いられる客観性であり、構造の定義する「必要」の新しい地平の絶対性である。
 「貧困」のコンセプトは二重の剥奪(はくだつ)であるということを、「南の貧困」に即し(そく )て見てきた。貨幣(かへい)からの疎外(そがい)という目に見える規定の以前に、貨幣(かへい)への疎外(そがい)という目に見えない規定があると。このコンセプトは、形態をまったく異にするようにみえる「北の貧困」にもそのまま当てはまる。第一次的な剥奪(はくだつ)の巨大(きょだい)であることに応じて、「必要」のラインを定義する貨幣(かへい)の数量も巨大(きょだい)なものとなる。第一次的な剥奪(はくだつ)の重層的であることに応じて、「必要」であることの根拠(こんきょ)も重層的となっている。
 現代の情報消費社会のシステムは、ますます高度の商品化された物資とサービスに依存(いぞん)することを、この社会の「正常な」成員の条件として強いることをとおして、原的な必要の幾重にも(いくえ  )間接化された充足(じゅうそく)の様式の上に、「必要」の常に新しく更新(こうしん)されてゆく水準を設定してしまう。新しいしかし同様に切実な貧困の形を生成する。

 (見田宗介(そうすけ)「現代社会の理論」による)

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問3:  ~字
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問4:  ~字
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