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音読検定
 楽しくできる音読で、読む力、考える力が育つ。
 音読検定

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2026/9/22

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 【1】ぼくは、べんとうをとりだそうとして、ごそごそと、カバンの中をさがしました。
 そのころは、きゅうしょくはありませんでした。
 みんな、アルミニュームのべんとうばこに、ごはんとおかずをつめて、もってきていたのです。
 【2】ところが、どんなにさがしても、べんとうばこはありませんでした。
 わすれんぼうの名人だったぼくは、しゅくだいはもちろんのこといつだって、べんとうをわすれるくせがありました。
 【3】かあさんが、毎朝まいあさつくってくれるのに、ぼくは、うっかりして、台所だいどころのすみっこだのつくえの上だのに、一しゅうかんに、一かいや二かいは、かならずわすれました。
 【4】そんなとき、ぼくはうちまでかけていっては、かあさんたちに、
「また、べんとうがないてるずら。」
なんて、からかわれながら、つめたくなったごはんを、口の中へながしこむようにいそいでたべたものです。
 だから、その日も、そうすればよかったのです。
 【5】ところが、その日は、となりのげんちゃんが、あわてたぼくのようすを、じっと見つめて、そして、やさしいこえで、じしんありげに、そっと、ささやいたのです。
「そうか! のんちゃんわかったよ。おめんちは、おこめがないんだろ。【6】おらあ、おめえ、よくべんとうわすれるなあって、おもってたけど、そうじゃあなかったのか。そうだったのか。」
 そういわれると、ぼくも、ほんとに、そんな気もちになってくるのでした。
 【7】だから、げんちゃんの同情どうじょうしたことばにはなんにもこたえないで、あわてていすにすわりなおし、しょんぼりと下をむいていました。
 ちょうどそのとき、前沢まえざわ先生が、はいってきたのです。
【8】「おおい、きょうは、みんなと会食かいしょくするぞ。」
と、いわれてから、もじもじしているぼくに、気がついたのでしょう。
代田しろた、どうした。」
と、たずねました。
 ぼくはきゅうにかなしくなってきて、「ううっ。」と、しゃくりあげて、なきだしたのです。
 【9】すると、げんちゃんが、
「先生、のんちゃんは、べんとうがないんです。」
と、べんかいしてくれたのでした。
 先生は、気にもしないで、
「ああ、そうか、わすれたのか。」
と、いってから、きょうだんのつくえのほうにいこうとしました。【0】ところが、げんちゃんは、
「先生、そうじゃあないんです。のんちゃんは、べんとうがもってこられないんです。」
と、おもわせぶっていったのです。
 ぼくは、ぎょっとしました。
 いや、ぼくよりも先生のほうが、もっとおどろいたようでした。
「そうかあ!」
と、しばらくたちどまって、かんがえているようでした。
 それから、おもいだしたように、
「ああ、きょうはつごうで、会食かいしょくはやめだ。」
と、いわれてから、
代田しろた、はなしがあるから、いっしょにこい。」
と、気のどくそうに、やさしいこえでぼくにはなしかけるのでした。
 先生は、ぼくを、ようむいんしつのとなりのたたみのへやに、つれていきました。
 それから、りょう手で、ぼくのかたをかるくたたいてから、
「おまえ、ずーっと、おべんとうをたべていなかったのか?」
と、ききました。
 ぼくは、みょうにみじめな気もちになってきました。
――はい――、というかわりに「こくり」とあたまをさげました。
 すると、いよいよ売らう れていったあわれな東北とうほくの子どもにおもえてきました。
 しゃっくり、しゃっくりをくりかえしながら、なきだしていました。

「ほらふきうそつきものがたり」『げんこつゴツン』(代田しろたのぼる)より