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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
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 【1】まさかソフィーは、世界をわかりきったものだと思っている人の仲間ではないよね? これはわたしにとって切実な問題なのです、親愛なるソフィー。だから念のため、想像のなかで二つ、体験をしてみましょう。
 【2】さあ、想像してみて。ソフィーは森を散歩しています。突然(とつぜん)、行く手に小さな宇宙船(うちゅうせん)を見つけます。宇宙船(うちゅうせん)の上には一人の小さな火星人がよじ登ってソフィーをじっと見おろしている……。
 さあ、そんな時、ソフィーなら何を考えるだろう? 【3】まあ、それはどうでもいいとして。でも、自分を異(い)星人みたいに感じたことはない?
 ほかの惑星(わくせい)の生物にでくわすなんて、そんなにありそうなことではない。ほかの惑星(わくせい)に生命が存在(そんざい)するかどうかもわからないし。【4】けれども、ソフィーがソフィー自身にでくわす、ということはあるかもしれない。ある晴れた日、ソフィーがソフィー自身をまったく新しく体験してはっとする、ということは。ちょうど森を散歩している時なんかにね。
 【5】わたしっておかしなもの、とソフィーは考える。わたしはなぞめいた生き物、と……。
 ソフィーはまるで何年もつづいたいばら姫(ひめ)の眠り(ねむ )から目覚めたように感じる。わたしはだれ? ソフィーはたずねる。ソフィーは自分が宇宙(うちゅう)のある惑星(わくせい)の上をごそごそ動きまわっているということは知っている。【6】でも宇宙(うちゅう)とはなんだろう? なんであるのだろう? 
 もしもソフィーがこんな自分に気がついたなら、ソフィーは自分自身をさっきの火星人と同じくらいなぞめいたものとして発見したことになるのです。いえ、宇宙(うちゅう)からやってきたものを見てびっくりするほうが、まだましなくらいだ。【7】ソフィーはソフィー自身をとびきりおかしなものとして、とっくりと深く感じるのです。
 わたしの話についてきている? ソフィー。もう一つ想像の体験をしますよ。
 ある朝、パパとママと小さなトーマスが、そう、二つか三つの男の子です、キッチンで朝食を食べている。【8】ママが立ちあがり、流し台のほうに行く、するとそう、突然(とつぜん)パパが天井(てんじょう)近くまでふわっと浮かび(う  )あがる。
 トーマスはなんて言ったと思う? たぶんパパを指さして、「パパが飛んでる!」と言うでしょう。
 もちろんトーマスはびっくりだけど、どうせトーマスはいつもびっくりしています。【9】パパはいろいろおかしなことをするから、ちょっとばかり朝食のテーブルの上を飛ぶなんて、トーマスの目にはべつにたいしたことには映ら(うつ )ない。パパは毎日へんてこな機械でひげをそるし、しょっちゅう屋根に登って、テレビのアンテナをあちこちひん曲げる。【0】かと思うと、自動車に首をつっこんで、カラスみたいにまっ黒になって出てくる。
 さて、こんどはママの番です。ママはトーマスの声に、何気なくふり返る。ソフィーは、キッチンのテーブルの上を飛びまわるパパを見て、ママがどう反応すると思う?
 ママの手からジャムのガラスビンが落ち、ママはびっくり仰天(ぎょうてん)してけたたましく叫び(さけ )ます。パパがいすに戻っ(もど )たあと、ひょっとしたらママは医者に診(み)てもらわなければならないかもしれない。(パパがテーブルマナーを守らなかったばっかりに、とんだ大騒ぎ(おおさわ )だ。)
 どうしてトーマスとママの反応はこんなにちがうのかな? ソフィーはどう思う?
 これは「習慣」の問題です。(このことば、メモして!)ママは人間は飛べないということをとっくに学んでいる。トーマスは学んでいない。トーマスはまだ、この世界では何がありで何がありではないか、よく知らない。
 でもソフィー、この世界そのものは、どうなっているんだったっけ? こんな世界はありかな? 世界もパパのように宇宙(うちゅう)空間にふわふわと漂っ(ただよ )ているんじゃなかったっけ……。
 悲しいことに、わたしたちはおとなになるにつれ、重力の法則になれっこになるだけではない。世界そのものになれっこになってしまうのです。
 わたしたちは子どものうちに、この世界に驚く(おどろ )能力を失ってしまうらしい。それによって、わたしたちは大切な何かを失う。