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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
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3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
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 【1】僕(ぼく)の名前は、太一である。気取った感じがなく、適度に男らしい名前だとひそかに気に入っている。だが、どうしてこういう名前をつけられたのか、くわしいところは自分でも知らなかった。ただ、漢字が簡単(かんたん)なので書きやすくていいな、と思っていたくらいである。
 【2】ところで、人の名前を考えるというのは思った以上に頭を使う、大変な作業だ。実は僕(ぼく)も「名付け親」になった経験がある。弟が生まれた時、お兄ちゃんが名前を決めていいよ、と言われたのだ。この時の奇妙(きみょう)な緊張(きんちょう)感といったら今でも忘れる(わす  )ことができない。【3】両親に他意はなかったのだろうが、いきなり兄の重責(じゅうせき)を背負わ(せお )された思いがした。
 これが、犬や猫(ねこ)の名前ならばいい。欧米(おうべい)風の名前でも、愛称(あいしょう)のようなごく簡単(かんたん)な名前でも問題はないだろう。だが、生粋(きっすい)の日本人である弟に「アンソニー」だの「ロマーノ」だのと名付けるわけにはいかない。【4】「タマ」や「クロ」などは論外(ろんがい)である。「たまさぶろう」「くろすけ」としたらまだしも人間に近づくが、そんな時代劇(げき)のような名前では困る(こま )。
 すっかり行き詰まっ(い づ  )た僕(ぼく)は、父に相談することにした。母はまだ、生まれたての弟と一緒(いっしょ)に病院にいた。【5】父はそこまで悩む(なや )ことはないだろうと笑いながらも、ほかならぬ僕(ぼく)の名前をどうやってつけたかを話してくれた。そこで僕(ぼく)は初めて、自分の名前の由来について知ることになったのである。
 父は、「お前の誕生(たんじょう)日は、何月何日だ」と聞いた。【6】僕(ぼく)の誕生(たんじょう)日は一月一日、元日である。おめでたいことがいっぺんに来るように、産む時期を決めていたのだという話は前に聞いたことがあった。
「今ではあまり見ないけど、長男に太郎(たろう)とか一郎(ろう)という名前をつけるだろう。【7】お前はうちの長男で、しかも一年の最初の日に生まれたから、太郎(たろう)の太と一郎(いちろう)の一を合わせて『太一』にしたんだよ。」
 そう言って、父はどうだ、おめでたい名前だろう、と胸(むね)を張った。安直といえば安直だが、よく考えたものだと僕(ぼく)は感心した。【8】その話を聞き、僕(ぼく)もこの方式でいこう、と考えた。弟の誕生(たんじょう)日は十月一日だ。それならば……「十」と「一」を合体させた「士」という字を使おう。僕(ぼく)はさっそくそのアイデアを、電話で母に伝えた。
 弟の名前は「英士」に決まった。「えいじ」という読みも僕(ぼく)の考えだ。【9】響き(ひび )が格好いいし、「太一」と並べ(なら )た時の語呂(ごろ)も良い。漢字は、両親が字画を見て決めてくれた。
 今では英士も小学校一年生になっている。生意気を言うようになり、怒り(おこ )たくなることもあるが、兄としてきちんと面倒(めんどう)を見てやりたい。【0】長男を表す「太一」という自分の名前を心に思い浮かべる(おも う   )と、その思いがいっそう強くなる。人間の名前とは、生き方にも影響(えいきょう)を与える(あた  )のだなと思った。

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ι)