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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
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 【1】ミミズがある生態系に生存することで「自然の経済」にどんなかかわりをもつか、それが、イギリスの生んだ偉大(いだい)な生物学者チャールズ・ダーウィン(一八〇九?一八八二)のミミズに関する着眼点だった。【2】彼(かれ)は、邦訳(ほうやく)『ミミズと土』で知られる『ミミズの習性に関する観察とミミズの働きを通しての有機土壌(どじょう)の形成』という長い表題の書物を、一八八一年に出版した。【3】「このように分化の低い動物で、このように重要な役割を演じてきた動物が、ミミズ以外にいようか。【4】もっと分化の低い動物、すなわちサンゴはサンゴ礁(   しょう)を形成してきたが、それはほとんど熱帯に限られてきた」と、海のサンゴと対比して、地表で絶え間なく働き続けてきたミミズに敬意を表し、ケント州ダウンの家の庭で数々の実験的観察を行っている。
 【5】タバコには関心を示さなかったミミズが、キャベツやタマネギはすぐ穴に引き入れる様子を観察しているであろうダーウィンの姿を想像すると、思わず微笑ん(ほほえ )でしまう。【6】特に、一定面積内に住むミミズの数量については、一平方メートル当たり一三・三匹(ひき)、一匹(いっぴき)を三グラムとすると一平方メートル当たり三九・九グラムであることを推定している。【7】そして、それらのミミズがどのように糞(ふん)を排出(はいしゅつ)するか、一定面積当たりの糞(ふん)の排出(はいしゅつ)量はどのくらいか、結果として地表の土とミミズがどのようにかかわってきたか。【8】その一例として、一八年前に石灰をまいた畑に堀(ほり)を掘っ(ほ )た時、切り立った側面に五四メートルにわたって地表から一七・五センチメートルの深さに石灰の層があるのを観察、ミミズは平均して一年に約一センチメートルの土壌(どじょう)を地表に排出(はいしゅつ)しているとして、ミミズの絶え間ない働きが、有機土壌(どじょう)の形成に大きな貢献(こうけん)をしてきたと述べている。【9】結論として、イギリスでは毎年一エーカー当たり、乾燥(かんそう)重量で一〇トン以上の土がミミズの体を通して排出(はいしゅつ)され、その働きゆえに、古い歴史上の遺物も保存されてきたというのである。
 【0】ところで、ダーウィンのミミズの研究にも触れ(ふ )た有吉(ありよし)佐和子(さわこ)の小説『複合汚染(おせん)』は、一九七四年新聞に発表され、多くの人々の関心をひいたが、その中に、人間が自然をひどく傷めつけた結果、自分たちの命にひどい影響(えいきょう)が及ん(およ )でいる現状が詳しく(くわ  )書かれている。農村を回ってよく聞く「土が死んだ」という言葉について述べた箇所(かしょ)を引用する。
 ―()―()「例えばよ、わかりやすく言えば、ミミズのいねえ土のことだな。硫安(りゅうあん)かければよ、ミミズは、即死(そくし)すっから。ミミズがいねえとよ、土が固くなって、どうにもなんねえす。土が死んだっちことは、ミミズが死んだっちことだなあ。」
 土とミミズ。例外はもちろんあるけれど、ふつうのミミズは、土を豊かにするために決定的に重要な動物である。「進化論」で有名なダーウィンは『ミミズと土』という書物を著し、多年にわたる研究成果をもとにして、自然の中でミミズが受けもつ役割について詳述(しょうじゅつ)し、もしミミズがこの世にいなくなったら植物は滅亡(めつぼう)に瀕する(ひん  )だろうと結論している。
 ミミズは、毎日、土を食べて生きている。土はミミズの口から入って外へ出ると、また土になる。しかし、ミミズの口へ入る前の土とミミズが外へ出した土とは、土の性質がまるで違っ(ちが )ている。第一に、土と一緒(いっしょ)に呑み込ま(の こ )れた新鮮(しんせん)な草の葉や半腐れ(くさ )のワラなどが、ミミズの体内の分泌(ぶんぴつ)液によって豊かな黒い土になって出てくる。第二に、出てきた土は細かい団粒状(りゅうじょう)であるから、水や空気が通りやすく、ふわふわと柔らかく(やわ   )なる。―()―()
 農村で多くの人々が、ロにしている「土が死んだ」ということ、それは「ミミズが死んだ」ということだというのは、実に深刻な事態である。もう少し引用を続ける。
 ―()―()篤農(とくのう)家たちが化学肥料によって「土が死んだ」と嘆く(なげ )場合、当然、「土は生きている」ものという前提がある。一グラムの土の中には数千万から数億という数えきれない単細胞(たんさいぼう)生物やカビが棲息(せいそく)していて、互いに(たが  )複雑な関係を保っている。ミミズの場合は、人間の目に見える生態系だが、単細胞(たんさいぼう)生物やカビのそれは、まだ研究し尽くさ(つ  )れてはいない。―()―()
 その生存と死滅(しめつ)をこのように取り上げられ、ミミズにとってはまさに晴れの舞台(ぶたい)とも言えようが、ここで訴える(うった  )ところが、四億年以上にわたって生存し続けてきたこの動物の地球上からの消滅(しょうめつ)を救うものになってほしいと思う。

 (中村方子の文章による)