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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
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 【1】いつから世の中が矛盾(むじゅん)を恐れる(おそ  )ようになったのか知らないが、頭から悪いものと決めてかかっている人が多い。白が黒であって、空腹のときはものを食わない、などという話が横行してもはた迷惑(  めいわく)であろうが、雨が降れば天気が悪いといった理に合いすぎた命題でいっぱいになってもことである。
 【2】どうも、矛盾(むじゅん)には、良いものと悪いものがあって、嫌わ(きら )れる、いわゆる矛盾(むじゅん)は、良いものを除外して考えているようである。劇薬には病気を治すものがたくさんあるが、不用意に使えば命とりになりかねない。【3】どれもこれも毒として敬遠した方が安全である、というのにいくらか似たところがある。
 同じ平面の上を、反対方向から進んで来た二つの同じ力がぶつかれば、両者は互いに(たが  )相殺(そうさい)し合って、運動のエネルギーは消滅(しょうめつ)してしまう。避け(さ )なくてはならない矛盾(むじゅん)とはこの相殺の論理のことであろう。【4】数学的に言えば、プラスとマイナスの和である。プラス5とマイナス5を加えるとゼロになる。無為(むい)無能の状態である。こういう結果を招くような対立と矛盾(むじゅん)がつまらぬものであるのははっきりしている。
 【5】こうして、一度、矛盾(むじゅん)が不毛だと知れると、われもわれもと論理性へ走る。かくして、論理はかくれた信仰(しんこう)の一つにすらなっていると言えそうである。
 論理が前提としているのは、同一次元での一貫(いっかん)性のある連続である。【6】飛躍(ひやく)はいけない。テーマの錯乱(さくらん)もこまる。一筋に論理の糸がつながっているのが純粋(じゅんすい)で、美しいと感じられる。これなら、対立や撞着(どうちゃく)もしのびこむ余地がなくて安心である。
 【7】しかし、このように戦々恐々(せんせんきょうきょう)として一筋を守らなくては乱れてしまうのであるとしたら、いわゆる論理とは何と貧寒なものだろう。論理的一貫(いっかん)性とは、裏返してみれば、同類同質的なものが猫(ねこ)の子一匹(ぴき)も通さぬような近接状態で数珠つなぎ(じゅず   )に並んでいることにすぎないではないか。
 【8】人々は、しかし、いわゆる論理なるものが塩の入らぬしるこのように間の抜け(ぬ )たものであることを直観で感じてはいる。口に出して言うのをはばかっているにすぎない。芸術では、この単純な合理にいろいろと仮名をつけて、そっとお引き取り願っている。【9】この平面論理という暴れん坊(ぼう)に踏み込ま(ふ こ )れたら、いかなる芸術の花も台なしになってしまうからである。詩における理屈(りくつ)はその一例であるにすぎない。月並みの句などということばは、かすかな平面的連続を敏感(びんかん)にかぎつけて、それを嫌っ(きら )たものと見ることができる。【0】

(外山滋比古(とやましげひこ)「省略の文学」から)
撞着(どうちゃく)…前後が食い違っ(く ちが )てつじつまが合わないこと