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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
【1】「先生、その話は前に聞きました!」
 僕(ぼく)が通う個人(こじん)塾(じゅく)の先生は、祖父(そふ)と同じぐらいの年のおじいちゃんだ。それもそのはずで、僕(ぼく)の母が子供(こども)のころ、勉強を習っていたというくらい昔から先生をしているのである。【2】頭ははげていて、やせているが、背すじ(せ  )はいつもピンと伸び(の )ている。声も大きくて、授業(じゅぎょう)はとてもわかりやすい。
 ただし、先生の話はときどき脱線(だっせん)する。特に、好きな時代劇(げき)の話となると、前にも聞いた内容(ないよう)を何回でも繰り返す(く かえ )。【3】授業(じゅぎょう)時間がつぶれると喜ぶ人もいるが、テストの直前でもそれをやるので、そのときにはみんな焦っ(あせ )てしまう。
 そんな先生の話の中でも、とくに強烈(きょうれつ)だったのが「海底戦車」だ。地理か歴史の授業(じゅぎょう)のときに聞いた話だった。【4】冷戦時代に、ソ連が作った「海の中を走れる戦車」が、オホーツク海を渡っ(わた )てはるばる日本まで偵察(ていさつ)に来ていたのだという。当時の雑誌(ざっし)に、くっきりと車輪のあとがついた海底の写真が載っ(の )ていたそうだ。まるで、今で言う「都市伝説」のような話である。
 【5】母に聞いた話によると、先生は、昔はとても怖かっ(こわ  )たそうだ。母もひどく叱ら(しか )れて、泣きたくなったことがあったと言う。それは「海底戦車」以上に、僕(ぼく)にとって信じられないことだった。今の先生は優しく(やさ  )て、叱ら(しか )れたことなど一度もない。
 【6】次の日、僕(ぼく)は先生に「うちのお母さんが、泣きたくなるほど怖かっ(こわ  )たって言ってたけど本当ですか」と、みんなの前で聞いてみた。すると、先生が突然(とつぜん)僕(ぼく)をにらみつけ、低い声で、
「こんな風に泣かせてたんだぞ。どうだ怖い(こわ )か。」
と凄ん(すご )だ。【7】そのあまりの迫力(はくりょく)に、僕(ぼく)ばかりか周りにいた友人たちも一瞬(いっしゅん)、凍りつい(こお   )たかのように息を飲んだ。
 僕たち(ぼく  )がおびえているのに気づき、先生はすぐにいつもの雰囲気(ふんいき)に戻っ(もど )て、「こういうのは疲れる(つか  )から、怒ら(おこ )せないでくれよ」と笑った。【8】軽い冗談(じょうだん)のつもりだったのだろうが、僕たち(ぼく  )がその言葉に従お(したが )うと思ったことは言うまでもない。悪いことはしませんと、先生に宣誓(せんせい)したのだ。
 僕(ぼく)は大人になったら、性格(せいかく)はずっと変わらないものだと思っていた。しかし先生のような人でも、昔と今でそんなにも違う(ちが )。【9】人間は変わっていくものなのだなあとしみじみと分かった。
 今は僕(ぼく)に小言を言う母も、子供(こども)のころは先生に泣かされていた。もし、母がおばあさんになったら、今度はもっと変わるのかもしれない。そのとき、僕(ぼく)自身はどうなっているのか、ちょっと楽しみだ。【0】

(言葉の森長文作成委員会 ι)
 【1】芙蓉(ふよう)の花のめしべとおしべの位置関係は自花受粉をさけ他花受粉を求める形だったわけです。【2】もっとも、めしべとおしべの間がはなれているとは言っても、わずかのへだたりであり、こん虫が自花の花粉をめしべに運ぶこともあるでしょうから、自花受粉をさけるための確率(かくりつ)はあまり高くありません。
 【3】しかし、もっと効果(こうか)的に自花受粉をさけ、他花受粉の機会をふやすための特殊(とくしゅ)な方法を持っている両性(りょうせい)花もあるのです。
 特殊(とくしゅ)な方法とは、めしべとおしべの成熟(せいじゅく)する時期をずらしていることです。【4】これは、雌雄(しゆう)異(い)熟(じゅく)と呼ば(よ )れている現象(げんしょう)で、めしべが先に熟し(じゅく )花粉を受精(じゅせい)できる状態(じょうたい)になっているのに、自花のおしべは熟し(じゅく )ていない(花粉を出さない)――こういう仕組みのものを雌性先熟(しせいせんじゅく)といい、逆(ぎゃく)の場合を雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)と言います。【5】どちらもかなり高い確率(かくりつ)で自花受粉をさけることができますが、この確率(かくりつ)をもっと高めるために、もう一つ変わった方法を駆使(くし)する両性(りょうせい)花もあります。
 【6】たとえば、タツノタムラソウという花の場合は、おしべが先に熟し(じゅく )て(雄(ゆう)性(せい)先熟(じゅく))、花粉を出している間、めしべは、おしべの先(やく=花粉を生ずる部分)からできるだけ遠ざかるように後方に反り返っています。【7】おしべが花粉を出しつくした頃(ころ)、めしべは真直ぐにのびます。雌雄(しゆう)異(い)熟(じゅく)が時間差法ならば、この場合は高級な空間差法でしょうか。
 【8】こうまでして花が自花受粉をさけるのは、すでに述べ(の )た通り、いい種子を得るためですが、一体、なぜ自花の花粉より他花の花粉を求めるのでしょうか。
 私(わたし)の仮定(かてい)ですが、生命というものは、自己(じこ)に同意し自己(じこ)との結合をくり返している末には多分、衰滅(すいめつ)してしまうものです。【9】そういう成りゆきを避ける(さ  )ために、生命はあえて異質(いしつ)の他者を生殖(せいしょく)過程(かてい)中に取りこむのではないか、花が他花受粉を求めるのも、異質(いしつ)な他者の因子(いんし)と結合することで自己(じこ)改造(かいぞう)を継続(けいぞく)してゆくのではあるまいか、そのように思うのです。【0】