未ログイン ログイン
音読検定
 楽しくできる音読で、読む力、考える力が育つ。
 音読検定

★このページは、現在工事中です。しばらくお待ちください。
2026/9/22

1.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
2.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
3.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。




 【1】先生は、
「もういい、もういい。どうも、はじめてで、じじょうがわからなくて、気のどくをしたのう。さあ、そこにすわれ。」
といって、もうしわけなさそうに、ぼくを見つめるのでした。
 【2】それから、先生は、じぶんのべんとうをはんぶんずつにわけて、
「さあ、たべろ。なあにえんりょするな。人間にんげんちゅうもんはなあ、いいか、どんなにつらいことがあっても、けっしてへこたれるんじゃあねえぞ。」
と、やさしくいってくれるのでした。
 【3】そういわれれば、いわれるほど、ぼくは、
「ううっ!」
といって、しゃくりあげてなきました。
 しゃくりあげながらも、先生から、もらったおべんとうをたべていました。
 わけてくれたおかずのしおじゃけも、こうやどうふのにしめも、おいしくておいしくて、みんなたいらげました。
 【4】ところが、そのあたりから、ゆめがさめはじめたようでした。
――おまえは、うそをついて、先生のべんとうをたべたのだ。
 どこからか、そんなこえがきこえます。
――いや、あれはゆめの中のぼくで、ほんとは東北とうほく少年しょうねんなんだ。
 そんな、べんかいもきこえました。
 【5】しばらくすると、
――まあいいや、とにかく、こんどのあたらしい先生から、やさしいこえをかけてもらって、べんとうをわけてもらったのは、ぼくだけなんだから。
と、いばったこえもきこえました。
【6】――いや、おもいちがいをした(げんちゃんが、わるいのだ。(げんちゃんのくそぼうずめ。
 こんどは、(げんちゃんのせいにしたこえもでてきました。
 とにかく、ぼくは、おもいあまってしまいました。
 【7】そのおもいあまった気もちは、うちにかえってからも、つづいていました。
 つぎの日になりました。
 先生にあうのが、こわくなりました。
――いっそ、ずる休みするか。
と、おもいました。
 でも、ぼくのうちは、かんしがきびしくて、とてもだめです。
【8】――ええ! どうにでもなれ。
 ぼくははんぶんやけっぱちになって、しぶしぶと学校にいったのです。
 やっぱり、おもっていたとおりでした。
 ぼくは、一時間じかんめに、しょくいんしつによびつけられました。
 【9】いがぐりあたまのぎょろめの前沢まえさわ先生は、ぼくを、にらみつけて、
代田しろた! よくも、おれをだましたな。」
 そういうなり、げんこつで、
「ゴツン」「ゴツン」
と、ぼくののうてんを、力いっぱいなぐりました。
「いたたっ!」「いたたっ!」
 【0】目から火のでるほどのいたみが、ずしんと、からだぜんたいにひびいてきました。
 でも、ぼくは、こえをだしませんでした。
 もちろん、なきもしませんでした。
 いや、かえって、この「げんこつ」で、むねの中のもやもやが、すうっと、きえていくのがわかりました。

「ほらふきうそつきものがたり」『げんこつゴツン』(代田しろたのぼる)より