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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
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 【1】先日、日本産トキの絶滅(ぜつめつ)が確実になったと報じられた。種の存続(そんぞく)のためにさまざまな努力がはらわれ、中国産のトキを借り受けてペアリングも試みられたが、失敗に終わった。関係者の落胆(らくたん)は大きかったにちがいない。
 【2】トキのように絶滅(ぜつめつ)寸前(すんぜん)にまで追いこまれた動物や、その数を激減(げきげん)させている植物を救おうと努力する姿(すがた)は、「人間の良識」と評される。その通りと思う半面、偽善(ぎぜん)ではとのむなしい思いが残る。第二第三のトキを生む自然破壊(はかい)が、日本全国で進んでいるからである。
 【3】一九八九年に環境庁(かんきょうちょう)が発行したレッドデータブックには、緊急(きんきゅう)に保護を要する動物だけでも約三万七千種近くが記載(きさい)されている。イリオモテヤマネコなど、絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)にひんしている動物も多い。
 身近な動物の中にも、姿(すがた)を見ることがまれになったものが少なくない。【4】日本在来のメダカは外来種に追われて、東京の河川ではめったに見られない。ミヤコタナゴも少なくなった。ゲンゴロウやタガメなどの水生昆虫(こんちゅう)も激減(げきげん)した。人間の良識とは、その数が激減(げきげん)している動植物に対し、早急に保護の手を差し延べる(さ の  )ことである。【5】絶滅(ぜつめつ)が確実視(かくじつし)されるまで放置したあとで、救済(きゅうさい)努力を傾注(けいちゅう)するということには、大きな矛盾(むじゅん)を感じる。
 自然保護の先進国アメリカでは、一八七二年、世界に先がけてイエローストーン国立公園を設置した。日本では自然保護など話題にもならないころのことである。【6】一九一六年には国立公園局が設置され、自然景観や動植物の保護に全国的な制度が確立、機能的に運営されて今日に至っ(いた )ている。
 他方日本では、一九三一年に国立公園法が制定され、一九五七年に自然公園法に代わった。【7】自然保護の基本的考え方は先進国のそれを踏襲(とうしゅう)したが、戦争をはさみ、戦後は自然保護と経済(けいざい)発展(はってん)のはざまでゆれ動き、必ずしもその機能を果たしていないのが実情である。
 アメリカの徹底(てってい)した自然保護を日本のそれと比較(ひかく)して、そのちがいをなげいていた筆者だが、最近うれしい体験をした。【8】わが家の子供(こども)たちが一年以上も飼育をつづけているカマキリの話題である。
 親は秋に産卵(さんらん)を終えて死んだが、その卵(たまご)が六月に飼育箱の中で孵化(ふか)した。先日渡米(とべい)の折、ロサンゼルスの友人たちにこのカマキリの話をした。【9】ところが、かれらの話では、ロサンゼルスではカマキリの捕獲(ほかく)が禁止されているそうだ。数が激減(げきげん)しているのがその理由だった。
 東京に比べれば、はるかに土地は広く緑も多い。郊外(こうがい)にはコヨーテまで出没(しゅつぼつ)し、飼いねこが犠牲(ぎせい)になるほど自然にめぐまれた都市である。【0】そこで子供(こども)たちがカマキリをとらえて飼育観察できないとはさびしい限りだ。
 ロスより自然環境(かんきょう)は悪い東京だが、都心でも植えこみや生けがきに毎年カマキリの卵(たまご)が見られ、六、七月にはあみ戸に張り付く子カマキリの姿(すがた)が多い。子供(こども)たちの通常の捕獲(ほかく)ぐらいでは、減りそうにない数である。アメリカが自然保護で先進国となった一因として、他国より早く自然を破壊(はかい)したことも考えられる。今日でもカマキリを自由にとらえて、飼育観察できる東京に、ささやかな幸せを感じた経験だった。
 
 ペアリング…おすとめすの一組にすること。
 レッドデータブック…絶滅(ぜつめつ)のおそれのある野生生物の現状を記録した資料集。
 傾注(けいちゅう)する…精神や力を一つの事に集中する。
 踏襲(とうしゅう)する…前人のやり方などをそのまま受けつぐ。