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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



 【1】私(わたし)は朝寝坊(あさねぼう)などしたことがない。いつも早寝(はやね)早起きを心がけ、時間的余裕(よゆう)を持って行動している。それはなぜかというと、以前、父から「会社に遅刻(ちこく)して上司を激怒(げきど)させた」という話を聞いたことがあるからだ。
 【2】父はそのことをまるで笑い話のように語るが、私(わたし)は、とてもそんなのん気にはなれない。私(わたし)の学校の先生は、みんな厳しい(きび  )のだ。そんな先生たちに叱ら(しか )れて、震え上がる(ふる あ  )ような思いをするのは絶対に嫌(いや)である。
 【3】理由はもう一つある。そうした生活パターンのおかげで、私(わたし)は六年生になるまで、ずっと皆勤(かいきん)賞を続けていた。卒業まであと数ヶ月(かげつ)。六年間の皆勤(かいきん)は、私(わたし)の大きな目標でもあった。
 しかし、私(わたし)のそんな頑張り(がんば )があっさりと無駄(むだ)になる出来事が、つい最近起こってしまった。【4】その日も私(わたし)は寝坊(ねぼう)をしなかった。定刻(ていこく)に起きて、家を出発したのである。それなのに、乗り込ん(の こ )だ電車が止まってしまったのだ。
 車内アナウンスが、電線に異常(いじょう)があり走行できなくなった、と伝えていた。私(わたし)は呆然と(ぼうぜん )した。【5】このままでは遅刻(ちこく)はまぬがれない。それも、ひどい大遅刻(ちこく)だ。せっかくこれまで気をつけてきたというのに、しかも自分の責任ではないのに!
 携帯(けいたい)で母に電話をかけると、速報が出ているから学校も分かっているはずだ。【6】あなたは怪我(けが)をしないように気をつけなさい、と優しく(やさ  )言ってくれた。そうやって落ち着かせてもらうまで、私(わたし)の頭は焦り(あせ )と苛立ち(いらだ )で混乱(こんらん)していた。
 しばらく待っても電車は動く気配がない。ついに、私(わたし)たちはその場で電車を降ろさ(お  )れ、次の駅まで歩く羽目になった。
【7】「今からドアを開きます。お体をお離し(はな )ください。お降(お)りになる際は、押し(お )合わずゆっくりとお願いいたします。」
 そんなアナウンスを聞いて、私(わたし)は「いつもは乗るときに同じことを言っているのにな」と少し面白くなった。【8】このころには、普段(ふだん)のペースから外れた特別な状況(じょうきょう)を、どこか楽しめるようになっていたのである。
 長々と続く線路。普段(ふだん)なら決して見ることができない光景だ。その上を歩いていると、昔見た古い映画(えいが)のワンシーンが思い出されて、思わずうきうきしてしまった。
 【9】学校に到着(とうちゃく)したのは、一時間目の授業が終わるころだった。教室に入った私(わたし)を、担任(たんにん)の先生は気の毒そうに見た。母の言ったとおり、遅刻(ちこく)の理由も、そして私(わたし)が皆勤(かいきん)を目指していたことも知ってくれていたのだろう。今日、遅刻(ちこく)したのは自分のせいではない。【0】しかし私(わたし)は不思議と、素直に「すみません」と謝ることができた。
 人間にとって、たまには時間に縛ら(しば )れず、解放的な気分を味わうのもいいのかもしれない。皆勤(かいきん)賞の夢は途絶え(とだ )たが、代わりに貴重(きちょう)な体験をすることができた。「急がば回れ」ということわざもある。私(わたし)は一度くらい、のんびり朝寝坊(あさねぼう)をしてみるのもいいかな、とふと思った。

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ι)