未ログイン ログイン
音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
【1】「これってどういうこと? 教えてよ。」
 私(わたし)の家では、家族どうしの会話がとても多い。テレビや新聞を見ていて、気になることがあると、みんな遠慮なく(えんりょ  )口に出す。名前の分からない芸能人がいれば父は私(わたし)に聞いてくるし、可愛い動物が映れ(うつ )ば母は大喜びでみんなを呼ぶ(よ )。【2】中学生の兄はすぐに、聞いてもいないうんちくを言いたがる。
 そういう私(わたし)も、自分が好きな本や映画(えいが)の話になると、「これはこういうあらすじで、こんな登場人物がいてね……」と解説を始めてしまうのだから、始末に終えない。
 【3】ああでもないこうでもないと話しているうちに、気がついたら番組そのものが終わっていた、ということも少なくない。自分の考えをしゃべって、家族の意見を聞いて、納得(なっとく)することが楽しいのだ。
 ある日、私(わたし)が帰宅(きたく)すると、父と兄が何事か言い合う声が聞こえてきた。【4】ふだんのんびりして頼り(たよ )なさそうな父と、ダジャレばかり言っている兄。そんな二人がこんなに熱くなるのは珍しい(めずら  )ことだ。
 まさか喧嘩(けんか)かと私(わたし)は身を固くしたが、よくよく聞いてみると、どうやら二人とも同じことについて怒っ(おこ )ていて、その不満を述べ合っているらしい。【5】私(わたし)はひとまず安心して、何があったのかと聞いてみた。
 すると兄は「はやぶさ」のことだと教えてくれた。小惑星(しょうわくせい)探査(たんさ)機「はやぶさ」が、長い宇宙(うちゅう)の旅を終えて地球に帰ってくる。それも、さまざまなトラブルを乗り越え(の こ )て、奇跡(きせき)的に。【6】私(わたし)はそんなものが存在(そんざい)していたことすら知らなかった。
 父と兄は、その世紀の瞬間(しゅんかん)がテレビ中継(ちゅうけい)されないことに憤慨(ふんがい)していたようだ。とはいえ、今はちょうどサッカーのワールドカップが始まったところだ。四年に一度のイベントを優先(ゆうせん)する方が当たり前ではないかと、私(わたし)には思えた。
 【7】私(わたし)がそう言うと、兄はいっそう大きな声で、私(わたし)に「はやぶさ」の魅力(みりょく)を語った。その任務が世界初の試みであること、事故でボロボロになったにも関わらず必死に帰ってこようとしていること、中でも一番驚い(おどろ )たのは、その放浪(ほうろう)の旅が七年にも及ん(およ )でいるということだった。四年に一度どころではない。
 【8】兄たちはこれから、わざわざジャクサのホームページに接続して、動画で帰還(きかん)を見届ける(みとど  )のだという。せっかくだからと私(わたし)も一緒(いっしょ)に見ることにした。その映像(えいぞう)はお世辞にも鮮明(せんめい)とは言えなかったが、燃え尽き(も つ )ていく「はやぶさ」の姿(すがた)は、まるで大きな流れ星のようだった。【9】そして私(わたし)は翌日(よくじつ)、その美しさについて、見ていなかった母に熱く語って聞かせることになったのである。
 人間は誰(だれ)かと対話をすることで、新しいことを知り、自分の世界を広げることができる。そうした対話を欠かさないことは、私(わたし)の家族の長所と言っていいと思う。【0】じっくり話してみることで、身近な人の更(さら)なる長所を見つけることもできる。私(わたし)は、これからも家族の対話を大切にしていきたい。

(言葉の森長文作成委員会 ι)
 【1】昆虫(こんちゅう)の幼虫(ようちゅう)が育つ日数(幼虫(ようちゅう)期間)は、哺乳類(ほにゅうるい)などにくらべて短いものが多い。夏のイエバエはたった一週間で幼虫(ようちゅう)が発育をとげて蛹(さなぎ)になり、四日たつと蛹(さなぎ)から成虫に羽化するというスピードぶりである。【2】一方、カワゲラ類の三年.ムカシトンボの五年、アブラゼミやミンミンゼミの六年などのように、犬や猫(ねこ)より長くかかって親になる昆虫(こんちゅう)もいる。
 しかし、上には上があるもので、五〇年もかかって育つ昆虫(こんちゅう)がいる。アメリカ西部にすむアメリカアカヘリタマムシがその記録保持者である。【3】日本のタマムシはその美しさゆえに、法隆寺(ほうりゅうじ)の国宝(こくほう)・玉虫厨子(たまむしのずし)に翅(はね)が使われているが、アメリカアカヘリタマムシも美麗(びれい)さにかけてはひけをとらない甲虫(こうちゅう)で、金緑色の翅鞘(ししょう)が赤くふちどられている。
 【4】このタマムシは樹勢(じゅせい)のおとろえたアメリカマツを選んで産卵(さんらん)し、幼虫(ようちゅう)は木の内部を食べて二、四年後に蛹(さなぎ)になり、羽化した成虫は、ひと冬木の中ですごしてから脱出(だっしゅつ)する。ここまでなら、成育日数が多少長くかかる昆虫(こんちゅう)にはよくある話で、それほど珍しい(めずら  )ことではない。
 【5】ところが、幼虫(ようちゅう)が小さいうちに林のマツが伐採(ばっさい)されて建材になると、発育の間のび現象がおこる。建築後数十年たった家屋の柱、床板(とこいた)、窓(まど)枠(わく)、あるいは長年使ってきた食器戸棚(とだな)などから、ひょっこり成虫が現れてくる。【6】それもアメリカだけでなく、この虫が分布していないはずのヨーロッパやグアム島などで国内羽化が記録されている。それは、幼虫(ようちゅう)のひそんでいたマツの木材がアメリカから輸入されて使われたためである。
 【7】この虫は伐採(ばっさい)したマツ材にはけっして産卵(さんらん)しないから、伐採(ばっさい)後何年目に成虫が出現したかでおおよその成長記録が推定(すいてい)できる。最高記録の五一年は幼虫(ようちゅう)として発見されたものなので、半世紀以上かかって育ったことになる。
 【8】幼虫(ようちゅう)期間がふつうの一〇倍以上もかかる理由は、木材が乾燥(かんそう)して水分が不足したための発育遅延(ちえん)と説明されている。乾燥(かんそう)により命がのびたという見方もできる。乾燥(かんそう)という厳しい(きび  )逆境で、体がひからびて死ぬこともなく、しぶとく育つこの虫の生命力には驚嘆(きょうたん)させられる。
 【9】極限の乾燥(かんそう)にさらされながら何年も生きぬく、もう一つのすごい虫にアフリカのユスリカがある。ユスリカの幼虫(ようちゅう)(アカボウフラ)は水生で、水がないと発育できないだけでなく、水がなくなれば死がおとずれる。【0】しかし、ナイジェリアの砂漠(さばく)にすむポリペディウムというユスリカの幼虫(ようちゅう)は例外である。日照りがつづいて水が干あがる(ひ   )と、土の中でミイラのように縮ん(ちぢ )だ姿(すがた)になり、雨が降る(ふ )のを何ヵ月(かげつ)も待つ。じっとがまんの日がつづいたあと、旱天(かんてん)の慈雨(じう)に恵まれる(めぐ   )とよみがえって本来の姿(すがた)にもどり、発育を再開する。実験室で数年間乾燥(かんそう)させて貯蔵(ちょぞう)した幼虫(ようちゅう)を水にいれたところ、すぐよみがえって活動をはじめたという報告もある。乾燥(かんそう)で命がのびたような気さえする。
 この虫は乾燥(かんそう)に強いだけでなく、短時間なら、摂氏(せっし)一〇二度からマイナス二七〇度の高低温にも耐える(た  )という。
 
(安富和男の文章から)