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音読検定
 楽しくできる音読で、読む力、考える力が育つ。
 音読検定

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2026/9/22

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 【1】ぼくの名前は、太一である。気取った感じがなく、適度に男らしい名前だとひそかに気に入っている。だが、どうしてこういう名前をつけられたのか、くわしいところは自分でも知らなかった。ただ、漢字が簡単かんたんなので書きやすくていいな、と思っていたくらいである。
 【2】ところで、人の名前を考えるというのは思った以上に頭を使う、大変な作業だ。実はぼくも「名付け親」になった経験がある。弟が生まれた時、お兄ちゃんが名前を決めていいよ、と言われたのだ。この時の奇妙きみょう緊張きんちょう感といったら今でも忘れるわす  ことができない。【3】両親に他意はなかったのだろうが、いきなり兄の重責(じゅうせき)背負わせお された思いがした。
 これが、犬やねこの名前ならばいい。欧米おうべい風の名前でも、愛称あいしょうのようなごく簡単かんたんな名前でも問題はないだろう。だが、生粋きっすいの日本人である弟に「アンソニー」だの「ロマーノ」だのと名付けるわけにはいかない。【4】「タマ」や「クロ」などは論外ろんがいである。「たまさぶろう」「くろすけ」としたらまだしも人間に近づくが、そんな時代げきのような名前では困るこま 
 すっかり行き詰まっい づ  ぼくは、父に相談することにした。母はまだ、生まれたての弟と一緒いっしょに病院にいた。【5】父はそこまで悩むなや ことはないだろうと笑いながらも、ほかならぬぼくの名前をどうやってつけたかを話してくれた。そこでぼくは初めて、自分の名前の由来について知ることになったのである。
 父は、「お前の誕生たんじょう日は、何月何日だ」と聞いた。【6】ぼく誕生たんじょう日は一月一日、元日である。おめでたいことがいっぺんに来るように、産む時期を決めていたのだという話は前に聞いたことがあった。
「今ではあまり見ないけど、長男に太郎たろうとか一ろうという名前をつけるだろう。【7】お前はうちの長男で、しかも一年の最初の日に生まれたから、太郎たろうの太と一郎いちろうの一を合わせて『太一』にしたんだよ。」
 そう言って、父はどうだ、おめでたい名前だろう、とむねを張った。安直といえば安直だが、よく考えたものだとぼくは感心した。【8】その話を聞き、ぼくもこの方式でいこう、と考えた。弟の誕生たんじょう日は十月一日だ。それならば……「十」と「一」を合体させた「士」という字を使おう。ぼくはさっそくそのアイデアを、電話で母に伝えた。
 弟の名前は「英士」に決まった。「えいじ」という読みもぼくの考えだ。【9】響きひび が格好いいし、「太一」と並べなら た時の語呂ごろも良い。漢字は、両親が字画を見て決めてくれた。
 今では英士も小学校一年生になっている。生意気を言うようになり、怒りおこ たくなることもあるが、兄としてきちんと面倒めんどうを見てやりたい。【0】長男を表す「太一」という自分の名前を心に思い浮かべるおも う   と、その思いがいっそう強くなる。人間の名前とは、生き方にも影響えいきょう与えるあた  のだなと思った。

(言葉の森長文ちょうぶん作成委員会 ι)